MCV配備部隊&密着ルポ(7)

2022年2月、北海道上富良野演習場にてMCV射撃訓練が行なわれました。昨年秋の射撃訓練に引き続き、段階的に練成射撃を実施して射撃練度の向上を図るとともに、新たに納入された車両の初度射撃を実施するのが目的です。
隊員たちは月初めの練成訓練に続いて第2師団訓練検閲に対抗部隊として参加、その後この射撃訓練と、2月はずっと上富良野演習場にこもったままです。
早速、齋藤MCV準備隊長に、まずは対抗部隊として参加していた訓練検閲について話を聞きました。
「戦車部隊の場合、知らない普通科連隊にいきなり付けられて知らない人と話をして、スムーズな意思疎通ができるようになったと思ったことには訓練終了、ということが多々ありましました。しかしうちは普通科部隊と普段から一緒にいますし、なかでも2中隊とはずっと共に訓練していたのでコミュニケーションがとりやすく、結果的に対抗部隊として大いに力を発揮できましました。また、MCVは戦車よりも速度が出ますし普通科の車両と同じ装輪道で移動できるので(※戦車が演習場内で走行できる道路は装軌道のみ)、より普通科と協同しやすいという側面があります。そこで今回はまず普通科が攻め、敵が下がりそうになったところをMCVが撃つという戦い方をして成果を上げることができましました。冬なのでそれほど自由に動き回れる形ではありませんでしたが、夜間の普通科部隊との協同連携も偵察調整の段階からしっかり訓練ができましました」

昨年秋の射撃の成果を詳しく分析したところ、予想以上に命中弾が得られており、射撃までの早さもそれなりにできていたため、今回の射撃では4両並んで射撃する小隊戦闘射撃を実施してみることになったそうです。
隊員たちは寝泊りしている廠舎でまだ夜明け前の5時半に朝礼を行ない、6時過ぎには射場に到着、作業を始めています。
気温はマイナス17度。最北の部隊といえども、全国の戦車部隊から異動してきた準備隊の隊員は、この寒さと雪深さにまだ慣れていないかもしれません。

射場にはMCV4両が同時に走行できるようA~Dレーンが構成されています。MCV乗員は防寒戦闘服、防寒靴、装甲帽(下車時は鉄帽着用)、弾帯、個人携行救急品、防寒服と、一様にもこもこしているのでかなり動きにくいようです(個人的にはこのもこもこぶりはちょっとかわいくて好きです!)。これも寒冷地ならではの特性です。齋藤準備隊長も乗員たちへ「冬季射撃は防寒具で動きにくいので、1つひとつの動作を焦らなくていい」と伝えていました。

射撃初日の初度射撃は、全車両とも最初の1発目は全員下車して車外からリモートでTP(演習弾)を射撃します。これは昨年秋の初度射撃と同じ要領です。この初度射撃では、バッテリーが上がってしまう現象が発生しました。また、レーダーの故障も発生しましたが、これは射撃の衝撃などで生じる故障のため、事前に察知するのは難しいとのこと。初度射撃ではこのように不具合が発生しますが、この段階でむしろまとめて不具合が出てくれたほうが、早い段階で対処できるので悪いことではありません。実際、この日の午後に行なわれた午後0点規制射撃、小隊検閲射撃予習は順調に実施されました。