【本の紹介】『CIAの前身となった諜報機関の光と影 OSS(戦略情報局)の全貌』 太田茂(著)

2023年2月23日

なぜインテリジェンスの読み書き能力を身につけた
方がいいか?

インテリジェンスは人の世の「裏面」を扱う分野だからです。

現実は表裏で成り立っていることをきちと把握し、
それに基づく必要な抑止力をわがものにしておかないと、
あなたは常に「騙される側」「被害者」「ツケを支
払わされる側」に立たざるを得なくなるのです。

個人も国も同じです。それが人の世の仮借なき真実です。


『CIAの前身となった諜報機関の光と影
OSS(戦略情報局)の全貌』

著者 太田茂
出版年月日 2022/09/10
判型・ページ数 A5・336ページ
定価 本体2,700円+税
https://amzn.to/3fFTz5A

こんばんは、エンリケです。

どんな知的分野でも、基礎となるのは適切な用語定
義と歴史研究だと思います。

昨今、インテリジェンスの世界でこれらの充実が急
速に進んでいる感を持ちます。

上田さんの本、中西先生の本、江崎さんの本、
そして画期的な『インテリジェンス用語事典』など
など、刊行される書籍の蓄積が分厚くなっています。

インテリジェンスに関する本格書籍も市場に出てく
ることが増えてきてます。

とてもうれしくありがたいことですね。

さてきょうご案内しているこの本は、
世界各地で諜報工作や破壊工作を展開したOSS
〔Office of Strategic Services〕とはどんな組織か?
その設立から、戦後解体されてCIA(中央情報局)
が生まれるまでを、情報機関の視点から描き出した
WW2裏面史といって差し支えない書です。

ここまでOSSの全貌を本格的に描き出した本はこ
れまでなかったのではないでしょうか?

インテリジェンス研究者や史家、実務家はもちろん、
インテリジェンスマニアやファンの期待にも応え
てくれる一冊といえます。

OSSの歴史を簡単に振り返ると次のようになりま
す。

 1941年 情報調整局(COI)設立

 1942年 戦略情報局(OSS)設立

 1945年 トルーマン大統領の命によって解体

 1947年 OSSを前身とした中央情報局(CIA)設立

簡単すぎましたかw
ご勘弁をw

これを見る限り、
米の、いや世界のインテリジェンスの総本山とも見え
る「CIA」が意外に歴史が浅いことに気づかされます。

その割に影響力の大きさは、計り知れないものを感
じさせます。

なぜなのか?

そのあたりの勘所を、本書を通じて歴史から学び掴
みたいと思いませんか?

この本を読むと次のようなことが得られます。

◆世界各地で諜報工作や破壊工作を展開したOSS
〔Office of Strategic Services〕とはどんな組織か?

◆ドノヴァン長官の強烈な個性と実行力により、ヨ
ーロッパ、北アフリカ、東南アジア、中国などに拠
点を設置し、スパイなどによる情報収集の諜報活動
や、枢軸国に対するゲリラ、サボタージュ、破壊工
作などの特殊作戦を実行した。その活動の全貌。

◆アレン・ダレスらが謀略工作により北イタリア戦
線のドイツ軍を降伏に導いた「サンライズ作戦」、
蔣介石の右腕といわれた戴笠と密接な連係をとり抗
日の秘密戦工作を展開したミルトン・マイルズ、
ビルマのカチン族と協働して抗日のゲリラ戦を戦っ
たカール・アイフラーなどの活躍。

◆OSSが軍部やFBI等と厳しい対立関係にあったこと
や、諜報工作の失敗例や戦後の数々の批判、解体か
らCIAに生まれかわるまでの過程。

いかがでしょうか?

それではCIAの源流OSSとは何か?がつかめる
情報史ガイドブックの中身を見ていきましょう。

◆目次

はじめに
CIAの前身だったOSS/OSSの光と影/ミルトン・マイ
ルズの「異なる種類の戦争」/中国を混迷させたOSS/
繆斌工作の裏に見え隠れするOSS/本書の構成など/
参考文献など

第1章 OSS、三つの大作戦

1 OSSが真価を発揮したサンライズ作戦

作戦の開始―ヨーロッパの戦後支配をめぐって始ま
った暗闘/密かに降伏を模索するドイツ軍人の発掘
―ヴォルフ将軍が核に/強力な民間人の支援/作戦
の進行―ダレスがヴォルフ将軍と初の対面/ダレス
はOSS本部と連合国軍司令部の了解をとりつけた
/連合国とドイツの将軍が初めて極秘に接触―三月
一九日のスイス・アスコナ会談/秘密通信手段の確
保、リトル・ウォリーの抜擢と活躍/ヒトラーやヒ
ムラーに背くヴォルフの危険な努力/ソ連からの横
槍で交渉は停滞/遂にドイツ軍、降伏へ―北イタリ
アが戦禍を免れる/サンライズ作戦成功の自信がダ
レスらの日本との和平工作を促した/「謀略」の真
髄だったサンライズ作戦/エピローグ―戦後に活躍
した人々

2 ミルトン・マイルズと戴笠の友情と戦い

「中国のアラビアのロレンス」だったマイルズ/マ
イルズとHsiao少佐との出会い、「やれること
はなんでもやれ」―アーネスト・キング提督の命令
/いよいよ重慶へ―入念・緻密にマイルズの人物を
把握していた戴笠/中国沿岸部への危険な旅に戴笠
と共に出発/重慶に戻り、連携の企画を進める/マ
イルズらの活動・組織に巧みに入り込んだOSS/
SACO協定の締結とOSSによるその骨抜き/組
織の矛盾に苦しみながらも、マイルズと戴笠は戦い
を進めた/シェンノートとは友好な協力関係を築い
た/蔣介石と、スティルウェル、イギリス、そして
共産党との暗闘/戴笠の「忠義愛国軍」とSACO
との連携による戦い/マイルズらの最後の戦い―杜
月笙の支援も得て上海を奪回/マイルズの召還と失
意の帰国―戴笠の死を知る/再び中国を訪ねたマイ
ルズ―戴笠の埋葬式への参列

3「鉄人」アイフラーの戦い

スティルウェルに能力を発見されたアイフラー/真
珠湾攻撃に遭遇する/OSSに参加したアイフラー
―スパイ学校での訓練/中国進入計画の挫折/ビル
マ戦線での戦いの開始―カチン族との連携/日本軍
を手玉にとった「名物男」宣教師スチュアート/作
戦の進展と部隊の増強/スティルウェルから「蔣介
石暗殺計画」を指示される/ジョン・フォード映画
監督チームの来訪/ドノヴァンの来訪/ワシントン
への一時帰還と新たな任務の指令―ドイツ原爆科学
者の誘拐計画/蔣介石毒殺計画、OSSの「モリア
ーティ」スタンレー・ロベル/ドイツ原爆科学者誘
拐、蔣介石毒殺計画の中止とアイフラーの新たな任
務/最後の任務の日本侵入作戦―実行直前に日本降
伏/アイフラーの見事な引き際―カチン族兵士らの
恩義に報いる

第2章 OSSとは何か

「ワイルド・ビル」ことドノヴァンの野望とOSS
の設立/COIからOSSへ/OSSの組織/左か
ら右まで多様な人材を登用したOSS/内部からも
批判された人材の混沌/「ワイルドビル」―ドノヴ
ァンの本領/イギリスに倣いつつ、イギリスとの摩
擦や対立は絶えなかった/他の国家機関との対立や
軋轢/レジスタンス勢力支援がもたらした戦後の問

第3章 OSSの作戦の光と影――第二次大戦裏面史

北アフリカ戦線―ドゴール派と反ドゴール派の対立
の中でも上陸作戦に成功/スペインへの上陸作戦に
大失敗したOSS/イタリア戦線―上陸作戦には成
功するも、王政派から共産主義者までレジスタンス
勢力の対立により混乱/中東・バルカン・東欧―イ
ギリスとの路線の対立、チトーとソ連にしてやられ
たユーゴ/フランス―右から左までのレジスタンス
勢力の激しい対立の中でOSSは作戦に貢献/北欧
でのOSSの活動―イギリスとの主導権争い、北欧
の微妙な立場/女性工作員が活躍したOSS/アレ
ン・ダレスの活躍と対ドイツ作戦、サンライズ作戦
の成功と冷戦の始まり/英仏の植民地支配の欲望が
OSSの作戦と激しく衝突したインドシナ/タイに
おける作戦とその混乱/フランスの飽くなき欲望/
ベトナム―OSSとホーチミンとの協力と、それが
招いたフランスとの激しい対立/混迷を象徴する最
悪の「招宴」

第4章 中国を混迷させたOSS

中国への進出を企てたドノヴァン/戴笠に対する評
価の対立、戴笠の台頭、ミルトン・マイルズの登場/
チャーチルの帝国主義的欲望/マイルズ派遣の進
展と、それに目を付けたOSSとの暗闘/SACO協定の
締結/様々な波乱の発生―「四人のギャング」の派
遣と暗躍、マイルズへの弾圧/SACOとAGFRTSとディ
キシーに三分されたOSS/共産党との連携の推進を
図ったOSS―ディキシーミッション/ウェデマイヤー
の着任、ディキシーミッションの共産党との密約、
激怒したハーレー/ウェデマイヤーのOSSに対する
新たな支配構想/再び北を目指したOSSとドノヴァ
ン/OSSと共産党の協力決裂の転回点となったスパ
ニエル事件、牙をむきだした共産軍/OSSの最後の
活躍による捕虜救出、ドノヴァンの三回目の訪中、
突然の終戦/日本降伏後も続いたウェデマイヤーの
マイルズへの圧力、戦後の回顧と反省/中国を混迷
させたOSS

第5章 OSSとCIA
ドノヴァンの野望の挫折とOSSの解体/CIAの設立 
CIGからCIAへ/CIAの活動開始とダレス時代の功罪/
CIAの活動と内在する矛盾・混乱要因/マッカーシ
ーに攻撃されたCIA/ダレスの指導力/ベトナム戦争
とCIA/CIAのその後/ドノヴァンの戦後

いかがでしょうか?

著者の太田さんは元検事の弁護士さんです。

太田茂(おおた しげる)
1949年福岡県生まれ。京都大学法学部卒。
現在、虎ノ門総合法律事務所弁護士。
1977年大阪地検検事に任官後、西日本、東京等
各地の地検、法務省官房人事課、刑事局勤務。その
間、1968年から3年間北京の日本大使館一等書
記官。法務省秘書課長、高知・大阪地・高検各次席
検事、長野地検検事正、最高検総務部長を経て、2
011年8月京都地検検事正を退官。早稲田大学法
科大学院教授、日本大学危機管理学部教授を8年間
務めた。剣道錬士七段。令和2年秋、瑞宝重光章。
著書『ゼロ戦特攻隊から刑事へ』(芙蓉書房出版)、
『実践刑事証拠法』『応用刑事訴訟法』、『刑事
法入門』(いずれも成文堂)

前著の『ゼロ戦特攻隊から刑事へ』も面白い本です。

アマチュアの方の著作が活発になるのは、
業界にとってはよいことでしょうね。

アマチュアを大事にしないプロがいる業界は尻つぼみになる。
プロを敬愛しないアマチュアがいる業界は消滅する。

という言葉を聞いたことがあります。

インテリジェンスの世界がこういうことにならないよう、
期待しています。お互いがお互いを敬愛し、敬意をもって
接し合える世界でありつづけてほしいです。

今後のわがインテリジェンス業界の発展を願ってやみません。

きょうご紹介したのは、

『CIAの前身となった諜報機関の光と影
OSS(戦略情報局)の全貌』

著者 太田茂
出版年月日 2022/09/10
判型・ページ数 A5・336ページ
定価 本体2,700円+税
https://amzn.to/3fFTz5A

でした。

エンリケ

追伸

文武はふたつでひとつ道

というのは、吉川英治の「宮本武蔵」で沢庵和尚が
発した言葉ですが、

現実はおもてとうらでひとつ道

という意識とスキルを少なくともあなたには持って
ほしいです。弊メルマガではインテリジェンス等の
良本を紹介しています。

とくにインテリジェンスは、
人の世の裏面と取り組む世界です。

世の、歴史の真実は、
インテリジェンスの読み書き力がないと
つかむことはできないんです。

この本もその力を養えるいい本なので、
よろしければ手に取ってください。


『CIAの前身となった諜報機関の光と影
OSS(戦略情報局)の全貌』

著者 太田茂
出版年月日 2022/09/10
判型・ページ数 A5・336ページ
定価 本体2,700円+税
https://amzn.to/3fFTz5A