第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(5)

先週までは2021年2月に行なわれた第3普通科連隊を基幹とする第3戦闘団を受閲部隊とした令和2年度第4次師団訓練検閲と、その直後に開催された連隊小銃射撃競技会(冬季の部)をご紹介しました。
今週からはちょっと時間が進み、昨年9月に行なわれた16式機動戦闘車、通称MCVの入魂式の様子をご紹介します。
2021年9月、第2師団隷下の第3普通科連隊に16式機動戦闘車、通称MCVが納入され、入魂式が行なわれました。
3連隊は昨年度末に、即応機動連隊(以下、即機連)に新編され、その際にMCVも装備しましたが、そのための最初の1両が名寄にやって来たのです。時系列がごちゃつくのを避けるため、まだ即機連になっていない昨年9月時点という状況でご説明していきます。
即機連は25大綱(平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について)で示された統合機動防衛力に基づき、2018年3月から新たに編制されるようになった連隊です。
高い機動展開能力と諸職種部隊による編制が特色で、その特色を具現化したMCVは即機連の象徴的な装備品と言えます。
現在、即機連は西部方面隊第8師団隷下の第42即機連(熊本県)、中部方面隊第14旅団隷下の第15即機連(香川県)、東北方面隊第6師団隷下の第22即機連(宮城県)、そして北部方面隊第11旅団隷下の第10即機連(北海道。先日、演習場に向かうため一般道を走行中、大型トラックを避けようとして路肩に転落してしまいニュースになりました。幸いけが人はありませんでした)があり、3連隊が5番目、北部方面隊では2番目に新編される部隊となります。
即機連の部隊編制は、まず連隊本部と本部管理中隊(連隊本部班、補給、通信、衛生、情報、施設作業、対戦車、高射の各小隊)。
それから第1~3普通科中隊(中隊の内訳は中隊本部、第1~3小隊と迫撃砲小隊、WAPCを装備)、火力支援中隊(これまで普通科職種が重迫撃砲中隊で扱ってきた120mm迫撃砲を野戦特科職種が担当)、そしてMCVを装備する機動戦闘車隊となっています。
ただし北部方面隊隷下の師旅団には本州や四国地方と異なり戦車部隊が配備されているため、2個中隊の機動戦闘車隊ではなく、1個中隊の機動戦闘車中隊として編制されます。
参考までに、現在の普通科連隊である3連隊の編制は、連隊本部、本部管理中隊(本部班、情報、施設作業、通信、衛生、補給、対戦車の各小隊)、1~4普通科中隊(1中隊はWAPC、2~4中隊は高機動車を装備)、重迫撃砲中隊となっています。
MCVは105mm砲を搭載した陸自最新鋭の装輪装甲車です。火力と機動力を駆使して多様な事態へ迅速に対応するため、公道を時速100キロで走行できるという高い走行性や、C-2輸送機に搭載して空輸も可能という機動力が特色。
最新機器を多数採用し、射撃精度も高いと言われています。
次週は、入魂式にあたりインタビューした山﨑3連隊長のコメントをたっぷりお届けします。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)4月14日配信)