【第54講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その32)

先ずは、前回の終わりのところですが、「☆”hay”と”estar”の表現の違いと訳
し方のまとめ」という箇所で”例文の日本語”が間違っておりました。ここでお
詫びと訂正をさせていただきます。
☆訂正箇所(下線部)
誤)B.「~は、○○にあります」の言い方→”estar”
   例)そのお城は、大阪市にあります。
正)B.「「~は、○○にあります」の言い方→”estar”
   例)そのお城は、ここにあります。
「大阪市」(誤)ではなく、「ここに」(正)です。
※原稿作成中に「大阪市は、解散して東京23区のようにした方が良い」とかの
おもしろ~い意見が頭を過ぎり、思わず「大阪市」という言葉が入ってしまっ
たのかもしれません。大阪市といえば・・・どことなくアナーキーなノリがあ
って、悲しみも、苦痛も、恐怖も、不安も、緊張も、絶望も・・・そして持病
でさえも・・・全てが笑いのネタにしてしまう”おもろい街”、それが大阪市で
すね!
“笑い”を目的として、その手段たるや千差万別、百花繚乱、というより、「弘
法筆を選ばず」というところでしょうか・・・『大阪市民の戦略思想とその戦
術』とかをテーマとして分析してみても面白いかも知れません。海遊館(1)
とかUSJ(2)などは、大阪市のホンの一部・・・、このついでにあなたも氷山
の下のあたりの大阪市を探求してみましょう!
(1)http://www.kaiyukan.com/index.html(2)http://www.usj.co.jp/ 

では、今回は、”月”、”曜日”に関する表現を習いましょう。
☆月の名前と日付の表現
先ず・・・スペイン語では、月(mes →暦の方で云う”月”)と月(luna 地球の
周りをクルクル回っている天体の方で云う”月”)の二つの月があります。(英
語も暦の月を云うmonthと天体の月を云うmoonの区別がありましたね。)
「お月様に代わってお仕置きよ」とかいう太陽系の星にちなんだキャラクター
が活躍するアニメ(*”美少女戦士セーラームーン”)が以前流行っていました
が、ここでは、その太陽系(el sistema solar)の名称を先に覚えておきましょ
う。 *http://sailormoon.channel.or.jp/ 
太陽 Sol(m.)  水星 Mercurio(m.) 金星  Venus(m.)  
地球 Tierra(f.)  火星 Marte(m.)  木星 Jupiter(m.)  
土星 Saturno(m.)  天王星 Urano(m.)  海王星 Neptuno(m.)
冥王星 Pluton(m.) 月 luna(f.)
ついでに・・・星座の方は:
牡羊座Aries 牡牛座Tauro  双子座Geminis  蟹座Cancer  獅子座Leo
乙女座Virgo  天秤座Libra  蠍座Escorpion  射手座Sagitario
山羊座Capricornio  水瓶座Acuario  魚座Piscis
となっていて、大文字で書いてください。また、小文字で書くと「~座の人」
という意味で使われます。ex. Eres sagitario.君は射手座だ。
では、暦に話しを戻しましょう。
本来、日本では、長らくの間、明治維新を迎えるまでは太陰暦(月齢28日周
期で1年が13カ月になっている)を基本にしていました。これは、農業・漁
業等において用いられていました。
徳川時代、内部から幾らやっても何ら抜本的な改革は、成功しませんでした
が、外部から力による変革を行って成功した「維新」の後、太陽暦が西洋から
導入されました。
この時に導入された太陽暦=グレゴリオ暦ですが、グレゴリオとは、かのロー
マ法王の名前であり、天正時代(1582年)に日本からはるばる海を超えてスペ
インまで行った天正遣欧少年使節団が謁見したのは、この法王でした。
暦で使われる月の名前は、ローマ古暦に由来し、ローマ神話に登場する神名か
ら取り入れられており、一部、ローマ帝国の皇帝の名前が入っています。ここ
では、日本語の名称もついでに整理しておきましょう。
月の名前    日本語       備考
enero      一月  睦月   双面神 ヤヌスより
febrero    二月  如月   贖いの祭り(februa)より
marzo     三月  弥生   軍神マルスより
abril     四月  卯月   ローマで「花開く月」より
mayo     五月  皐月   Maia アトラス神の娘の名より
junio     六月  水無月  ユニウス(皇帝名)
julio     七月  文月  ユリウス(皇帝名)ローマ古暦第5月
agosto    八月  葉月  アウグストゥス(皇帝名)ローマ古暦第6月
septiembre   九月  長月   ローマ古暦第7月 (siete 7)
octubre      十月  神無月  ローマ古暦第8月 (ocho 8)
noviembre  十一月  霜月   ローマ古暦第9月 (nueve 9)
diciembre  十二月  師走   ローマ古暦第10月 (diez 10)
(ちなみに・・・ローマ時代、当時は、”3月”を年始として数えていました)
※月に関する言葉
月(mes) mes lunar 太陰月(小の月) lunar( 月の)
eclipse lunar 月食、mes solar 太陽月(大の月)
solar( 太陽の) eclipse solar 日食
● eclipse total 皆既食
☆日付の表現
ここでは、会話表現で学んで行きましょう。
では・・・日付をスペイン語で聞いてみると:
  -?Que fecha es hoy?        今日は、何月何日ですか?
(la fecha 日付 que fecha 何の日付=何月何日?)
  -Hoy es el veintiuno de julio.    今日は、7月21日です。
この他にもう一つの表現があります。どちらもよく使われます:
-?A cuantos estamos hoy?
直訳→今日は、カレンダーのどの位の量のところに私たちはいるか?
和訳→今日は、何月何日ですか?
(a ~のあたりに cuantos 如何程の →カレンダーで如何程のところに)
  -Estamos a cinco de mayo.
直訳→私たちは、カレンダーの五月五日のところにいます。
和訳→今日は、五月五日です。
※スペイン語で「何月何日ですか?」の表現は、日本語とも英語とも異なる発
想でされていますので、その発想を観察しておきましょう。
☆曜日の表現
次に・・・曜日について学びましょう。
スペイン語の曜日は、ローマ神話の神名に由来しています。
ちなみに英語やドイツ語は、ゲルマン神話の一部である北欧神話(ヴァイキン
グの人々で有名な北欧系種族の神話です。”北ゲルマン”という名称が用いられ
ています)に由来する曜日の名称が、神の機能を一致させて相当し、用いられ
ています。
例えば、金曜日は、英語でFriday、ドイツ語では、Freitagと言いますが、こ
れは、ゲルマン神話での美の女神フレイヤから来ています。ローマ神話では、
美の女神とは、ヴェーヌス(ヴィーナス)に相当するところから、同じ働きの
神名を重ねたものとなっています。
※補足
印欧語を話す人々の神話の構造は、民族や種族が異なってはいるものの、ゲル
マン神話、ケルト神話、ギリシア神話、ローマ神話など、同じ構造を持ってい
るものです。それは、政治・軍事・経済というような三角構造(トリアッドと
いいます)を持っているもので、この神話の形体をそのまま、社会階級にした
のが、現住地と考えられているコーカサスのスッテプ地帯から東に進んだ
“アーリア人(印欧語を話す人々)”の一派が作ったインドでのカースト制度で
もあります。
よって、インド神話から派生した「仏教」にしてみても、印欧語という言語の
持っている哲学や思想といったものを色濃く反映させているかも知れません。
そして、驚くことに、フランス人の比較神話学者であるジョルジュ・デュメジ
ルが世界各国の神話を比較検討してみた結果、印欧語話者の神話と同じ構造を
しているのは、我々の「古事記」という日本神話であるとのことです。
☆曜日の名称
  曜 日  スペイン語  備 考
   月   lunes     月神ルナ
   火   martes    軍神マルス
   水   miercoles   水星神メルクリウス=天の使いの神
   木   jueves    木星神ユピテル=豊穣の神
   金   viernes    金星神ウェーヌス=美の女神
   土   sabado    ユダヤ教での安息日
   日   domingo    主イエスの日
会話(Conversacion)
A – ?Que dia es hoy?           -今日は何曜だっけ。
B – Hoy es miercoles           -水曜日だよ。
A – ?A cuantos estamos hoy?        -今日は、何月何日。
B – Estamos a veinticinco de octubre.   -10月25日。
A – ?Que hora es?            -いま何時。
B – Son las tres y pico.          -3時ちょっと過ぎ。
A – ?A que hora terminas tu trabajo?   -何時仕事が終わるの。
B – Alrededor de las cinco y media.    -大体5時半。
スペイン語文法の重要な基礎は、終に近づきつつあります!
後はそんなに難しいところはありません。
あなたは、日本人とスペイン人(印欧系の人々の共通点)の違いをスペイン語
を通じて観察する・・・もしくは考えるようにしてください。これぞ戦略、情
報、兵法・・・そして、地政学の最も重要なところであります。
次回をお楽しみに!
今日はここまで。
Hasta luego!