デビュー作 「オリンピックと自衛隊 1964-2000」 の刊行が決まりました!

2023年3月14日

こんにちは。ライターの渡邉陽子です。

 このたび並木書房から「オリンピックと自衛隊 1964-2000」を刊行することとなりました。
「自衛隊とオリンピックの関わりについて書いてみませんか」と、並木書房の編集者さんよりご連絡をいただいたのは、約1年前のことです。この軍事情報で毎週配信していただいているメルマガを目にして、声をかけてくださったのでした。
 それまで自衛隊アスリートの取材をしたことはあっても、オリンピックにおける自衛隊の支援についてかえりみたことはなかったので、お話をうかがった瞬間から「知りたい」「調べたい」「書きたい」「紹介したい」という気持ちがどかんと噴き出しました。
 目の前の締め切りに追われて思うように執筆のペースが上がらず、気持ちばかりが焦る時期もありましたが、ようやく1冊の本にまとめることができました。

 作業を進める中でなによりも驚いたのは、1964年の東京オリンピックでは、発足して10年足らずの、まだまだ世間から向けられる目も冷たい時代の自衛隊が、驚くほど多くの支援を行なっていたということです。自衛隊におんぶにだっこ状態の競技まである始末で、自衛隊の支援なしに東京オリンピックの成功はありえなかったことを初めて知りました。
 また、それほど多大な支援を行なったことを、現役自衛官がほとんど知らないことにも驚きました。そのような支援を行なったという事実を知る機会が、自衛官ですらなかったということです。
 自衛隊でその状態ですから、国民が知っているわけがありません。
 自衛隊の取材をするようになって、僭越ながら、いつでも「自衛隊と国民の架け橋になりたい」と思ってきました。ときに(自衛隊用語を世間一般用語に訳す)通訳として、ときに解説者や船頭としてわかりやすい言葉で発信することで、微力でも国民が自衛隊を知る手伝いができればと思ってきました。今回、その思いを書籍というひとつの形にできたことを、とてもうれしく思います。

 なお、本書では自衛隊体育学校と自衛官アスリート、2020年東京オリンピックにも触れています。現役選手、指導者、そしてメダリストのインタビューでは、みなさん実に魅力的で、かつ、飾らない言葉で本音を語ってくださいました。いま思い出しても楽しい取材でした(体育学校に入り浸り密着取材したいと本気で思いました)。読了後に私同様、「自衛官アスリートを応援しよう! めちゃくちゃひいきにしよう!」と思っていただけたら本望です。

つたないメルマガを読んでくださっている読者の方はとうにご存じのことですが、私は軍事評論家でも装備マニアでもない、すべての知識が中途半端なフリーライターに過ぎません。そんな立場の人間でも、自衛隊を世に紹介することはできるのだと、この本によって再認識することができました。
 多くの方にお力をお借りして、公式文書以外で1964年の東京オリンピックと自衛隊との関わりをここまで追求した書籍はないと、自負できる本になりました。ぜひ、ひとりでも多くの方に読んでいただき、東京オリンピックにおける自衛隊の活躍を知っていただきたく思います。そして「こんなことまで手伝ったのか!」「そんなことまで頼まれたのか!」「なんという完璧な支援!」と、大いに驚いていただければ幸いです。

オリンピックと自衛隊

2016年5月 渡邉 陽子