GSOMIAの裏側と韓国人の米軍依存(1)

2019年11月22日、韓国は日韓GSOMIA(General Security of Military Agreement:軍事情報包括保護協定)を終了するとした通告を停止しました。失効まであと6時間というタイミングでした。

GSOMIAは2016年に締結しましたが、2008年か2009年頃、日本はすでに韓国からGSOMIAの話を持ちかけられていました。韓国の情報本部長(陸軍中将)が会議のため来日した際、防衛省の情報本部長に打診してきたのです。

韓国が欲しかったのは防衛省情報本部と在日米軍情報部が獲得する情報でした。在韓米軍の情報は得られても、在韓米軍と直接関係のない防衛省情報本部や在日米軍情報部からは渡してもらえませんから。
当時もすでに韓国軍と自衛隊は情報交換会議をしていましたが、その際の韓国軍の情報管理に疑問を持っていたので、この提案を丁重にお断りしたところ韓国の情報本部長は立腹し、3日間の予定だった会議を1日で終わらせて帰国してしまいました。
どうも自分が日本との協力を取りつけることで点数を稼ごうという目論見もあったようです。彼はその後、汚職で捕まったそうです。

防衛省情報本部は1997年に設立された防衛省の中央情報機関であり、わが国最大の情報機関です。
陸海空各自衛隊の情報部では作戦情報を扱いますが、情報本部が扱うのはもっと別次元の情報で、韓国軍が情報共有したがった組織は、いわゆる陸海空自衛隊ではなくこの情報本部です。
テレビ番組などに専門家としてゲスト出演している人はみな、そのあたりの経緯をわかっていないのに推論だけでコメントしていました。
空自の総隊司令官が任務群司令官を務め、海自の自衛艦隊司令官を指揮下に入れ作戦をするミサイル防衛には、直接影響がない協定だったのです。

2010年に韓国主催の情報官会議が行なわれた際も、また新たな情報本部長から、参加した私に対し同じ依頼がありました。
かなり本気で関係構築をしたかったようでしたが、ここでも日本サイドは首を縦に振りませんでした。二度まで断ったのは、ひとえに韓国の情報管理が信用できなかったからです。

GSOMIAとは知り得た情報を交換する枠組みではなく、共有した情報を保護し第三国への漏洩を防ぐ取り決めです。
情報とは財産ですから、軽々しく第三者に口にできるものではありません。ところが韓国は、日本とやりとりしているときにアメリカからもらった情報を平気で見せてきます。見せられたこちらが「ちょっと、これ俺に見せたらダメだろう」と思うほどでした。ということは、日本が提供する情報も同じように扱うはずですから、信用しろというのが無理な話です。

しかしアメリカの国務省や国防総省は、日米間の防衛協力枠組みを強固にして3カ国が一体であるという政策的意味付けが必要で、これによって後ろにいる中国やロシアも牽制できると考えていました。
つまりアメリカから即されるような形で、日本も韓国とのGSOMIAを締結しようということになったのでした。(つづく)