「ひゅうが」型護衛艦運用史(3)

2019年3月、「ひゅうが」は海上自衛隊舞鶴基地北吸岸壁で開催された「京都舞鶴防災フェスタ2019」に参加。
大規模地震が発生し集落が一部孤立したという想定で、「ひゅうが」は災害対応拠点として航空機による負傷者受け入れおよび医療処置拠点などとしての役割を果たしました。
この日は舞鶴基地に配備されている護衛艦やイージス艦の一般公開も兼ねていたため、「ひゅうが」の艦内の見学希望には長蛇の列ができました。

2020年12月には米海軍駆逐艦「ジョン・S・マケイン」とP-8A、仏海軍潜水艦「エメロード」と沖ノ鳥島周辺海空域で、対潜戦訓練の日米仏共同訓練を実施しました。コロナ禍での訓練はいつにもまして気の張るものだったことが想像できます。狭い艦内で感染者がひとり出れば多くの濃厚接触者が出るわけで、クラスターにもつながり、訓練を中止して日本に戻らなければならない状況もありえるわけですから……

2021年10月、まだコロナ収束の兆しが見えないなか、前回は「京都舞鶴防災フェスタ」という名称で開催された訓練も「令和3年度舞鶴総合防災訓練」と名を変え、参加者も前回の半数以下にして実施されました。
「ひゅうが」には国際埠頭のガントリークレーンを使って支援物資の入ったコンテナが積み込まれたほか、前回同様、災害対応拠点ならびに医療処置拠点として機能。舞鶴の国際埠頭に護衛艦が入ったのはこれが初めてのことでした。

2022年1月には海上自衛隊の戦術技量および米海軍との相互運用性の向上を目的に、沖縄南方海空域において米海軍空母「カール・ビンソン」等と日米共同訓練を実施。また、2月から3月にかけては関東南方からグアム北方で行なわれる日米共同訓練に、護衛艦「しらぬい」、陸上自衛隊水陸機動団とともに参加し、対地射撃、対水上戦などの訓練を実施しました。
なお、この2つの日米共同訓練の間に当たる1月31日に発生した小松基地に所在する空自飛行教導群のF-15DJ墜落事故に際しては、艦載機で捜索活動に従事しました。
7月には陸自第1ヘリコプター団輸送航空隊のV-22オスプレイが「ひゅうが」に発着艦する要領について検証しました。

11月8日から11月15日にかけては、関東南方海域において実施される日米印豪共同訓練「マラバール2022」に参加。「マラバール2016」では日米印共同訓練でしたが、今回は豪海軍も加わりました。海自からは「ひゅうが」のほか護衛艦「たかなみ」「しらぬい」、輸送艦「くにさき」、補給艦「おうみ」、潜水艦、P-1哨戒機、UP-3D多用機、そして特別警備隊が参加し、対潜戦、対空戦、洋上補給など各種訓練を行ない、相互運用性の向上を図りました。

そして今年、2023年8月21日から8月28日にかけては、千島列島東方から関東南方の訓練海空域において、米海軍駆逐艦「ベンフォールド」、カナダ海軍フリゲート「オタワ」・「バンクーバー」、補給艦「アステリクス」とともに日米加共同訓練「ノーブル・チヌーク」を実施し、各種戦術訓練を行ないました。
先月の9月23~24日には、宮城県仙台港高松埠頭で、「みょうこう」とともに一般公開&特別公開を実施。約6500人の来場者でにぎわいました。