【本の紹介】『習近平の軍事戦略ー「強軍の夢」は実現するかー』 著者:浅野亮 、土屋貴裕


習近平の軍事戦略ー「強軍の夢」は実現するかー
著者:浅野亮 、土屋貴裕
出版年月日:2023/04/22
判型・ページ数:A5・284ページ
定価:本体2,700円+税
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3ovUn1v

こんにちは、エンリケです。

この本は、習近平の軍事改革を分析し、中国共産党
の軍事戦略と最近の変化に焦点を当てて、改革の将
来方向を探求しています。本書は、以下の3つの主要
なポイントをカバーしています:1)新しい戦争形態
に対応して中国の軍事戦略がどのように変化したか、
2)解放軍が中国共産党から離反していない理由と改
革への軍事抵抗の存在、そして3)中国が経済成長が
鈍化する中でも軍事力を増強し続けることができる
かどうかです。本書は、組織的なアプローチを用い
て党軍関係を検証し、党が軍に対する統制を強化し
たことを論じています。また、軍民融合の現実と軍
と社会の関係の変化についても分析しています。

「強軍目標」を掲げて改革を進める中共をどう捉え
たらいいのでしょうか?

この本は、そのために習近平の軍事改革を詳細に分
析し、今後の改革の行方を探る内容です。

専門的な内容ですが、だからこそ一般人も触れてお
く必要があると感じました。

内容のエキス(3本柱といって良い)はつぎのとお
り。

あなたにとっても、
じつに気になるポイントではないでしょうか?

1.中共の軍事戦略は、戦争形態の変化に伴ってど
のように変化してきたか

知能化戦争、グレーゾーン、ハイブリッド戦争、モ
ザイク戦、情報化戦争、認知戦、超限戦、エコノミ
ック・ステイトクラフトなどの新たな戦争をめぐる
中共の概念を紹介しています。

1.人民解放軍が中国共産党から離反しないのはな
ぜか?

軍事改革への軍内の抵抗は存在するのか?
人事、政治・思想、資金・財務、組織の観点から党
軍関係の頑強性を考察し、組織論的アプローチで
「共産党の軍隊」としての側面が強化されてきたこ
とを明らかにしています。

1.経済成長が限界に近づき、逓減していく中で、
中共は軍事力を増大し続けられるのか?

新たな「人民戦争」とも呼ぶべき「軍と民間との融
合」の実態と、軍と社会との関係の変化を説明して
います。

中共の軍備管理・不拡散をめぐる二面性を指摘し、
動員・徴用と宣伝教育・プロパガンダの二つの側面
から「兵営国家」化を分析しています。

目次は以下のとおりです。

——————————————

■第1部 習近平政権下の軍事戦略:中国が掲げる
「強軍目標」とは何か

第1章 変化する戦争形態と軍事戦略 ――インテリ
ジェント化した戦争への対応
中国の知能化戦争の定義と対応/知能化戦争をめぐ
る反論や限界の指摘/軍事戦略の位置づけ/軍事戦
略の変化/現代中国における軍事戦略の変遷/軍事
戦略の連続性と非連続性…

第2章 中国の「ハイブリッド戦争」――「紛争連
続体」としてのグレーゾーン
ゲラシモフ・ドクトリン/「ハイブリッド戦争」に
対する米中の理解/モザイク戦をめぐる議論の特徴
/自律型兵器への中国の関心/「グレーゾーン」の
捉え方:「紛争連続体」/ウクライナ戦争の性格:
ハイブリッド戦争と従来型戦争の二面性/ウクライ
ナ戦争と中台情勢…

第3章 インテリジェント化した戦争 ――新たな戦
争をめぐる中国の概念整理
知能化戦争とハイブリット戦争/再注目を集めるエ
コノミック・ステイトクラフト/中国史に見る経済
戦/知能化戦争、ハイブリッド戦争、超限戦…

第4章 新時代の軍事戦略と軍事改革 ――安全と発
展をめぐるレトリック
習近平政権下の軍事改革手法/巡視による半強制と
諮問組による説得/「新時代の軍事戦略方針」とい
うレトリック/「総体国家安全観」概念の成り立ち
と変化/「総体国家安全観」と人民解放軍/「総体
国家安全観」とハイブリッド戦争

補 論 「抑止メカニズム」の再検討 ――認識と
「客観的」存在の関係から

■第2部 習近平政権下の党軍関係:軍が党から離
反しないのは何故か

第5章 軍組織再編と「反腐敗闘争」――習近平の
軍事改革と党軍関係の変化
軍組織の再編:動き始めた習近平政権下の軍改革/
軍種指導管理体系の再編/総部体制から軍委多部門
制への再編/作戦指揮体系の再編/習近平の軍事改
革か、習近平が断行した軍事改革か/表裏一体の軍
事改革と反腐敗闘争/「反腐敗闘争」をどのように
捉えるべきか組織再編後の軍事改革の方向性…

第6章 軍事制度面における軍事改革 ――政治思想
工作と軍事財務工作
政治思想工作と軍事財務工作/習近平政権下の政治
思想工作/習近平政権下の軍事財務工作/経済と国
防の両立を模索する中国/軍政面における連続性と
非連続性…

第7章 強化される「共産党の軍隊」――軍中党組
織制度の強化
「党の軍に対する領導」を担保する軍中党組織/軍
中党組織制度をめぐる考察/海軍党代表大会と戦略
の共有/海軍に対する政治工作の展開/軍内監督の
限界…

■第3部 「兵営国家」化する中国:軍事力の増大は
何をもたらすか

第8章 習近平の新たな「人民戦争」――軍民融合
による国家安全
国防白書「中国の軍事戦略」と習近平政権下の国家
安全戦略 /ナショナル・セキュリティとサイバー・
セキュリティ/重大安全領域の重点発展と軍民融合
/国防・軍事における民間の活用

第9章 軍工企業の再編成と兵器開発 ――軍備管理
・不拡散をめぐる二面性
軍備管理・不拡散と輸出入や兵器開発による軍備拡
張/中国の軍備管理・軍縮、不拡散政策/近年の中
国の武器輸出入傾向と特徴/中国の武器輸出入に関
する国内体制…

第10章 中国の軍と社会との関係変化 ――動員、教
育、プロパガンダ
軍と社会との関係/「兵営国家」/動員、徴用:国
防動員体制の構築/プロパガンダ:中国における
「危機の社会化」

第11章 「最高統帥」としての習近平 ――「大元帥」
になる日は訪れるか
習近平政権三期目の軍改革の焦点/習近平政権自身
による一期目の軍改革の総括/習近平政権自身によ
る二期目の軍改革の総括/強軍の夢、習近平の夢…

——————————————

特に役に立ったのは第一部でした。
中共軍事にかかわる重要な概念の解説や中共軍事に
かかわる重要事がいつどこで何がどのように起き、
その後どうなったか?をわかりやすく掴めました。

2部は、組織論としても実に興味深い内容です。
どうも人民解放軍は「党軍」としての性格を強めつ
つある気がします。

3部は斬新です。
国防という名で、すべてを軍事化する軍事国家(兵
営国家)に中共は向かっているのかもしれません。
イメージとしては「国家総動員体制」とか「軍国主
義」でしょうか。そういう方向に中共は定形進化し
ているように見えます。新たな視座を与えてくれま
した。

古来からわが国にとって最も注意しなければならな
い外国として存在し続ける支那。

現在同地を支配している中共という勢力が、
いま支那にある軍事資源を使って一体どういう方向
に国家を動かそうとしているのか?

彼らの動きが、今後のわが安保に甚大な影響をおよ
ぼすことは間違いありません。

軍事を中核にして生き残りを図っている中共のこれ
から先の動きを見通すには、的を射た中共軍事の理
解が不可欠です。

そのための参考書として紐解いてほしい内容です。

オススメです。

きょうご紹介したのは、

習近平の軍事戦略ー「強軍の夢」は実現するかー
著者:浅野亮 、土屋貴裕
出版年月日:2023/04/22
判型・ページ数:A5・284ページ
定価:本体2,700円+税
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3ovUn1v

でした。

エンリケ

追伸

はっきり言って専門家や専門課程の学生向けの内容
です。しかし本メルマガを読んでいる方なら、読め
ば得るところ大きいと感じます。

習近平の軍事戦略ー「強軍の夢」は実現するかー
著者:浅野亮 、土屋貴裕
出版年月日:2023/04/22
判型・ページ数:A5・284ページ
定価:本体2,700円+税
発行:芙蓉書房出版
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