海自航空輸送部隊 第61航空隊(7)

取材当日、筆者が朝6時半過ぎに厚木航空基地に到着した時点で、すでにブリ―フィングは終了していました。

ブリーフィングでは、当日の行動予定や重量や重心、積載物の確認などを行なったそうです。この日のクルーは全員男性でしたが、女性の操縦士やロードマスターなどもいます。また、常に同じメンバーというわけではなく、スケジュールに合わせて組み合わせは変わります。この日の操縦士2名はいずれも正操縦士の資格を保有しているため、往路と復路で正操縦士と副操縦士の役割を入れ替えるとのこと。なお、機長は幹部自衛官の最先任となるため、航法・通信員が機長となることもあります。

この日、硫黄島まで運ぶ物資は航空機の部品、隊員の個人貨物、文書や事務用品などの一般用品など。復路も一般用品などのほか、荷物を積んで運ぶためのパレットも硫黄島から持ち帰るほか、硫黄島勤務の隊員数名も乗り込むことになっています。

重量的には通常とほぼ変わらず、往路が約3.5t、復路が約3.2t。今回は厚木~硫黄島の往復ですが、別の日は厚木~岩国~那覇~岩国~厚木というフライトもあり、拘束時間も長くなります。硫黄島からさらに南鳥島まで足を伸ばすルートになると日帰りは不可能で、現地に泊まる必要があります。体力的にも厳しい任務であることを実感させられます。

6名のクルーは離陸前から粛々とそれぞれの仕事を行なっています。ロードマスターは積み荷を機内へ、FEはフライト前の最終点検、パイロットたちもコックピットで準備を進め、定刻の8時半に出発。ありがたいことに、コックピットに座席を用意してくれたので、操縦士、航法・通信員、FEの働きぶりを目の当たりにでき、上空からの眺めも堪能することができました。

この日は朝から気温が軽く30度を超える暑い日で、乗り込んだ機内も相当な暑さになっています。貨物と人がいるエリアは徐々に空調が効いていきましたが、操縦士2人と航法・通信員、FEの4名が座る直射日光をもろに浴びるコックピットはなかなか気温が下がりません。窓には日差しを防ぐシェードも貼り付けられており、ダクトからは冷房が流れているはずなのが、冷房というより「涼しめの送風」。このような環境で、クルーは日々輸送業務に任じているのです。

一定の高度に達すると、C-130Rはオートパイロットに切り替わりました。巡航高度1万7000ftは民航機の約半分、速度も民航機の6~7割程度です。この日は気流も安定し眼下の雲も少なく、日本でいちばん新しい島である西之島も見ることができました。

上空から摺鉢山が見えて来たら、間もなく着陸です。機体が停止すると、すぐさま硫黄島航空基地隊の隊員たちが手際よく荷物を下ろし始め、新たに積載する荷物を運び入れていきます。

硫黄島の特地勤務手当は1~6級のうち最大の6級。いかにここでの勤務が過酷であるかの表れといえるでしょう。

硫黄島も東京に劣らぬ厳しい暑さで、照り返しもきついです。これで渇水制限が発令中というのだから、硫黄島在住の隊員たちの苦労がしのばれました。

実は、フライト中に「4番(エンジン)、トラブル」という言葉がヘッドセットから流れてきました。尋ねたところ、フライト中、エンジンに氷が付着しないための装置であるエンジンアンチアイスが意図せず作動したそうです。フェイルセーフ(構成部品になんらかの障害が発生した場合、常に安全側に動作するようにすること)の機能が作動したためであり、フライトには大きな影響はないとのことでした。



(つづく)