GSOMIAの裏側と韓国人の米軍依存(2)

GSOMIA締結にあたっては、ひとつ問題がありました。それは防衛省に条約締結権がないことです。
本来ならば防衛庁から防衛省になった際にその権限を取得しなければいけないのに、外務省に渡したままで今に至っているのです。
韓国は、日本以外の国とはすべて他国の国防省同士でGSOMIAを結んでいます。ところが日本の防衛省にはその権限がないということで、軍事情報など見たこともない日本の外務省と韓国の外交通商部がやりとりすることになりました。
そもそも軍事情報は防衛大臣以外には見せないというくらい、ピンポイントでしか上がらないようなレベルの濃い国防関係者のための情報です。それを共有する協定を結ぶというのに、肝心の防衛省に条約締結権がないため、外交交渉という形式になってしまいました。

その結果、そのやり取りが韓国のマスコミに抜かれ、韓国の世論は「日本の外務省がうちの大事な軍の情報を渡せと言ってきた」という受け止め方をされ、大反発が起きたのです。
2012年、GSOMIAは締結直前にキャンセルになった歴史がありますが、それはこの韓国世論の反対が原因でした。韓国国防省も外交通商部も了解のもと大統領府(青瓦台)に上がり、調印直前までいったのですが、「とんでもない」と猛反対する国民世論におもねる形で、大統領府は締結1時間前にキャンセルしたのです。

2013年の北朝鮮の3回目の核実験を受け、2015年にはオバマ大統領と朴槿恵大統領は、あらたな米韓作戦計画を締結しました。次の朝鮮戦争は「核戦争になる」という情勢判断をしたからです。ですから翌年2016年、国民世論の反対を押し切る形で朴大統領は日韓GSOMIAを締結したのです。

韓国世論がGSOMIAに反対している元凶は、防衛省が条約締結権を持っていなかったこと、これに尽きます。
もし日本の防衛省と韓国の国防省だけで話を進めていたら、表に出ることはなく、メディアも報道せず、世論が騒ぐこともありませんでした。
そもそもこれは純軍事的なMOU(Memorandum of Agreement) です。これが外交交渉を必要とする条約という形になり、話が大きくなってしまったのです。

韓国国民に人気のない日韓GSOMIAだからこそ、韓国政府は政治的・外交的に利用したのです。ですから私は「韓国が協定を破棄するといっても放っておけばよい」と言ってきました。そもそもGSOMIAはそのメリットは韓国側に多いのに、それを対日カードにすること自体がバカげていたのです。