令和8年熊本地震災害派遣と過去の長期災害派遣事例(10)
人命救助活動は8月1日で終了、8月2日からは輸送、給水支援、入浴支援が活動の3本柱となりました。
輸送は陸自第8後方支援連隊が福祉施設へペットボトル飲料水の輸送。給水支援活動は前日と比較し、実施場所が計39か所(給水車51両)から、八代市や宇城市をはじめとする市町の計35か所(給水車83両)に変更されました。実施場所が減っても給水車の車両数が増えている点に注目です。
そして入浴支援は、2日から一気に拡大。防衛省の発表も、各地域での開設場所・運用時間・支援内容が詳細に明記されました。さらに海自「えんしゅう」ではシャワー・浴槽支援に加えて艦内での洗濯支援・健康相談を、輸送艦「くにさき」では洗濯支援、健康相談、充電支援、キッズスペース設置と、きめ細かい支援を行なっています。
8月3日も支援部隊の入れ替えはありつつも同様の支援が行なわれました。熊本県庁等への連絡員は発災翌日、7月29日47か所125名をピークに適宜減少、3日には最大11か所、延べ約34名となっています。そもそも連絡員とは自治体のニーズを迅速に部隊へ伝えるための中継者ですから、被害の全容が見えない段階では連絡員の数が多く、「どの地域にどんな支援が必要か」が明確になれば、おのずと減っていくわけですね。
4日の活動で注目すべきは、PFI船舶「はくおうII」が八代港に入港したことです。そして5日にはPFI船舶支援隊(陸自第32普通科連隊基幹)により、「はくおうII」内での入浴支援等の提供がスタートしました。ちなみに32連隊は埼玉県大宮駐屯地所在の部隊です。災害派遣が九州の陸自第8師団を基幹とするといえども、支援部隊が九州に限定されているわけではありません。海自、空自もしかりです。
PFI船舶「はくおうII」は、防衛省が民間資金等を活用するPFI事業に基づき、特別目的会社「高速マリン・トランスポート」と契約して運用している民間船舶です。初代「はくおう」の老朽化等に伴う更新事業により改修・整備が行われ、後継船「はくおうII」として引き継がれました。もとは新日本海フェリーの大型高速フェリーで、三菱重工業にて2004年に建造されたものです。
全長225.0m、総トン数約16,810トン、最大航海速力約32ノットという優れた機動力を持ち、自衛隊員や大型車両・物資を迅速に運ぶ補完的輸送手段として機能しています。
「はくおうII」は部隊輸送だけでなく、大規模災害時には被災者を支える「海上避難支援拠点」として重要な役割を担います。
船内には客室や大浴場、食堂などを完備しており、最大約700名規模の生活支援が可能です。令和8年熊本地震においても八代港へ派遣され、被災された方々に向けた入浴や宿泊、食事の提供といった生活支援を実施しました。インフラが途絶した現場において、避難生活を送る人々の心身を癒やす貴重な拠点として貢献しています。
あいにく翌日6日から10日までは台風13号接近のため「はくおうII」における入浴支援は中断しますが、その後再開。9月13日の災害派遣終了の当日まで被災地に留まりました。
(つづく)








