MCV配備部隊&密着ルポ(4)

即応機動連隊の部隊編成は、連隊本部、本部管理中隊(連隊本部班、補給、通信、衛生、情報、施設作業、対戦車、高射の各小隊)、1~3普通科中隊(中隊本部、1~3小隊と迫撃砲小隊、WAPCを装備)、火力支援中隊、そしてMCVを装備する機動戦闘車隊となっています。
ただし北方部隊は本州や四国地方と異なり戦車部隊が配備されているため、2個中隊の機動戦闘車隊ではなく、1個中隊の機動戦闘車中隊として編成されます。
MCVは現在、即応機動連隊のほか、機動師団・機動旅団化されていない師旅団隷下の偵察機動大隊も装備しています。以下に配備部隊を紹介します。

まず、戦車教導隊と偵察教導隊を統合・再編成した富士学校富士教導団隷下の機甲教導連隊と、陸上自衛隊武器学校。いずれも作戦基本部隊ではないので、有事の際も展開することはありません。
即応機動連隊では、2018年に配備された第8師団第42即応機動連隊(熊本県熊本市)と第14旅団第15即応機動連隊(香川県善通寺市)、2019年に配備された第11旅団第10即応機動連隊(北海道滝川市)と第6師団第22即応機動連隊(宮城県多賀城市)、2022年に配備された第2師団第3即応機動連隊(北海道名寄市)、そして今年3月に配備された第5旅団第6即応機動連隊(北海道美幌町)です。
余談ですが、美幌駐屯地では7月17日に創立72周年記念行事が行なわれました。第6普通科連隊が即応機動連隊に改編されてから初めての記念行事で、6即機に配備されたMCVなど隊員135人、車両55台が観閲行進に参加しました。抽選による体験試乗も行なわれ、私も一般応募で当選し、初MCV試乗となりました(しかも思いがけず取材でも乗せていただいたので2度!)。乗り心地としては、やはり装輪だけあって高機動車とさほど変わらない印象でした。加速や減速は反応が早く、カーブ時もあまり原則せずに曲がれるあたりに機動力の高さを感じました。
ただ一般の人にとってはやはり装軌車の体験試乗のほうが魅力的だったようで、90式戦車の体験試乗のほうが盛況でした。

南西諸島へもっとも地理的に近い九州にある2個師団のうち、福岡市を擁する第4師団を除けば必然的に第8師団隷下の第42普通科連隊が即応機動連隊に改編し、全国に先駆けてMCVを装備したのは至極当然といえます。なお、部隊名の番号はいずれも改編前の普通科連隊の番号を踏襲しています。

また、これまでの偵察部隊にMCVを装備してより攻撃力を高めた部隊が偵察戦闘大隊であり、現在第1師団第1偵察戦闘大隊(東京都練馬区)、第12旅団第12偵察戦闘大隊(群馬県北群馬郡<相馬原駐屯地>)、第3師団第3偵察戦闘大隊(滋賀県高島市)、第4師団第4偵察戦闘大隊(福岡県春日市)が装備しています。さらに今年度中に第9師団と第13旅団の偵察戦闘大隊(仮称)へも配備される予定となっています。

さて、ここまで第3普通科連隊が第3即応機動連隊へ新編する過程をご紹介してきました。ここからはおもにMCVが参加した訓練に特化してご紹介します。

2021年9月、第2師団隷下の第3普通科連隊に1両目となる16式機動戦闘車、通称MCVが納入され、入魂式が行なわれましました。