令和8年熊本地震災害派遣と過去の長期災害派遣事例(8)

7月28日の地震発生から1時間後に熊本県知事から災害派遣要請を受けた自衛隊は、直後から熊本県庁等へのLO(連絡員)派遣、陸海空自衛隊の航空機による航空偵察、ファストフォースによる地上偵察、イオンモール熊本における人命救助、別府駐屯地及び北熊本駐屯地における避難者の受け入れ開始、八千代市役所へ給水支援車両前進など、一斉に動きました。

そして翌日には人命救助活動、輸送活動、給水支援活動という3本柱にLOの派遣を、第8師団を中心とする約4600名態勢、航空機延べ29機による活動へと拡大。翌30日には今回の災害派遣の最大派遣人員となる5100名態勢となります。

両日の活動をもう少し細かく見てみます。

29日の人命救助活動は、イオンモール熊本で陸自第8偵察隊など人員約170名が人命救助活動を実施。 日本製紙八代工場では、陸自西部方面特科連隊の人員約30名で人命救助活動を実施しました。

また、海自呉災害救助犬3頭及び人員4名、空自築城災害救助犬2頭及び人員4名、空自新田原災害救助犬4頭及び人員11名が、それぞれ陸自健軍駐屯地で待機しました。

輸送活動は、陸自第8飛行隊が患者後送(民間人8名)を実施。また、熱中症対策のため、経済産業省をはじめとする関係省庁と連携し、クーラー約300台を入間基地から熊本空港へ空自第2輸送航空隊のC-2により輸送しました。県のニーズに基づき、熊本空港から各避難所等へは、陸自西部方面輸送隊などが輸送を担当しました。さらに海自の艦艇5隻(ぶんご、げんかい、えんしゅう、水中処分母船5号、いせ)が、生活支援物資輸送のため、八代港へ向け前進しました。これは小泉防衛大臣が自身のXなどで発信したこともあり、大きな注目を集めました。

給水支援は八千代市役所はじめ、宇城市内5カ所、熊本市2カ所、上天草市内4箇カ所、氷川町2カ所を始め、各地で行なっています。

30日の人命救助活動は、イオンモール熊本での人命救助活動に海自救助犬3頭が加わりました。日本製紙八代工場での活動は人命救助からがれき撤去へ、人員は11名に減少しました。それらに加えて八代郡氷川町地区で、空自築城救助犬及び新田原救助犬6頭で捜索救助活動を実施しました。

輸送活動は、海自艦艇4隻(ぶんご、げんかい、えんしゅう、水中処分母船5号)が八代港に入港。入港後、搭載した生活支援物資を陸自西部方面特科連隊へ引き継ぎ、避難場所等への輸送を実施しました。給水支援も昨日に続いて各地で実施されました。

そしてこの日、海自呉の人員約40名、入浴セットひとつが健軍駐屯地、海自佐世保の人員約40名、入浴セットひとつが八代港岸壁に到着しました。

猛暑の続く被災地で、被災者が待ち望んでいた支援のひとつです。

個人的には、災害派遣が当たり前のように陸海空自衛隊による統合運用であることが感慨深いです。この地震に関する防衛省からの報道発表も、すべて統合幕僚監部によるものでした。

長年現場取材をしてきた者として、かつては違う制服を着ている相手を「知らないし」「関係ないし」で歯牙にもかけない空気を感じたこともあったのです。

有事の際はもちろんですが、災害派遣でも伝統や慣習の違いを超えてチームワークが発揮されることは、なんと頼もしく心強いことでしょう。



(つづく)