レゾリュート・ドラゴン22(7)

2023年6月19日

前回に続き、RD22を振り返っての第3即機連隊長、山﨑潤1佐のコメントです。
「私は部隊の最小単位である分隊のレベルで強くなければならないと思っており、着任以来、部隊にもそれを求めてきました。分隊のレベルで強いということは、分隊長こそ強いことが必須です。米海兵隊は、分隊長が常に分隊員とともに日常起居を過ごすだけではなく、共に走り、共に鍛え、共に訓練していました。大きな背嚢を背負って歩き、土砂降りの中でも小さなひとり用の天幕で過ごし、みんなで大笑いしながらも、できていない時には厳しく指導していました。その姿を見て、やはり個人として部隊として鍛錬し続けることこそ重要だと痛感しました」
これはまさに私も目の当たりにしました。
米海兵隊は何をするにしても分隊単位で行動し、分隊長は誰よりもよく声を出し、よく動いていました。
陸自で分隊長、班長と呼ばれる立場の隊員は、幹部自衛官ではなく陸曹です。彼ら、彼女らが精強であることが、部隊の精強さにつながっていくのだろうと改めて実感しました。
今回、訓練開始式、オスプレイ、HIMARS&MLRSという3つの取材時に大手メディアと一緒になりましたが、執拗なまでにオスプレイについて質問を重ねる様子には違和感を覚えました。
RD22に参加した航空機はオスプレイだけではありません。米海兵隊からはCH-53E(スーパースタリオン)、AH-1Z(ヴァイパー)、UH-1Y(ヴェノム)、そして陸自からはAH-1S、UH-1Jと、さまざまな航空機が参加しました。
しかしオスプレイ以外の航空機に関する質問は、少なくとも筆者が聞いた限りではありませんでした。
「オスプレイがいかに悪か」を追求するためだけの取材ではなく、島しょ防衛を想定した日米共同訓練が実施されることの意義を追求してほしい。
海兵隊員が重い背嚢を背負ってずぶ濡れになりながら徒歩で移動する様子、米海兵隊の実戦を知る動きから貪欲に学ぼうとしている自衛官の姿なども、国民へ伝えたいと考えるメディアが増えてほしい。
そして「実弾を撃つなんて」と言う前に、まずは自衛隊の階級くらい覚えてほしい。知らない組織のことを、どう国民に伝えるというのか。
それが大手メディアに対して私が感じたことです。
島しょ防衛を想定した日米共同訓練は今後もさまざまな規模で行われるでしょう。
スポーツの「練習でできないことは試合でもできない」と同様、訓練を重ねて双方の能力向上を目指すことは不可欠です。素人意見になりますが、その際、自衛隊側は陸海空単独の参加ではなく、統合運用により領域横断作戦を追求してもらいたいと思っています。
またそれ以前に、自衛隊は統合運用の訓練をもっと実施するべきではとも考えます。
隊員や物資の支援といった一部の統合運用ではなく、それこそ毎年富士総合火力演習の後段演習で見せている離島奪回作戦さながらの訓練です。連携の強化は自衛隊をより強固な組織にするでしょう。
陸自の師団クラスの訓練では機動師団の長距離機動訓練を積極的に実施し、隊員一人ひとりに要領をしっかり修得させる必要があると考えます。
そしてこうした規模の大きな訓練で成果を上げるためには、山﨑3即機連隊長の言う通り、まず最小単位の分隊クラスが強靭であることが不可欠でしょう。
私も自分なりの形で国民に自衛隊をより知ってもらえるような取材を重ねていきたいという思いを新たにしたRD22でした。
それにしても道内1800キロのレンタカー移動は腰にきました!

(おわり)

(わたなべ・ようこ)

(令和五年(西暦2023年)3月16日配信)