「ひゅうが」型護衛艦運用史(2)

海上自衛隊「ひゅうが型」の「ひゅうが」と「いせ」が配備された護衛隊や、各種訓練、災害派遣での活動などについてご紹介する連載、第2回です。

2009年3月19日に就航し、第1護衛隊群第1護衛隊に編入、横須賀に配備された「ひゅうが」は2015年3月25日、護衛艦「しらね」除籍に伴い、第3護衛隊群第3護衛隊に編入、横須賀から舞鶴に転籍しました。なお、第1護衛隊群第1護衛隊には2015年3月に就役した護衛艦「いずも」が編入しました。

同年8月から9月にかけて日米共同統合訓練「ドーン・ブリッツ15」に参加、米軍との連携および島嶼侵攻対処にかかる一連の作戦行動の演習を行ないました。

2016年4月に発生した熊本地震の際は、被災地支援のため八代海に展開。輸送支援を行なっている米海兵隊のMV-22が「ひゅうが」に着艦し、艦上で救援物資を積み込み南阿蘇村に空輸しました。「ひゅうが」は物資の集積拠点やヘリの運用拠点としての機能を果たし、オスプレイへの燃料補給も行なわれました。

同年6月10日から17日にかけて、九州西方の東シナ海で始まった海自と米、印両海軍による共同訓練「マラバール2016」に参加。訓練終了後は6月末に行なわれる米海軍主催の環太平洋合同演習「リムパック2016」に参加するため、横須賀に戻ることなくそのままハワイへ向かいました。なお、「リムパック」は1971年からほぼ隔年で実施されている世界最大級の多国間海上訓練で、海自は1980年から参加、今回が19回目となります。諸外国とのたて続けの訓練で、長い航海となりました。

2017年1月には、舞鶴港内および若狭湾北方海域においてロシア海軍太平洋艦隊所属のミサイル駆逐艦「アドミラル・トリブツ」、補給艦「ボリス・ブトマ」とともに日露捜索・救難共同訓練を実施しました。海上自衛隊の捜索・救難に関する技量の向上を図るとともに、ロシア海軍との相互理解の増進および信頼関係の強化を図ることが目的だったので、残念ながら(そして当然ながら)現在この共同訓練は継続されていません。

2018年5月には輸送艦「しもきた」(LCAC×2を含む)と水陸機動団演習に参加。陸自の水陸機動団、第1ヘリコプター団、西方航空隊等と水陸両用作戦に係る海自と陸自の連携要領の向上を図り、海陸協同による作戦能力の維持・向上を図りました。

そして同年10月には南海トラフ巨大地震を想定し和歌山県白浜町などで実施された「日米共同統合防災訓練」に参加しました。
和歌山県沖でマグニチュード9.1の地震が起き津波が押し寄せたという想定で、白浜町沖約30キロを航行する「ひゅうが」のヘリ格納庫内に被災者や被災した病院の患者を一時的に収容する臨時の医療施設を開設しました。また、「ひゅうが」には100人以上の患者が運ばれてきたとの設定で、自衛隊員や消防、災害派遣医療チーム(DMAT)が連携して診療の訓練を実施しました。
翌11月から12月にかけては、バシー海峡周辺から関東南方に至る海空域で米海軍空母「ロナルド・レーガン」など艦艇数隻と日米共同巡航訓練を行ないました。

このように「ひゅうが」の各種訓練を振り返ると、米海軍はじめ諸外国との共同訓練がもはや当たり前になっていることがよくわかります。まだまだ続きます。