レゾリュート・ドラゴン22(2)

2023年6月19日

10月1日に矢臼別演習場で行われた訓練開始式には、陸自約2100名、海兵隊約100名が参加。
開始前のメディア向けブリーフィングでは、オスプレイに関する質問が相次ぎました。
「何機使用されるのか」、「どこから来るのか」、「特殊作戦用のCV-22も来るということはそういう訓練も行うのか」など、テレビや新聞社の食いつきは並々ならぬものがあります。
まるでRD22というよりオスプレイの取材をしているようです。そのため予定されていたブリーフィング終了時間は大幅にずれ込み、第2師団の広報担当者が焦って報道陣を訓練開始式会場に誘導したほどでした。
日本側の統裁官である第2師団幕僚長の渡辺亘紀1佐は訓練開始式の訓示で、「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化が求められている。このため、国内における米海兵隊との最大規模の実動訓練であるRD22は、陸上自衛隊と海兵隊がさらなる連携強化を図る上でも極めて重要な訓練である」とし、作戦レベルから戦術レベルに至る連携の強化、相互理解の促進、安全確保の万全という3点を要望しました。
米側の統裁官、ジョナサン・シムス第12海兵連隊長は「日米同盟は西太平洋の平和と安全の礎。RD22は私達のパートナーシップを強化し続ける一例であり、海兵隊と陸上自衛隊能力の能力を向上させるもの」と述べました。
訓練開始式終了後の日米統裁官への質疑応答でも、両統裁官にオスプレイの安全性についての質問がありました。
渡辺幕僚長は「できる範囲で情報提供させていただき、各自治体あるいは関係者に対して丁寧に対応する」、シムス海兵連隊長は「訓練は大事だが安全面は最重要事項。これはオスプレイに限らずどの航空機でも共通」。
また、「今の時期にロシアに近い北海道で共同訓練を行う意味は」という問いには、渡辺幕僚長は「この訓練自体は特定の国や地域を対象としたものではない。北海道は訓練環境に恵まれており、それぞれの部隊がいちばん力を発揮できる環境が整っている」と答え、シムス海兵連隊長も「沖縄では難しい連隊規模の訓練が広い北海道では行える。カウンターパートである第2師団をはじめ、いつもと違った部隊と訓練できる意義は大きい。われわれが学べることは多い」と続けました。
時節柄、今回の訓練とロシアの現状を結びつけるコメントが欲しいメディアもあったようですが、そもそもプレスリリースで「島しょ防衛防護訓練」と明記されています。統裁官の回答からは、ロシアの暴挙はもちろん許せることではなく注視しているが、だからといって現状ではそれが島しょ防衛以上の脅威となりえるわけではないと、防衛省・自衛隊がいたって冷静に判断しているように感じました。
真に危機感を抱いていたら、前年から計画していようが中止したはずです(実際、ロシア外務省からHIMARS射撃への抗議がありました)。

(つづく)

(わたなべ・ようこ)

(令和五年(西暦2023年)2月2日配信)