【本の紹介】『米国を巡る地政学と戦略ースパイクマンの勢力均衡論ー』ニコラス・J・スパイクマン 著 小野圭司 訳

2022年1月4日

『米国を巡る地政学と戦略ースパイクマンの勢力均衡論ー』
ニコラス・J・スパイクマン 著
小野圭司 訳
出版年月日:2021/07/17
判型・ページ数 A5・510ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3qDcpMu

おはようございます、エンリケです。

地政学の始祖として有名なスパイクマンの主著の「日本語完訳版」が初めて出ました!
抄訳ではなく全訳です。待ってました!という感じです。
スパイクマン地政学の真髄を学ぶには必読です。今すぐ手に入れてください!

◆著者略歴
ニコラス・J・スパイクマン(1893-1943) Nicholas John Spykman
オランダ出身の元ジャーナリスト/イエール大学教授。20世紀のアメリカを代表する外交戦略家および地政学者。カリフォルニア大学で博士号取得後、イエール大学の国際学部主任教授、国際研究部の初代所長などを歴任。地政学ではユーラシア大陸の周縁部の重要性を説く「リムランド論」を主張したことで有名。第二次大戦勃発直後に地理学の分析を元にして「将来は日・独との同盟が必要になる」と主張して、当時の米国内で激論を巻き起こす。アメリカの冷戦期の「封じ込め政策」の創始者と言われ、現在のアメリカの世界戦略理論の基礎を作る。
1943年にガンのために49歳の若さで死去。

◆訳者略歴
小野 圭司 (おの けいし) 防衛省防衛研究所 特別研究官
1988年3月京都大学経済学部卒業、住友銀行(88~96年)を経て、97年1月に防衛庁防衛研究所に入所、社会・経済研究室長などを経て2020年4月より現職。この間、青山学院大学大学院修士課程、ロンドン大学大学院(SOAS)修士課程修了。専門は戦争・軍事の経済学。
著作に『日本 戦争経済史』(日経BP日本経済新聞出版本部、2021年)、共著書に「20世紀と日本」研究会編『もうひとつの戦後史――第一次世界大戦後の日本・アジア・太平洋』(千倉書房、2019年)、David Wolff, et. al. eds., Russia’s Great War and Revolution in the Far East: Re-imagining the Northeast Asian Theater, 1914-22 (Bloomington, IN: Slavica Publishers, Indiana University, 2018)、Oliviero Frattolillo and Antony Best eds., Japan and the Great War (London: Palgrave Macmillan, 2015)、三宅正樹他編『検証 太平洋戦争とその戦略1 総力戦とその時代』(中央公論新社、2013年)など。

地政学といえば必ず取り上げられるのが、
マッキンダー、ハウスホーファー、スパイクマン
の三者です。

中でもスパイクマンの地政学は、今のアメリカの対外思考の基礎を成しているといって過言でなく、
現実の世界を動かしている土台を生み出した人物として、もっと注目を集めてもいいと思いますが、
若くして亡くなったこと、地政学の主著が一冊しかないことなどからか、価値のわりに注目度が低い気がします。

なぜ日米同盟の盟邦であるわが国で、この本の全訳がもっと早く出なかったのだろう?
という違和感と不思議な気持ちはありますが、今回全訳版が出たことを素直に喜びたいです。

地政学の始祖として有名なスパイクマンの主著の初めての日本語完訳版です。

1942年に書かれたこの本、America’s Strategy in World Politics: The United States and the balance of powerは、
WW2初期の米国を巡る国際環境を網羅的に記述しているものですが、

たとえば、

・大陸勢力のソ連・中国・ドイツと、海洋勢力の米国・英国・日本という戦後世界の枠組みを予見
・米国が西太平洋の覇権を争う相手は、日本ではなく中国である

といった点で、現代の国際政治への優れた先見性が随所に見られる名著、として評価が定着しています。

地政学を学びたい、使いたい、知りたい人、地政学に興味がある人は必ず読む必要と価値があります。

ひと昔前と違い、「地政学」をめぐるはなしは百家争鳴、玉石混交状態です。
そんないまこそ、スパイクマン地政学の真髄を学んでおく必要があると強く感じます。
地政学のしっかりした物差しを自分の中に培う必要があるからです。

今のわが国の生き筋を考え、未来のわが国の軸を打ち立てるうえで欠かせぬ必読書といってよいでしょう。この種の感覚が自分の中に入っているかいないかで、現実を見る目は180度変わります。

では、國語で読めるようになった地政学の名著の内容を見ていきましょう。

◆目次

序 章

◎第1部 米国を巡る勢力均衡
第1章 権力政治(パワー・ポリティクス)と戦争
第2章 西半球に於ける米国
第3章 モンロー主義から西半球防衛へ
第4章 米国と大西洋対岸地域
第5章 米国と太平洋対岸地域
第6章 世界の中の米国

◎第2部 中南米を巡る争い
第7章 2つのアメリカ
第8章 宣伝工作(プロパガンダ)と対宣伝工作
第9章 新世界経済の様相
第10章 天然資源の確保
第11章 米州の経済統合
第12章 新世界政治の様相
第13章 新世界対旧世界
第14章 軍事戦線
第15章 西半球防衛
終 章 結 論

【訳者解題】創成期の地政学とスパイクマン(小野圭司)

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いかがでしょうか?

ちなみに私は三読中ですが、一読目につけた線引きが実に多く、
ノートに抽出記録するための再読、再々読でも一冊丸々読みみとほとんど変わりません。
自らの愚鈍さとともに本著の古典としての確かさを覚えます。

ノートをとるに値する地政学の基本書、古典、教科書です。

今年は、この本で地政学の世界に乗り出しませんか?

今回ご紹介したのは、

『米国を巡る地政学と戦略ースパイクマンの勢力均衡論ー』
ニコラス・J・スパイクマン 著
小野圭司 訳
出版年月日:2021/07/17
判型・ページ数 A5・510ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3qDcpMu

でした。

エンリケ

追伸

地政学で考え、地政学を感じ、
世界と日本の現在と未来を考えるなら、
本著を読まない選択肢はありません。

『米国を巡る地政学と戦略ースパイクマンの勢力均衡論ー』
ニコラス・J・スパイクマン 著
小野圭司 訳
出版年月日:2021/07/17
判型・ページ数 A5・510ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3qDcpMu