第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(18)

『青の空 ブルーインパルス』

こんばんは。渡邉陽子です。
出版されたばかりの『青の空 ブルーインパルス』(並木書房)を読みました。
『蘇る翼 F-2B』『永遠の翼 F-4ファントム』『鷲の翼 F-15戦闘機』につぐ航空自衛隊『翼』シリーズ第4弾とのこと。
このシリーズは東日本大震災で水没したF-2Bの本しか読んだことがありませんでしたが、今回は拙本『オリンピックと自衛隊 1964-2020』でも触れた1964年の東京五輪開会式におけるブルーインパルスの展示飛行につながる、2020-2021年の展示飛行のバックグラウンドが惜しげもなく紹介されています。
どれほど多くの人が関わり、縁の下の力持ちとして東京五輪におけるブルーインパルスの勇姿を支えたのか、わかっているつもりでわかっていなかったと気づかせてもらった1冊になりました。
『青の空 ブルーインパルス

第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(18)

2022年2月、北海道上富良野演習場にて、第2師団隷下第3普通科連隊の令和3年度第2次MCV射撃訓練が行なわれましたレポートの続きです。この訓練は2021年秋の第1次MCV射撃訓練に引き続き、MCV中隊準備隊(以下、準備隊)が段階的に練成射撃を実施して射撃練度の向上を図るとともに、新たに納入された車両の初度射撃を実施するのが目的です。
午後の射撃開始前には、安全係幹部が隊員たちへ次のようなことを伝達していました。
「まず、目の前の完全管理をしっかり行なってください。少しでも危険だと思ったら、年齢・階級関係なくすぐ止めてください。円滑に射撃するのも大事ですが、不安事項を取り除いて次につなげるのも訓練です。また、積み重ねの安全管理についても着意してください。たとえば分隊の場合、陣地構築にかかった人・時間を掌握していますか? 射撃前後の陣地の写真を撮って記録していますか? 
弾薬点検では開梱にかかった人・時間を掌握していますか? 本部は正しい用語を使用していますか? それらの理解、認識の統一はできていますか?」
「なにが言いたいかというと、今回の訓練はじ後の訓練、またはここにいない人に伝えていく必要があるということです。それを積み重ねることで『前回はこれやっていないけれど、今回はやっているっておかしくない?』など違和感の発見、そして不安全事項などの事故を未然に防げることにつながっていくと思います」射撃訓練だからといって「迅速に射撃し命中させる」ことだけが訓練の目的ではないことを、改めて感じさせるコメントでした。
齋藤MCV準備隊長からは「冬季射撃は防寒具で動きにくいので、一つひとつの動作を焦らなくていい。確実に行なうことを徹底し、みんなけがなく無事に帰ろう」。
確かにMCV乗員は防寒戦闘服、防寒靴、装甲帽(下車時は鉄帽着用)、弾帯、個人携行救急品、防寒服と、一様にもこもこしているのでかなり動きにくいはず。これも寒冷地ならではの特性です。
この日は重迫中隊の射撃も行なわれていました。
即応機動連隊新編時に火力支援中隊となるため、すでに新規部隊の隊員で構成されています。
特科出身の隊員は初めて扱う120mm迫撃砲です。
普通科と特科では射撃要領も異なるので(細かく言えば演習場内で使用する射場も違います)、戦力化へ向けての訓練は準備隊同様きわめて重要です。
今回は砲癖を検証するため、特科から器材を借りてきて初速の計測なども行ないました。昨秋実施した拉縄はせずすべて手籠めで、関係弾道癖射撃や地域射撃などを実施しました。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和四年(西暦2022年)8月4日配信)