第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(1)

2021年冬から約1年間、折に触れて北海道名寄市の名寄駐屯地に所在する陸上自衛隊第3普通科連隊を取材してきました。今週からはその記事を時系列でご紹介します。最初は普通科連隊として迎えた最後の訓練検閲のレポートからです。
演習場内で行なわれる訓練検閲は一般の人の目に触れることがないですから、「なにをやってるのだろう」と謎ですよね。今回は細かくご紹介します。
2021年2月、第3普通科連隊を基幹とする第3戦闘団を受閲部隊とした令和2年度第4次師団訓練検閲が、上富良野演習場で行なわれました。
受閲部隊の第3戦闘団の配属部隊は、第2戦車連隊(1個中隊)、第2特科連隊(1個大隊)、第2後方支援連隊、第2施設大隊(1個中隊+)、第2高射特科大隊(1個中隊)および第2対舟艇対戦車小隊。
検閲科目はスキー行進後、師団の陣地防御における先遣普通科戦闘団の行動で、主要検閲項目は戦闘団長の状況判断および指揮、戦闘団本部の幕僚活動、部隊の基本的行動および隊員の基礎動作です。
訓練部隊の人員・車両は人員約1000名、車両約300両。対抗部隊は人員約600名、車両約200両、統裁部は人員約500名、車両約200両。
7日午後に訓練検閲開始式が行なわれ、戦闘団長訓示前の人員点検では新型コロナウイルス対策として全隊員に検温を実施。
その後、第3戦闘団長の山﨑潤1佐はWAPC(96式装輪装甲車)の上から「第3戦闘団すべての隊員に要望する事項、そして心に刻むべき言葉は『今、俺がやらなければ誰がやる』、この1点」、「改めてみんなのことも頼もしく、かつ、誇りに思う。うちの連隊は最高だ。今こそ日本最北朔北連隊の力を見せてやれ。終わりに『朔北の盾』作戦を発動する現時点をもって、第3戦闘団内隊員相互の敬礼は禁止する」と訓示し、隊員の士気を鼓舞しました。
夕方から8日朝にかけては約10時間のスキー行進を実施。一晩かけての行進なので定期的に休止はしますが、動かないでいるとかえって寒さがこたえるそうです。
マイナス20度を記録する厳しい寒さのなか無事にスキー行進を終了すると、引き続き防御準備を開始しました。第3中隊の鹿砦(雑木で障害を強化したもの)や重迫撃砲中隊の木枠を使用したアイスクリートの作成など、各部隊が創意と工夫を凝らした防御準備を進めます。
第3戦闘団が防御準備を進めている間、対抗部隊もバトラーの初期設定や戦闘準備、偵察活動を開始。
また、統裁部では統裁会議も定期的に開催され、その時点までの状況を統裁官である富樫第2師団長に報告、次に戦闘団に出す状況についての承認を受けました。同時に、訓練検閲終了後の講評のための資料を集めている補助官たちによる補助官会同も行なわれています。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)3月17日配信)