【本の紹介】『「地政学」は殺傷力のある武器である』 兵頭二十八(著)

まずはこの本の目次をみてください。

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目次

まえがき─なぜ地政学がいま注目されているか・・・1

第1章 栄えている者はなぜ栄えたかを知りたい!
「世界における英国の一人勝ち」の理由探しから始まった地政学・・・14
 帆船から蒸気船への進化が変えた「日本の間合い」・・・16
 船用エンジンの普及は、アメリカを難攻不落にした・・・20
 地政学を後押しした恐怖の「社会ダーウィニズム」・・・21

第2章 マハンとセオドア・ローズヴェルトという史上最強のタッグ
 マハンの父デニスと、「ウェストポイントの父」・・・27
 ドイツの空気・・・32
 アルフレッド・マハン、海軍兵学校に入る・・・33
 マハン、大坂湾で徳川慶喜を観察する・・・36
 父デニス・マハンの自殺・・・37
 米国海軍大学校とは?・・・40
 マハンを指導したルース校長・・・43
 海大は議会を啓蒙せよ!・・・46
 地政学の偉大な実践者「TR」について・・・47
 ニューヨークのオランダ人・・・49
 「棍棒政策」はTRの実父そのものだった・・・50
 時代の不満を捉えた海戦史研究・・・53
 ジェファソンは最悪の大統領だったと断言・・・55
 TRのイメージ戦略・・・57
 セオドア・ローズヴェルトの政界復帰・・・60
 マハンの主著が完成する・・・61
 その後のTR・・・63
 マハンは何を語ったか─『海上権力史論』の裏を読む・・・64
 マハンの卓説:「艦隊は分割するな」・・・70
 マハンが心配しなかったこと・・・72
 マハン理論の瑕疵・・・74
 マハンの「情勢一括把握」の思考力を日本人は自分のものにできたか?・・76
 マハンと通称破壊戦・・・79
 マハンの晩年・・・82

第3章 マッキンダーの地政学は何を語ったか?
 グローバリズムのアンチとして・・・88
 ロシアを特別にしたのは何か?・・・90
 「ハートランド」とはどこなのか?・・・91
 <独立中小都市>に最高の価値を認めたマッキンダー・・・92
 暑いと帝国ができやすく、寒いと都市ができやすい・・・94
 イタリア都市国家の勃興と廃滅・・・96
 温暖気候が欧州帆船の喜望峰到達を至難にしていた・・・98
 ヨーロッパは、ひとつの「半島」・・・101
 遊牧民の攻撃が「西欧」を結束させた・・・103
 「間接侵略」への地理的耐性・・・105
 プロイセン人はもともとスラヴ人だった・・・107
 1878年の世界輸送革命・・・112
 「統制・計画経済」の創始者たち・・・・115
 「常に半ヤケ」の兵営国家がつまづくと・・・ ・・・117
 マッキンダーがついていけなかった石油の地政学・・・119
 近代ドイツ軍システムの登場・・・120
 ドイツ海軍が英国の脅威だったマッキンダーの青年期・・・121
 ティルピッツとドレッドノート・・・123
 アテネを衰亡させた「恐怖」とは?・・・125
 第一次世界大戦はドイツ民族が起こした、とするマッキンダーの説明・・・128
 鉄道は航空攻撃には負ける・・・129
 「ハートランド」がユーラシアの港を占領支配できなかった実例・・・134
 1本のシベリア鉄道が起こした波乱・・・136
 ロシアの地政学的性格・・・138
 それでもドイツは再び脅威になると予見したマッキンダー・・・140
 「広域単一専制」は不可能な夢想だった・・・142
 英国の海上覇権から米国の海上覇権へ・・・144
 米国が孤立主義路線を採ることはあり得るのか?・・・145

第4章 戦争と石油の地政学
 英国はいかにして軍用石油を確保できたのか・・・151
 オクタン価戦争・・・152
 スターリングラードにこだわったのにも地政学的な理由あり・・・156
 なぜドイツ軍の車両用エンジンはディーゼルではなかったか・・・159
 ソ連軍の石油事情・・・161
 ドイツの対ソ戦略のジレンマ・・・164
 スターリングラードは石油輸送の結節点だった・・・167

第5章 支那大陸の地政学
 殷から周へ・・・174
 馬の利用法の伝播・・・177
 生産スタイルと馬の相性・・・178
 春秋時代のはじまり・・・180
 気候変動と遊牧民・・・183
 農耕者集団の弱み・・・184
 農耕社会の強み・・・185
 二つの社会は戦国時代に融合した・・・187
 秦の天下統一の理由・・・190
 捕虜労働力と気候・・・192
 秦の滅亡と漢帝国・・・・193
 漢朝の衰退と隋唐帝国・・・195
 古代の遠征補給・・・196
 「征伐」の真相・・・197
 弓と弩の戦い・・・198
 とつぜんの温暖化と「三国志」・・・201
 集中と分散の原則・・・203
 鮮卑系の統一王朝とその後・・・204
 内部から必ず裏切り者が出る文化・・・206
 鎖国ができる国土とできない国土・・・208

第6章 ドイツの地政学徒たちは何を言ったか?
 フリードリッヒ・ラッチェル・・・212
 ルドルフ・チェレーン・・・215
 カール・ハウスホーファー・・・217

第7章 スパイクマンは何と言ったか?
 非米世界では地域の強国と準強国とを拮抗させておけ・・・229
 リムランドの発見・・・230
 米国はドイツと日本を手離すな・・・235
 航空基地の地政学・・・236
 弾道ミサイルの地政学・・・237
 スパイクマンが予測もしなかった今日の世界・・・238
 機雷の地政学と毛沢東の人民公社・・・239

第8章 日本防衛の地政学
 日本と英国の「地勢」は本当に似ているのか?・・・245
 英国の地位は「風」が決定した・・・246
 恐怖の日本近海・・・248
 本邦で最初の「地政学者」は誰か?・・・251
 薩摩の地政学・・・252
 日露戦争での樺太作戦・・・255
 もはや日本は朝鮮半島を必要としない・・・258
 大正時代の大しくじり・・・259
 「ワシントン軍縮条約」が「日米戦争」を不可避にしてしまった・・・262
 正規の筋悪取引だった太平洋防備の制限・・・266
 もし軍縮条約がなかったら・・・?  ・・・270
 世界大恐慌も起きなかった・・・276
 「明るい戦前」が実はあり得た・・・277
 海底電信の結節点になっている島嶼に注目せよ・・・280
 海南島の占領で「自衛」の説明ができなくなった・・・281
 日本海軍の国際条約無知・・・285
 エンバーゴ(経済制裁)とブロケイド(海上封鎖)は違う・・・287
 地政学の無知から自滅の戦争へ・・・290
 錫は石油以上に貴重な物資だったのか?・・・293
 真珠湾の大ヘマ?・・・295
 アマチュアは戦術を語り、プロは補給を気にする・・・302
 開戦後の石油・・・304
 戦艦の正しい使い方は何だったか? ・・・306
 マリアナまで海送されてくるガソリンを潜水艦で阻止していたら・・・? ・・・309
 機雷こそは「地政学的兵器」である・・・312
 すばらしい戦後日本の地政学的環境・・・315
 儒教圏のネガティブ・ソフトパワー・・・320
 「シェール・ガス革命」と「パナマ運河拡幅」が意味する地政学の新事態・・・323
 八戸港は東京よりもパナマ運河に近い・・・325
 対儒教圏の理想的バリアーとなるハイテク機雷・・・328
 投資しても安全なのは「海の裏玄関」がある島嶼国家・・・331

あとがきにかえて─軽忽な扇動屋に騙されないためには・・・333

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著者は「地政学」ということばについてこういってます。

<無価値なキャッチフレーズに堕していた「地政学」なる語の濫用>

誠にその通りで、一般人の間では、
なんとなく、気分で使われているケースがほとんどです。

<みなさん、騙されないでください。
「地政学的な大転換」は、どこにも起きていません。>
状況変化を説明する言葉として
何かと言えば安易に使われてきた「地政学的・・・」という語。

しかし著者にいわせれば、地政学とは、
世界各国の「変わらぬもの、こと」を見極めるツールを意味する
ものにすぎないのです。

まことに納得ゆく意味付けです。
ここでまず蒙が開かれませんか?

■何が書かれているの?

概要
・地政学の基礎を余すところなく、分かりやすく、面白く解説した「地政学教本」。
・地政学の古典に値するのはマハン、マッキンダー、スパイクマンの3人で、
ドイツの地政学は刺身のつま的存在、など、地政学論の評価を歴史的に整理整頓した初の書であり、現在の地政学の過半が、戦前のパイオニアの意見の組み合わせに過ぎないと喝破した、地政学という語に惑わされぬための「インテリジェンス教本」。
・「シナの地政学、石油地政学、わが地政学」という、わが国にとって緊要な地政学をはじめて一般国民向けに解説した「国防教本」。

という3つの面を持つ本といえます。

特筆すべき点
・地政学の根底にある「ダーウィニズム」の視座を見落とすことなく解説。
 だから、各種解説がスッと体の中に入る。
・地政学の定義を、日本語ではじめてきちんと行った。
・地政学を身につけることで我々が何を得ることができるか?を明らかにした。
・兵頭式「国際事情の見方」の着眼点を知ることができる。
(その非凡さを掴み取ることもできる)

結論
「地政学教本・教科書」の名に値する本邦初、唯一の書。

国家関係が緊張する事態に接しても狼狽することなく対処できる芯を、
一般素人でも、楽しみながら作ることができる名著。

現代の天才・兵頭二十八最高傑作の一つ。(ちなみにもうひとつは「日支宗教戦争」)
今すぐ手に入れ、読んで、生涯の座右の書にしてほしい。

「地政学」は殺傷力のある武器である。
兵頭二十八(著)
徳間書店
発売日: 2016/2/26
https://amzn.to/4wI84ZR
※すべてのページが読みどころです

以下はエンリケからの案内です。
よろしければご参考まで。

こんにちは、エンリケです。

最近、「地政学」という言葉を耳にしない日はないかもしれません。

ニュースでは台湾有事。
中東情勢。
ロシア・ウクライナ。
海底ケーブル。
半導体。
エネルギー。
物流。

何か起きるたびに「これは地政学的に重要だ」と言われます。

しかし少し立ち止まって考えてみたいのです。

そもそも、地政学とは何なのでしょうか。

そして私たちは、本当にその言葉を理解して使っているのでしょうか。

兵頭二十八氏は、本書の冒頭でかなり痛烈なことを言います。

「地政学」という言葉は、無価値なキャッチフレーズとして濫用されている。

耳が痛い話です。

たしかに今は、何か大きな国際ニュースが起きるたび、「地政学的転換点」という言葉が乱発されます。

しかし兵頭氏は逆の視点を示します。

地政学とは「変化」を追う道具ではない。

むしろ「変わらないもの」を見抜くための道具なのだ、と。

これが非常に重要です。

技術は変わる。
政権は変わる。
流行も変わる。

ですが――

海は動かない。
山脈も動かない。
島国である日本の位置も変わらない。

そして、人間の行動原理も案外変わりません。

だからこそ歴史は繰り返す。

本書は、その「変わらぬ条件」を読み解くための教科書です。

しかも、ただ理論を説明するだけの本ではありません。

マハン。
マッキンダー。
スパイクマン。

名前だけ知ると難しそうですが、兵頭氏は歴史のエピソードを交えながら、「なぜその考えが生まれたのか」を実に面白く描いていきます。

個人的に強く感じたのは、この本が「外国理論の紹介」で終わっていない点です。

ここが決定的に違います。

多くの地政学本は、

「欧米の理論家がこう言っている」
「海外ではこう分析している」

で終わってしまいます。

しかし本書は違う。

日本列島をどう見るか。
日本の近海は何を意味するか。
なぜ日本は補給を見失って失敗したのか。
なぜ海上交通が死活問題なのか。

つまり、「日本人が日本を見るための地政学」になっているのです。

これは非常に大きい。

他国には詳しいのに、自国を知らない。

実はこれ、日本人が陥りやすい癖かもしれません。

孫子も言いました。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」

敵だけ見て、自分を知らなければ意味がない。

地政学も同じです。

世界地図ばかり見ていて、自国の立ち位置を知らなければ、思考はどこか空中戦になります。

そして本書の魅力は、難しい話を「知識」ではなく「感覚」として身につけさせてくれることです。

読み終わる頃にはニュースの見え方が変わります。

台湾海峡を見る目が変わる。

海上輸送を見る目が変わる。

エネルギー問題を見る目が変わる。

そして、「なぜ世界はそう動くのか?」が少しずつ見えてきます。

情報があふれる時代です。

大きな声の人。
刺激的な言葉。
極端な予言。

そういうものほど人は惹かれます。

だからこそ必要なのは、慌てないための思考の軸です。

本書のあとがきにある「軽忽な扇動屋に騙されないために」という言葉は、今こそ重みを持つように感じます。

世界情勢を知るためではありません。

世界情勢に振り回されないために読む。

そんな一冊かもしれません。

兵頭二十八氏の代表作のひとつとして、今読んでも色褪せない本です。

ぜひ手に取ってみてください。

(エンリケ)

追伸:

「ニュースを見ると不安になる」
そんな人ほど、この本は効くかもしれません。

「地政学」は殺傷力のある武器である。
兵頭二十八(著)
徳間書店
発売日: 2016/2/26
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