対馬の3自衛隊(4)

2025年2月24日

対馬駐屯地についてさわりだけしかご紹介できていませんでしたが、今週はその続きからです。

対馬駐屯地の所在部隊は、西部方面隊所属の対馬警備隊をはじめ、第304基地通信中隊対馬派遣隊、第436会計隊、防衛大臣直轄部隊第134地区警務隊対馬連絡班など。加えて2024年3月には陸自健軍駐屯地(熊本県)に本部を置く陸上総隊直轄部隊隷下の、平時には電波の収集や分析を、有事には電磁波で相手の通信やレーダーを妨害するといった任務を担う第301電子戦中隊の一部が配備されました。これは離島の電子戦部隊を強化する計画の一環です。

対馬警備隊の編成は隊本部、本部中隊、普通科中隊、後方支援隊からなります。
本部中隊には施設作業小隊や狙撃班、衛生班も置かれ、4個小銃小隊(車両は軽装甲機動車を含む)、迫撃砲小隊、狙撃班からなる普通科中隊に加えて後方支援隊まである、充実の編成です。普通科連隊に比べ規模は小さいものの同格扱いであり、警備隊長に連隊長クラスの1佐が就く点からも、対馬警備隊がいかに重要な任務を担った部隊なのかがわかります。離島における国境防衛という任務や、災害等により島が孤立したときでも任務が遂行可能な備えといった背景があるのでしょう。

対馬警備隊隊長兼ねて対馬駐屯地司令の鏡森直樹1佐に話を聞きました。
「北部九州は地政学的にも戦略的にも非常に重要な地域であり、なかでも対馬は対馬海峡と接している戦略的要塞です。対馬警備隊は国防の第一線に所在する部隊として、災害派遣を含む有事の際の対馬の防衛警備を主たる任務としています」

海自対馬防備隊と空自第19警戒隊がそれぞれ対馬海峡の海域・空域を警戒監視していますが、万一その目をかいくぐって対馬に侵入する不審船やゲリラが現れた場合、水際で阻止して上陸を防ぐのが対馬警備隊の役目です。本土から増援部隊が到着するまでは対馬警備隊だけで対処する必要があるため、400名に満たない規模の部隊ながら装備は充実しているのが特徴です。
また、釜山から対馬の比田勝へはフェリーで約90分という距離だけに、特殊工作員などが観光客に紛れて入国したり、難民を装ってボートで上陸を試みたりする可能性もあります。
そのため、対馬警備隊の隊員はカモフラージュのためのドーランを塗る際、同じ柄で統一します。東洋人の顔は敵味方を判別しにくいため、相手が自衛官のふりをした際にこの柄で判別するのです。

「島内の訓練環境については島民のみなさまの理解もあって大変恵まれており、他部隊からもうらやましがられます。ほかの警備隊が視察に来たり、協同訓練をしたりすることもあります。昨年も水陸機動団が上陸訓練のために対馬を訪れた際に協同訓練を実施しました。生地訓練には恵まれた環境である一方、大規模な射撃訓練などは九州の日出生台演習場まで行かなければなりません。悪天候でフェリーが欠航すると、訓練計画にも支障が生じます。高い即応態勢を維持しつつ島外での訓練を行なうというのは、離島所在の部隊ならではの苦労といえるでしょう」

(つづく)