【本の紹介】『特殊部隊vs.精鋭部隊─最強を目指せ』荒谷卓・二見龍(共著)


『特殊部隊vs.精鋭部隊─最強を目指せ』
荒谷卓・二見龍(共著)
判型:四六判152ページ
発行日:2021.01
発行:並木書房
https://amzn.to/3sAVz3E

おはようございます、エンリケです。

著者は荒谷卓元特殊作戦群初代群長と二見龍元40普通科連隊長のお二人です。
このおふたり。名前を見、聞くだけで背筋が伸びる「伝説的な指揮官」と聞いた記憶があります。映画「ザ・ロック」で、主役の一人・ハメル准将の凄まじい英雄的経歴を紹介する担当者が、感に耐えかねたかのように発した言葉

「Legendaly」

を感じさせるお二人です。

この本は、電子書籍・二見龍レポート#9
『現代のサムライ荒谷卓 特殊部隊を語る』
(2020年4月)を再編集したものです。

荒谷さんの言葉、感覚、発想が二見さんとの対話の
中で浮き彫りにされています。

その意味では、二見さんが聞き手の荒谷さんインタ
ビューといって過言ではない内容と感じます。

聞き手がこちらもまた超一流の、精強を追求する部
隊育成経験者の軍人であるためか、対話が実にかみ
合っている印象を持ちます。快感を覚えるほどです。

戦後日本(自衛隊含む)に決定的に欠けているもの
も見え、心から深く共感しました。

二見「特戦群相手に互角かそれ以上の戦いができる」
荒谷「特戦群は一般部隊とは違う。唯一無二の部隊だ」。

同じ時代に最強の部隊作りを目指した2人が退官後
はじめて再会──。

軍人であって軍人でない特殊部隊員、部隊が強くな
るかどうかの分かれ道、リーダーの条件、実戦形式
の訓練、陣地攻撃・防御だけでは戦えない、一番相
手にしたくない敵、使う側が主導できる装備開発…
…熱血対談を紙上で再現しました!

精強な部隊を作る勘所・着眼点は? が見える本で
す。特殊部隊を理解できる本です

伝説の軍人二人が縦横無尽に語り合っています。

著者略歴

荒谷 卓(あらや・たかし)
昭和34年秋田県生まれ。大館鳳鳴高校、東京理科大
学を卒業後、昭和57年陸上自衛隊に入隊。第19普通
科連隊、調査学校、第1空挺団、弘前第39普通科連
隊勤務後、ドイツ連邦軍指揮大学留学(平成7~9年)。
陸幕防衛部、防衛局防衛政策課戦略研究室勤務を経
て、米国特殊作戦学校留学(平成14~15年)。
帰国後、特殊作戦群編成準備隊長を経て特殊作戦群
初代群長となる。平成20年退官(1等陸佐)。
平成21年明治神宮武道場「至誠館」館長。平成30年
国際共生創成協会「熊野飛鳥むすびの里」創設。著
書に『戦う者たちへ』『サムライ精神を復活せよ!』
(並木書房)、『自分を強くする動じない力』(三
笠書房)。鹿島の太刀、合気道六段。
HP:http://musubinosato.jp

二見 龍(ふたみ・りゅう)
昭和32年東京都生まれ。防衛大学校卒業(25期)。
第8師団司令部3部長、第40普通科連隊長、中央即
応集団司令部幕僚長、東部方面混成団長などを歴任
し平成25年退官(陸将補)。現在、株式会社カナデ
ンに勤務。著書に『自衛隊最強の部隊へ』シリーズ
(誠文堂新光社)、『自衛隊は市街戦を戦えるか』
(新潮新書)、『弾丸が変える現代の戦い方』(誠
文堂新光社)、『警察・レスキュー・自衛隊の一番
役に立つ防災マニュアル』(DIA Collection)など。
現在、毎月Kindle版(電子書籍)を発刊。戦闘にお
ける強さの追求、生き残り、任務達成の方法などを
ライフワークとして執筆中。
Blog:http://futamiryu.com/
Twitter:@futamihiro

お二人の対談を書き起こした内容で、
特殊部隊とは何なのか精鋭部隊とは何なのか? 精強な部隊を創る心構えや実践のあり方などについて語りあわれています。

特に重要と感じたのが、特殊部隊は精鋭部隊というのとは違う存在、という点です。

軍事作戦能力が卓越しているのが特殊部隊、というのとは少し違うということです。多くの人は軍事能力に卓越した組織が特殊部隊と思っているようですが、そうじゃないです。特殊部隊が行うのは特殊任務であって、いわゆる軍事とは異なる民生的なものー住民の宣撫とか、要人暗殺とか、発電所の破壊、衛星通信施設の破壊、ダムなど戦略施設の破壊とかーですね。そういった任務に携わるのが特殊部隊です。

特殊部隊の元指揮官が
特殊部隊とは何か?
に答えている類まれな本と言って差し支えありません。
この本は、特殊部隊を知り、理解するために必須のポイントを網羅しています。

お二人とも幹部自衛官ご出身であるせいか、話の内容が実に噛み合っていて、いい意味で無駄がなく、読みやすいですね。

・特殊部隊と言うのは一体何なのか?
・特殊作戦群が何をする組織なのか?
・精鋭部隊とは何か?
・精鋭を育成するには何が必要なのか?
・リーダーには何が必要か?

といったことが、惜しみなく語られています。
お二人の性格なのでしょうか、本音を包み隠さず真摯に語られている雰囲気がビンビン伝わってきます。いい本です。

日本で最も成功した商売人の方がいらっしゃいます。
その方が、よい会社を作るには

1.10人でできる仕事を7人でする。
2.採用するときは才能や経験でなくやる気と性格を見る。

と言っていました。

この本で荒谷さんや二見さんは、部隊を精強にする上で精鋭をいかに育てるか?精鋭をいかに集めるか?についてご自身の考えを述べておられますが、この商売人の方がおっしゃった言葉と非常に通じるものがあります。
本物は通じ合う。と、非常に面白く感じました。

最後に一言だけ。
正直申し上げて、この本紹介したくありませんでした。
コッソリと、虎の巻、タネ本にしておきたかったですw

——————————

●目 次

はじめに(二見 龍)1

第1章 本物の強さを求めて 9

   殺傷を目的としない日本の武道 9
    自衛隊に戦う覚悟はあるか? 12

第2章 初代群長として目指したもの 18

   軍人であって軍人ではない特殊部隊員 18
    特殊作戦に対する理解不足 25
    特戦群に向いている隊員 27
    訓練基準を超えた訓練 30
    1個チームで師団の機能を果たす 34
    イラク派遣で戦力化が進む 40

第3章 精強部隊を作るには 45

   特殊作戦に必須の民事・心理戦機能 45
    部隊が強くなるかどうかの分かれ道 50

第4章 国を守る戦闘者とは? 61

   合理性・効率性だけではない生き方を貫く 61
    モチベーションの高い人間がリーダーになる 66
    基礎トレーニングは課業外に行なう 73
    ラックサックマーチで体と精神を鍛える 75
    ストレスを「餌」にする 77

第5章 実戦に近づけて訓練する 82

   危険でなくなるまで訓練する 82
    自由意志の対抗戦で実力を高める 90
    実戦形式の訓練 95
    使う側が主導できる装備開発へ 98

第6章 戦える自衛隊を目指す 111

   いちばん敵にしたくない部隊は? 111
    実戦をどう捉えるか? 113
    政治と特殊作戦の関係 118
    陣地攻撃・陣地防御だけでは戦えない 121

第7章 熊野飛鳥むすびの里 128

  「探していた場所はここだ!」128
    武道を通じて日本の文化を世界に伝えたい 135
    休耕田を青々とした稲田に蘇らせる 140
    大調和の発想──神道と武道の本質 144

コラム
同じ時代に最強を目指した40連隊と特戦群(二見 龍)55

より強い相手を求めて/一般部隊vs特殊部隊/最も
充実していた連隊長時代

コラム
唯一無二の精鋭部隊─特殊作戦群(荒谷 卓)104

なぜ特殊作戦群をつくったか?/特殊部隊と一般部
隊の違い/特殊作戦群長の覚悟/鍬のひと振りが日
本を守る

おわりに(二見 龍)149

———————————

これだけ内容が詰まっているのに、
驚くほど薄く小さな本です。

こういう本、好きですねえ。

年末年始に一読をお勧めする
「間違いない」本です。

まだお持ちでないならどうぞ


『特殊部隊vs.精鋭部隊─最強を目指せ』
荒谷卓・二見龍(共著)
判型:四六判152ページ
発行日:2021.01
発行:並木書房
https://amzn.to/3sAVz3E

エンリケ

追伸

荒谷さんの既刊書すべてを、繰り返し繰り返し再読
してます。昨今は特に「テロリズム」関連書と併読
するケースが多いです。

なぜって?

今から先の戦場で主流となる低強度紛争に対処する
のは「特殊部隊」だからです。我が国も例外ではあ
りません。

荒谷さんの本や著作物は必読と思っています。


『特殊部隊vs.精鋭部隊─最強を目指せ』
荒谷卓・二見龍(共著)
判型:四六判152ページ
発行日:2021.01
発行:並木書房
https://amzn.to/3sAVz3E