はじめまして、渡邉陽子です。

2023年3月14日

このたびご縁あって、長年購読している軍事情報にコラムを執筆させていただくことになりました。

2001年からフリーランスのライターとして活動していますが、自衛隊に関わるきっかけは「セキュリタリアン」という防衛庁(当時)の広報誌で取材&執筆したことでした。その後「セキュリタリアン」の後継ともいえる「MAMOR」でもさまざまな部隊に行かせてもらったり有識者の話を聞かせてもらう機会を得たりして、気がつけばどっぷり自衛隊にはまっていた次第です。

かつての私は、従兄にレンジャー隊員がいるのにその意味も価値もまるでわかっていない人間でした。自衛隊は違う世界に存在する自分とは無縁の組織だと、なんの根拠もなく漠然とそう考えてもいました。

そんな私がなぜ自衛隊の記事を書くようになったのか、さかのぼれば原点は高校時代の部活動だったのだと思います。高校にはちょっと珍しく「航空部」というグライダーを操縦する部があり、私はそこに所属して3年間、毎週日曜日、埼玉県栗橋の利根川の滑走路でグライダーに乗っていました。上空で360度旋回すると都心の高層ビル(当時はまだサンシャイン60が一番のっぽでした!)から富士山、南アルプス、そして西に傾く赤い太陽が次々と目の前に現れ、翼のある乗り物にすっかりやられました。そしてもっと早い飛行機に乗りたいと、高校卒業後は旅客機にのめり込み、仕事とプライベート両方合わせると、70回ほど渡航しました。そのうち今度は旅客機よりももっと早い乗り物に興味を持ち、そこで戦闘機に行き着いたというわけです。

けれど人混みが苦手なので航空祭に足を運ぶわけでもなし、最寄りの基地に写真を撮りに行くわけでもなし、ただ「戦闘機、速くていいよね」と思っているだけです。ゆるゆるです。

転機になったのはフリーランスになったことだと思います。最初はJ-Wingを読んで満足していましたが(それ以前はAB-ROADとエアライン愛読者でした)、次第に戦闘機を運用するためにどんな部隊があるのか、その部隊はどんなところに所属しているのかと興味の範囲が広がっていき、最終的には「防衛庁は、自衛隊はなにをやっているんだろう」という大きな問いにたどり着いたのです。当時の防衛庁のHPは素人感満載のしょうもないつくりで、情報収集するにも心もとないということで、防衛白書を買って熟読しました。書店に防衛白書が売っていると知ったのも、このときが初めてでした。

そんなわけで月日だけは経ちましたが、私は軍事の専門家と言えるほどの知識はまだまだありません。装備品なら一般のマニアの方のほうがよほど詳しいでしょう。政策についても軍事ジャーナリストの方の足元にも及びません。あえて言うなら、専門家と一般国民の真ん中辺りに位置していると思われます。そういう立場だと、「自衛隊のなにがわからないのかもわからない」という国民の思いがよくわかります、私自身がそうでしたから。だから背伸びをせず、取材した部隊の紹介から記事にできなかった裏話まで、自衛隊に興味のない人が最後まで読んでくださるようなものをふわりと発信できたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

渡邉陽子