令和8年熊本地震災害派遣と過去の長期災害派遣事例(9)

7月31日の段階で、おもな活動部隊は陸自第42即応機動連隊、陸自第8特殊武器防護隊、陸自第105補給大隊、陸自第8高射特科大隊、陸自第8通信大隊、陸自第5地対艦ミサイル連隊、陸自第8飛行隊、陸自第8後方支援連隊、海自艦艇5隻(ぶんご、げんかい、えんしゅう、水中処分母船5号、いせ)、空自第8高射隊、空自第2移動通信隊、空自第3移動警戒隊、空自第7高射隊による5100名態勢です。

また、人命救助活動は、海自救助犬3頭、日本製紙八代工場での瓦礫撤去、八代郡氷川町地区での空自救助犬6頭による捜索救助活動は終了。イオンモール熊本での陸自第42即応機動連隊の人員約170名による活動のみとなりました。

輸送活動は、海自艦艇4隻による八代港への輸送から、陸自V-22(オスプレイ)、海自SH-60およびMCH-101により、救援物資を護衛艦「いせ」から陸自高遊原分屯地等へ輸送する内容に変更されました。

給水支援活動は、実施場所が9市町の計24箇所(人員約120名、水タンク車および水トレーラー32両)から、八代市や宇城市をはじめとする市町の計41カ所(人員約160名、水タンク車および水トレーラー計49両)に拡大。LO(連絡員)は最大47カ所・延べ約125名から最大31カ所・延べ約90名へと減少しました。すでに被害の全容が把握できているからでしょう。この日以降、LOの人員は適時減っていきます。

そしてこの日から、前日に届いた入浴セットにより、陸自第8後方支援連隊が熊本市にて入浴支援を開始。インフラが断絶していた猛暑の被災地被災者にとって、どれほど待ち望んだ支援だったことでしょう。

ニュースでも取り上げられた、ビックカメラのロゴの入った段ボールで空輸されて話題となったスポット・クーラーも、脱衣所に設置されて大いに役立ちました。

ところでこのスポット・クーラー、残念ながら300台すべてが稼働できたわけではないようです。確かに自衛隊が屋外に設置した入浴施設では大いに活躍したのですが、被災者が避難している場所に、適切な形で設置できないケースがあったようです。

いち早く現地に入って現場を取材した宮嶋茂樹氏のレポートによると、屋外に排出される熱風が避難所の壁際で涼を取る人たちに不評だったとか。

スポット・クーラーは室外機を設置する工事が不要なので夏の災害時には役立つのですが、「屋外のどこに熱風を排出させるか」までは手が回らなかったのか、あるいは思い至らなかったのかは不明です。この教訓はぜひ今後に生かして欲しいところです。

8月1日には、主な活動部隊に陸自西部方面衛生隊、陸自第8施設大隊、陸自西部方面特科連隊、第43普通科連隊、陸自西部方面航空隊、第12普通科連隊、空自第1輸送航空隊などが追加されました。 

人命救助活動では海自救助犬および空自救助犬による捜索活動が再開・追加、輸送活動は空自第1輸送航空隊のC-130×2機による全国基地からのシャワーセット輸送が実施されました。 

給水支援活動は対象地域および台数が前日よりもさらに増加し、計39カ所の給水車51両に変更されました。 

そして入浴支援には、海自多用途支援艦「えんしゅう」(宇城市三角港)および海自掃海母艦「ぶんご」(八代市八代港)による入浴支援が追加されました。

5100名態勢は変わらずとも、その支援内容は現場のニーズに合わせて日々細かく変化していることがわかります。



(つづく)