MCV配備部隊&密着ルポ(6)

2023年9月10日

MCVの初めての射撃訓練2日目は7.6mm機関銃の射撃からスタート。まず点目標に対し同時に多数弾を集中する点検射を実施後、連装銃停止射撃で近距離、遠距離の目標に対して連射を行ないました。
そして再び主武装の10mmライフル砲の射撃、今度は戦車砲停止射撃です。実射前に非実射予行を実施後、近目標標的、遠目標標的に射撃します。
初弾で命中弾を得られなかった場合、車長は修正号令をかけ、2発目を射撃します。ここでは迅速に目標を捕捉できたか、操砲は円滑だったか、最初の照準状態へ迅速に復帰できたか、車長の修正指示による砲手との意思疎通などが指導のポイントとなります。

3日目は難易度がより上がり、戦車砲躍進射撃に挑みました。躍進射とは停止直後、速やかに射撃するというものです。停止してから改めてじっくり弾着点を確認するといった時間はないので、乗員たちにはさらに高い技術が求められることになります。
MCVは状況開始線進入後に射撃用意を実施。準備完了後、時速3kmで躍進を開始します。目標の付与後、車長の号令により目標に対して射撃します。
そしてさらに難易度はアップし、今度は止まらずに射撃する戦車砲行進射撃となりました。もちろんこれまでの射撃同様、隊員にとってもMCVという装備品にとっても初めての射撃です。要領は躍進射撃と同じですが弾薬はTPに変更、時速2kmで行進しつつ、目標が付与されると車長の号令に基づき行進射撃を実施します。

最終日は今回の訓練の集大成でもある単車戦闘射撃が行なわれました。
戦闘射撃はその名の通り、戦闘しているという想定で行なう射撃なので、射撃目標となる標的がいつどこに現れるかわかりません。状況開始でMCVが前進すると、いきなり無線で目標が付与されます。HEATを停止射撃した後、今度は1~4番ある目標のうちから「○番」と指示、その段階で行進射撃する。とても数日前に初めての射撃をしましたとは思えないほど高い精度で標的に命中させ、初の射撃訓練は終了しました。

このように一連の訓練を最初から最後まで見届けると、射撃訓練といっても段階を踏んで徐々に難易度を上げていくことや、射撃の種類によって砲弾も変わることなどがよくわかります。隊員たちは緊張もあったでしょうが力みは感じられず、終始落ち着いた様子で射撃に臨んでいたのが印象的でした。

ここまでが2021年10月に行なわれた第3普通科連隊MCV中隊準備隊、初の射撃訓練です。
次に取材に訪れたのは2022年2月。場所は昨秋と同じ上富良野演習場ですが、すでに演習場は深い雪に覆われた一面の銀世界。演習場内も車両が通るところは除雪されていますが、秋のような機動力を発揮できるのでしょうか。