「いずも」型護衛艦運用史（２）
護衛艦「いずも」は2018年10月、空自第5航空団（新田原）のＦ－15戦闘機4機とともに米海軍の空母「ロナルド・レーガン」などとの共同訓練に参加、12月にはＰ－１哨戒機とともに米海軍および英海軍との、初の3カ国による共同訓練を実施しました。
2019年4月末からは護衛艦「むらさめ」らと平成31年度インド太平洋方面派遣訓練「ＩＰＤ19」に参加。ブルネイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムに寄港し、米海軍を含む各国海軍などとの共同訓練を実施しました。途中、スマトラ島西方海空域のインド洋で仏海軍や豪海軍も参加した日仏豪米共同訓練「ラ・ペルーズ」も実施。また、シンガポール（チャンギ港周辺）で実施されるＡＤＭＭプラス海洋安全保障実動訓練および同国で行なわれる国際海洋防衛装備展示会（ＩＭＤＥＸ）Ａｓｉａ２０１９に参加したほか、ブルネイ沖では海上保安庁巡視船「つがる」とヘリ発着艦などの共同訓練も行ないました。なお、この航海では「いずも」に上自の水陸機動団が乗艦、陸海統合運用による作戦能力向上を目指しました。
2021年5月末、英海軍の航空母艦「クリーン・エリザベス」は5月に本国を出発、ＮＡＴＯ加盟国の艦船と打撃群を組み、共同訓練を重ねながら9月4日に横須賀に入港。英空母としては「イラストリアス」以来24年ぶりの日本訪問、「クリーン・エリザベス」は初来航とあり、ニュースでも大きく取り上げられました。
また、入港に前後して英海軍とともに来日した仏、蘭、独艦などとの共同訓練も行なわれました。「いずも」は9月8～9日にかけてＭＣＨ－101掃海・輸送機とともに日英米蘭加共同訓練「パシフィック・クラウン21－４」に参加、戦術運動、通信訓練、発着艦訓練、ＰＨＯＴＥＸなどを実施しました。
「いずも」はこの時点でＦ－35Ｂの離発着を可能とするための最初の改修（飛行甲板の耐熱塗装・標識塗装など）を終えており、10月3日には米海兵隊岩国基地所属機のＦ－35Ｂ2機が初めて「いずも」への発着艦試験に成功しています。
12月に中国海軍の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦など4隻で艦隊を組んで東シナ海から太平洋に進出した際には、情報収集を行ないました。「遼寧」など8隻は翌年5月にも沖縄本島と宮古島との間の海域を南下し太平洋へ向けて航行、その際も情報収集・警戒監視を行ないました。
2022年以降は各国との共同訓練が盛んに行なわれています。
6月には令和4年度インド太平洋方面派遣「ＩＰＤ22」に参加するため護衛艦「たかなみ」と横須賀を出港し、10月に帰港するまでの間に数々の共同訓練を実施。
時系列としては日米豪共同訓練（ＮＯＢＬＥ ＰＡＲＴＮＥＲ22）、日米共同訓練（ＩＬＥＸ22ー２）、日仏共同訓練（オグリ・ヴェルニー22－４）、米海軍主催多国間共同訓練（リムパック２０２２）。日米共同訓練（ＩＬＥＸ22－６）の前後には日メキシコ親善訓練や日加新共同訓練も実施。さらに日米豪韓加共同訓練（ＰＡＣＩＦＩＣ ＶＡＮＧＵＡＲD22）、日米加共同訓練（ノーブル・レイヴン22）に参加し、115日間に渡る航海を締めくくっている。長いですね。
2023年、「いずも」は昨年に引き続き令和5年度インド太平洋方面派遣「ＩＰＤ２3」に参加するため5月末に横須賀を出港、日米仏共同訓練「Ｍｕｌｔｉ Ｂｉｇ―Ｄｅｃｋ Ｅｖｅｎｔ」、日米加仏共同訓練「ノーブル・タイフーン」日米加共同訓練「ノーブル・レイブン23」を実施。6月20日にベトナムのカムラン湾国際港に寄港した後、日越親善訓練、日豪共同訓練「トライデント23」を実施しました。さらに米豪主催多国間共同訓練「タリスマン・セイバー23」に参加するなど、昨年同様、インド太平洋地域において忙しい夏を過ごしました。
（つづく）