「いずも」型護衛艦運用史(1)

先週までは護衛艦「ひゅうが」型運用史をご紹介してきましたが、今週からは同じく護衛艦の「いずも」型運用史についてご紹介したいと思います。

護衛艦「いずも」は2015年3月25日に就航し、護衛艦「ひゅうが」に替わり第1護衛隊群第1護衛隊に編入、横須賀に配備されました。
初の災害派遣任務は2016年4月に発生した熊本地震です。北海道から九州に派遣される陸自車両の積み込みなどにかかる時間短縮のため、「いずも」は初の北海道入り。統合輸送任務に従事し、陸自北部方面隊の約160名と車両約40台を北海道の小樽港から福岡の博多まで3日間で輸送しました。さらに同規模の隊員と車両を、熊本の八代から北海道の函館まで輸送。
また、翌月には伊勢志摩サミット警戒監視任務のため、護衛艦「いかづち」など6隻とともに名古屋市の金城埠頭に入港しました。

2017年には初の長期にわたるインド太平洋地域での各種訓練に参加しました。
5月1日に横須賀を出港、2016年3月に施行された安全保障関連法に基づき、房総半島沖周辺で合流した米海軍太平洋艦隊所属の補給艦と周辺の警戒、監視にあたりながら、四国沖まで共同で航行。自衛隊の艦船が平時に米軍艦船を守る「米艦防護」を初めて実施しました。
その後、護衛艦「さざなみ」などと南シナ海で日米共同訓練を実施後、シンガポール海軍主催国際観艦式式ならびに併せて実施される多国間洋上訓練へ参加。続いて「パシフィック・パートナーシップ2017(米海軍を主体とする艦艇が地域内の各国を訪問して医療活動や文化交流などを行ない、その際に各国政府、軍、国際機関、NGOとの協力を通じて参加国の連携強化や災害救援活動の円滑化などを図る活動)」に参加、ベトナムのカラン湾に寄港しました。
6月にはフィリピンのスービックにも寄港、7月10日からは日米印共同訓練「マラバール2017」に参加し、インド・チェンナイ(停泊フェーズ)およびインド東方海域(洋上フェーズ)で対潜戦、対水上戦、対空戦訓練などを実施した後、8月9日に横須賀に帰港した。久しぶりの日本ですね。本当に頭が下がります。同年12月にはカナダ海軍との共同訓練「KAEDEX」にも参加、本州南方海域で対潜訓練などを実施しました。

2018年10月。
前年から招待されていた韓国南部の済州島で開かれる国際観艦式に参加予定でしたが、韓国側は参加国に対し、海上パレード中は艦艇に自国国旗と開催国である韓国国旗だけを掲げるよう要請してきました。要は旭日旗を掲げるな、ということです。
しかし村川豊海上幕僚長(当時)は記者会見で「自衛艦旗(旭日旗)の掲揚は自衛隊法などの国内法令で義務付けられている」「自衛艦旗は国連海洋法条約上、軍隊に所属する船舶の国籍を示す外部標識に該当する」と要請に応じない考えを示し、政府も参加送りを決めました。(つづく)