「いずも」型護衛艦運用史(3)

今週からいずも型護衛艦「かが」の活動をご紹介します。
「かが」は2017年3月22日に就航し、護衛艦「いせ」に替わり第4護衛隊群第4護衛隊に編入、呉に配備されました。

最初の災害派遣任務は2018年7月に発生した西日本豪雨です。広島県の呉、江田島両市が断水したことを受け、護衛艦「いなづま」などとともに同月13~20日の間、艦内の浴場を被災者に開放しました。
翌月末から約2カ月間は、護衛艦「いなづま」「すずつき」などとインド太平洋方面派遣訓練「ISEAD18」に参加。インド、インドネシア、スリランカ、フィリピンなどを訪問しつつ各種戦術訓練などを行ないました。9月には南シナ海で潜水艦「くろしお」と合流して対潜戦の訓練や日英共同訓練を実施、10月には印海軍との共同訓練「JIMEX 18」を行なってから最後の訪問国であるシンガポールに寄港。南シナ海では中国海軍の駆逐艦「蘭州」の追尾を受け、中国軍艦艇の監視下で米海軍補給艦「ペコス」から洋上補給を受けました(給油中、「蘭州」は日米の艦艇と約5キロの距離まで近づいてきたといいます)。それにしても忙しいですね。

2019年5月、「令和」初の国賓として来日した米国のトランプ大統領と安倍首相(いずれも当時)が、横須賀基地に停泊中の「かが」を視察しました。
米大統領による自衛隊施設の訪問、海自艦艇の視察、そして両首脳がそろって日米の隊員を激励するのは初めてのことでした。
翌月に開催された日本が初めて議長国を務めた「主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)」では大阪湾に展開し、不審船などが近づかないよう警戒・監視に当たりました。

9月末から10月初頭にかけては日米印共同訓練「マラバール2019」に参加。同月半ばには令和元年度自衛隊観艦式に参加予定でしたが、台風19号に伴う災害派遣により観艦式が中止となります。「かが」は統合任務部隊に組み込まれ福島県沖に展開、ヘリの洋上基地としての機能を担いつつ、行方不明者の捜索・人命救助活動を行ないました。

2020年9月には約1カ月間、令和2年度インド太平洋方面派遣訓練「IPD20」に参加し、日豪共同訓練、日スリランカ共同訓練「JA-LAN EX」、日印共同訓練「JIMEX」、さらに日米共同訓練を実施しました。
翌年も令和3年度インド太平洋方面派遣訓練「IPD21」に参加。昨年度はコロナ禍の影響もあり日程が短かったのですが、この年は例年と同じく、訓練期間は約3カ月に及びました。
護衛艦「むらさめ」「しらぬい」などのほか、P1哨戒機が初めて参加。まずフィリピン海で行なわれた日米印豪共同訓練「マラバール2021」に参加した後、最初の訪問国であるパラオへ向かい、同国に寄港する前には、同国海上保安局の巡視船と初の親善訓練を実施後した。やはり忙しいです……

(つづく)