第2師団冬季戦技競技会(2)
冬季戦技競技会の競技種目は、スキー機動及びスキー機動に連接した小火器射撃です。部隊機動(団体戦)と個人機動(個人戦)があり、部隊機動ではアキオ(そり)曳行を含めた約6キロのスキー機動ならびに小火器射撃、個人機動は同コースのスキー機動のみの要領で実施されました。
競技は3つのグループに分けられます。
Aグループは第3即応機動連隊(名寄)、第25普通科連隊(遠軽)、第26普通科連隊(留萌)、第2特科連隊(旭川)で、抽選により各部隊2コ小隊が参加(1コ小隊19名)。
Bグループは第2戦車連隊(上富良野)、第2後方支援連隊・第2高射特科大隊・第2施設大隊・第2通信大隊(旭川)で、抽選により各部隊2コ小隊が参加(1コ小隊6名)。
Cグループは第2偵察隊(名寄)、第2情報隊・第2飛行隊・第2特殊武器防護隊(旭川)、第2対舟艇対戦車中隊(上富良野)、第2師団司令部付隊(旭川)で、部隊長指定により各部隊1コ分隊が参加(1コ分隊5名)。
さらに第2音楽隊(旭川)が個人機動のみ参加。
競技参加者は151名、統裁部人員約400名、車両約160両という規模です。
ここでぜひ注目していただきたいのが、出場する隊員の人選です。
私がこれまで気になっていた競技会では、部隊の中からその競技に長けている選手を最優先に選出していました。たとえば師団持続走競技会なら、どこの中隊等に所属していようが関係なく、タイムの速い隊員が連隊代表として選出されるといった具合です。
ところがこの競技会では、参加できる部隊は抽選で決まるので、それに漏れたらどれほどスキーに長けた隊員でも部隊機動に出場することはできません。
たとえばAグループの3即機、25連隊、26連隊はそれぞれ第1中隊と第2中隊、第2特科連隊は第1大隊と第2大隊が参加できることになり、それ以外の中隊、大隊に所属している隊員は個人機動に回るしかないのです。
それだけではありません。
1コ小隊19名も「スキーが速い順に19名選ぶ」というわけにはいかないようになっています。
Aグループの1コ小隊は小隊本部と第1、第2分隊で編成されますが、小隊本部の小隊長は幹部、小隊陸曹は准尉・曹長・1曹のいずれかなど、階級が指定されています。分隊も分隊長が2曹以上、残りの走者7名のうち5名は3曹以上、1名は女性自衛官または陸士、1名は陸士となっています。つまりどれほど速い陸士が3名いたとしても、部隊機動に参加できるのは2名だけというわけです。
では、部隊機動に参加できない走力に長けた隊員がみな個人機動に回れるのかというと、これまた階級の指定があります。
Aグループで個人機動に参加できるのは12名、そのうち5名は陸士、3曹、2曹、1曹~准尉、幹部から1名ずつと定められており、階級を気にせず参加できるのは7名のみ。
参加部隊を抽選で決め、さらに走者の階級を指定することで、一部のスキーに長けた隊員だけが勝敗を競う競技会にはならないことが、これだけでもわかります。