自衛隊とその他のUAV(4)

今週から海上自衛隊、航空自衛隊の無人機をご紹介します。
2020年11月19日、海自護衛艦で初めて対機雷戦能力を備えた平成30年度計画護衛艦「くまの(熊野)」(基準排水量3900トン、30FFM)が進水しました。
「くまの」には対機雷戦のためのUSV(機雷排除用水上無人機)およびUUV(機雷捜索用水中無人機)などの運用能力が付与されています。
USVは、UUVとは音波を、護衛艦とは電波を用いて情報の中継を行ないます。またEMD(自走式機雷処分用弾薬)の運搬・投下・中継や、USV自身による掃海具の曳航を行ないます。
UUVは2013年度から開発されていた自律型水中航走式機雷探知機で、このたびOZZ-5として装備化されました。
開発の背景には機雷の技術向上があります。
近年、ステルス機雷に代表される防探性の向上した沈底機雷が出現するとともに、浅海域等での局面で泥中に埋没した埋没機雷など、現有装備品では探知が難しい機雷の探知・類別能力が必要とされるようになりました。
そこで、これらの探知困難な機雷を安全に捜索するため、無人で広範囲を自律的に航走し探知する能力のあるOZZ-5が開発、装備化されたのです。
既存のS-10は外部電源や通信ケーブルを必要とするROV(遠隔操作型無人潜水機)であったのに対し、無人で水中を航走するため、より広範囲の捜索が可能です。
ソナーはサイドスキャンによる高周波・低周波合成開口ソナーを用いており(2周波の合成開口ソナーを同時搭載した水中無人機は世界初)、これにより高周波は小型・ステルス化した機雷を、低周波は泥質海底に埋没した機雷を探知することができます。
また、海上自衛隊は2023年度までに艦艇に搭載する無人航空機を3機導入し、周辺海域の警戒監視に当たらせることを計画しています。2020年10月には海上保安庁の保有する無人機「シーガーディアン」が八戸航空基地で実証実験を実施、海上自衛隊は滑走路や格納庫を貸し出して協力しました。この実験で得られたデータは海保から提供されるので、機種の選定や実際の運用方法の参考になっています。
続いて航空自衛隊の無人機です。
中期防で定めたとおり、防衛装備庁は2018年に米空軍省と滞在型無人機RQ-4B、通称グローバルホーク取得に関する契約を締結しました。
グローバルホークの導入に伴い、装備品の受入・維持管理や教育、運用試験等を円滑に実施するため、2021年3月に三沢基地に約70人体制の臨時滞空型無人機航空隊(仮称)を新編、順次3機を三沢基地に順次配備します。
米ノースロップ・グラマン社製造のグローバルホークは情報収集、警戒監視、偵察を任務とする高高度滞空型無人機です。
東日本大震災の際の米軍による救援活動「トモダチ作戦」では、米空軍のグローバルホークが東京電力福島第一原発の状況を上空から調査しました。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和三年(西暦2021年)12月9日配信)