第2師団冬季戦技競技会(1)

令和5年1月26日~27日の2日間、北海道上富良野演習場にて第2師団冬季戦技競技会が開催されました。

隔年で開催されているこの競技会は、「冬季の作戦行動に直結する戦闘戦技能力の向上を図るとともに、部隊の士気の高揚及び団結の強化を図る」という目的で行なわれています。

自衛隊にはさまざまな競技会があります。

たとえば航空自衛隊の戦技競技会戦闘機部門などは参加する戦闘機が特別塗装で挑むため、航空ファンからも注目を浴びる競技会として知られています。

ちょっとユニークなものでは調理競技会やラッパ競技会なるものもありますが、野外で迅速に、かつ隊員のモチベーション維持向上に一役買う料理を提供することは重要な任務ですし、各種式典をはじめ、起床から課業開始、食事、就寝まですべてラッパの音色で知らせる自衛隊において、音を外さず(自衛隊のラッパはピストンバルブが付いていないので息の速度で音を変えます)美しい音色を出せるか、これもまた非常に大事なことです。

陸上自衛隊でも射撃、持続走、武道といった各種競技会のほか、職種や特技別にも競技会が行なわれています。

さらに全自衛隊で競うものは競技会ではなく大会となり、「全国自衛隊銃剣道大会」「全国自衛隊拳法選手権大会」など、こちらも各種大会が開催されています。私も北部方面隊または第7師団が開催する戦車射撃競技会は何度も取材する機会を得ており、隊員たちの一撃にかける熱い思いを目の当たりにしてきました。戦技の向上はもちろん、「士気の高揚及び団結の強化」という目的にかなっていることも理解しています。

けれど、かねてから気になっていることがありました。

これまでに訪れた部隊の中には、持続走(一般でいう中距離走)や格闘などが「戦闘戦技能力の向上を図る」という本来の目的から逸脱し、競技会や大会で勝利することが最優先事項となっているようなところも見受けられたのです。

選抜された隊員を指導する指導教官は、それこそ文字通り、1年中その競技にかかりきりです。そして指導教官がそのことに何の違和感も抱いていない様子なのが、長らく引っかかっていました。

今回、1月26、27両日に北海道上富良野演習場で開催された第2師団冬季戦技競技会を取材したのは、長年のモヤモヤを晴らしたいという思いがあったからです。

また、日本は積雪量も降雪量も世界1の記録を持つ世界でも有数の雪国であり(国土の51%が豪雪地帯)、積雪寒冷地部隊ではスキーは必要不可欠です。その練度を実際に見てみたいという思いもありました。