防衛大学校(6)

先週に続き、防大の年間行事についてご紹介します。

7月
●遠泳(1年)
1年生最大の難関のひとつであり、夏季定期訓練の一大イベント。8キロの遠泳で気力と体力の限界に挑みます。入校当時はカナヅチだった学生も教官の指導によって、この日までには見事に泳げるように。泳ぎきった達成感は1年を大きく成長させます。ちなみに荒天のため海で泳げない年は、校内のプールを8キロ分、延々と往復するそう。ある意味海で泳ぐよりきつそうです。
●自衛隊見学(1年)
陸・海・空各自衛隊の見学に行き、2年以降の選択の参考にします。
●夏の定期訓練(2~4年)
陸・海・空に分かれてそれぞれの訓練を実施。部隊に出向き、基礎的な訓練を行ないます。
8月
●夏期休暇
1か月間の夏期休暇は各人帰省。1年は入校以来初めての帰省となりますが、真っ黒に日焼けし、たくましく成長したわが子の姿に、両親はいたく感動するそう(手早いアイロンがけやしわひとつないベッドメイキングの腕前を披露すると親御さんから驚愕されます。特に男子学生)。
また、夏期休暇を利用して各校友会は夏合宿を実施、長いところは3週間もの合宿を行ないます。学生の中には車の免許を取得したり海外旅行をしたりする学生も。
9月
●水泳競技会
各大隊対抗で実施。応援合戦も点数に入るので、応援にも力が入ります。

10月
●前期試験
試験期間は1週間ほど。結構大変なので、この時期は消灯を延期して勉強する学生も多いそう。
11月
●開校祭
防大の一大イベント。学生の家族のみならず、多くの来場者で校内がにぎわいます。防大名物でもある各大隊の名誉をかける棒倒しは圧巻! 親孝行フェアというイベントでは、親に面と向かってなかなか感謝の気持ちを伝えられない学生たちのメッセージが張り出されます。自分へのメッセージを見つけた親御さんは、思わず感激の涙……前夜祭ではアーティストを招いてコンサートが行われます。有名な人気アーティストが毎年登場するので、防大生大喜び。
●勤労感謝の日(大隊による)
普段は1年が清掃などの雑用をこなしていますが、この日だけは4年が清掃、1学年が指導と立場が逆転します。1年が調子に乗って指導していると、あとが怖いかも?

12月
●冬期休暇
約2週間。学生たちは帰省して正月を過ごします。成人式がある地域では成人式に参加、なかには制服で参加する学生もいるとか(注目されまくるそう)。
1月
●スキー訓練(2年)
訓練なのですが、実は学生にとってはイベントの要素の強い訓練として大人気&大好評。南国生まれで雪の上を初めて歩くという学生でも留学生でも、現職自衛官のスキーインストラクターに教えてもらってすいすい滑れるように。水泳にしろスキーにしろ、ひとりも欠けることなく全員ができるようになるのがこの組織のすごいところです。
2月
●卒業ダンスパーティ(4年)
グランドプリンスホテル新高輪飛天の間で行われる恒例行事。学生は制服、相手の男性・女性は正装。一緒に踊った相手が伴侶になることも。このとき彼氏・彼女のいない学生のため、パートナー斡旋組織を学生で作っているとかいないとか?
●後期定期試験
試験期間は1週間ほど。留年しないようにどの学生も必死。
●断郊競技会(3年)
4人1組のチームで重い荷物を背負って約7キロ走り、そのタイムを競います。チームの成績はもっとも遅い学生のタイムで決まるので、お互いが助け合い、チーム一丸となってゴールを目指します。競技会前には学生自らが練習を計画し、競技に臨みます。
※断郊 クロスカントリー
3月
●持続走(4年)
軽装で6キロ走ります。3年の断郊とは違い、己の限界に挑む個人競技。
●卒業式(4年)
内閣総理大臣などが出席する格調高い卒業式は、TVのニュースでもおなじみです。帽子をみんなで一斉に放り投げるシーンは有名(ちなみにこの帽子を拾うのは1年の仕事)。卒業後は陸・海・空各自衛隊の曹長に任命され、幹部候補生学校に入校します。ちなみに任官拒否した学生は、この場にいることは許されません。別の場所で卒業証書を授与します。
●春期休暇
約1週間。そしてあっという間に新しい学年が始まります。
次週は防大生の1日をご紹介します。
(以下次号)
(わたなべ・ようこ)
(平成29年(西暦2017年)9月28日配信)