国際防衛ラグビー競技会(IDRC・軍事ラグビー)(1)

2019年秋、日本で開催中のラグビーワールドカップ(W杯)は大いに盛り上がりを見せましたが、それに先がけて、もうひとつのW杯ともいえる国際防衛ラグビー競技会、通称IDRCが同じく日本で開催されました。W杯と同じく日本での開催は初めて、かつ、防衛省がこれだけの国を集めてスポーツの大会を開くのも初めてです。

IDRCは各国軍(日本は自衛隊)で最強のラグビーチームを決める大会で、ラグビーW杯が開催される年に、開催国の国防省(日本は防衛省)がホストとなって行なわれます。各国軍間の相互理解や交流を深めるのが目的で、2019
年の日本開催で3回目となります。
オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、トンガ、パプアニューギニア、ジョージア、イギリス(過去の大会では陸・海・空軍の3チームで参加していましたが、今大会では英国軍チームとして1チームで参加)、フランス、韓国、そして日本の10カ国のチームが参加し、トーナメント方式により優勝チームを決定します。

第1回は2011年、NZ/豪の共催で英国陸軍チームが優勝、第2回は2015年に英国で開催され、フィジー軍が優勝しました。日本は第2回大会から参加(おそらく第1回も打診はあったはずですが、東日本大震災にかかる災害派遣等で、とても参加できる状態ではなかったと思われます)、予選プールで敗退したものの、敗戦国同士による親善試合でジョージアに劇的逆転勝利しました。

このようにIDRCの歴史は15年ほどの短いものですが、軍隊・軍人とラグビーには長い歴史と深い関わりがあります。
世界初の軍人によるラグビー国際大会は第一次世界大戦が終了した直後、1919年に英国で開催されたキング・ジョージ5世杯だと言われています。
日本でも太平洋戦争中、西洋発祥のスポーツがほとんど行なわれなくなっていた時期でさえ、ラグビーは海軍機関学校の必修スポーツでした。防衛大学校のラグビー部も開校以来もっとも早く創設された運動部のひとつですし、現在も部員150名を擁する人気の校友会です。ラグビーの体を張った敢闘精神やone for all, All for one の言葉に象徴される自己犠牲の精神、そして試合が終われば敵味方関係なく互いのフェアプレーと健闘と称えあうノーサイドの精神が、軍人に求められる精神的気質に合致しているのでしょう。

自衛隊では「全自衛隊ラグビー大会」が1956年から現在までに65回開催され、全国の有志24チーム約600名が参加しています。IDRC2015では自衛隊体育学校を基幹に選手を招へいしましたが、2019年は全国の自衛隊ラグビーチームから選抜された選手で編成、初めて陸海空や所属チームといった垣根を超えたオールスターチームが実現しました。その名も「ディフェンス・ブロッサムズ」。W杯日本代表の愛称「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜戦士)」にちなんで名づけられました。

(つづく)