陸上自衛隊東北方面隊


東北方面隊(東北方面軍)は2個師団と13の方面直轄部隊及び機関を隷下に置き、侵略・自然災害等から東北6県の県民を守るため、管内13個駐屯地で約2万人の隊員が任務にあたっている。
東北方面隊(東北方面軍)の任務は東北6県を守ること。
そのため、予測できないが急にやってくる危機に対し、いつでも対応できる態勢を取ることが必要となる。危機管理のための最小限の備えとして、2個師団と13の方面直轄部隊を保有している。
これらの部隊の存在と、日々たゆまぬ訓練により実効性を高めることで、戦後60有余年にわたり外国からの侵略を未然に防止してきた。また、訓練で培われた実動能力や組織力は、東北大震災をはじめとする災害派遣や各種地域行事支援等において地域及び地域住民に大きく寄与している。
編成
東北方面隊(東北方面軍)は、中核となる方面総監および方面総監部を仙台に置き、神町第6師団、青森第9師団および、柴田第2施設団(工兵旅団)、東北方面混成団(混成旅団 仙台)、東北方面特科隊(砲兵隊 仙台)八戸第5高射特科群(高射砲兵連隊)、東北方面通信群(仙台 通信連隊)、東北方面航空隊(仙台)、東北方面後方支援隊(仙台)、東北方面衛生隊(仙台)、東北方面会計隊(仙台)、東北方面指揮所訓練支援隊(仙台)、東北方面情報処理隊(仙台)、東北方面総監部付隊(仙台)、東北方面音楽隊(仙台)などの部隊が、管内にある13の駐屯地および1つの分屯地で展開している。管内には6個の地方協力本部も配置されている。
特性
東北地方の防衛のみでなく、関東地方で有事が発生した場合、富士教導団と共に関東地方に出動する。いってみれば首都防衛の後詰めとしての役割を果たす。ちなみに、陸上総隊構想では、総隊司令部創設に伴う東部方面総監部廃止・第1師団の首都防衛集団への改編に伴い、東部方面総監隷下の第12旅団を東北方面総監隷下に移管する話がある。
略歴
1960年1月14日 方面総監部が仙台駐屯地で開庁。東北方面通信隊編成。
1964年3月 東北方面武器隊編成[1]。
1968年3月 東北方面通信隊が東北方面通信群に改編。
2006年3月27日 方面混成団、方面後方支援隊及び方面衛生隊を新編。
2008年3月26日 第305保安中隊を東北方面警務隊隷下に編成替え
同6月 岩手・宮城内陸地震災害派遣出動
2009年3月 方面情報処理隊を新編
2010年3月26日 第9師団を即応近代型師団に改編。第2特科群を東北方面特科隊に改編し、第4地対艦ミサイル連隊はその隷下に異動。
2011年3月14日~7月1日 東北地方太平洋沖地震対処にあたる陸海空10万人規模の災統合任務部隊を運用するため、東北方面総監・君塚陸将(陸軍中将)を長とする司令部機能「JTF-TH(Joint Task Force TOHOKU)」を編成。
【参考】
東北地方の帝国陸軍の管区は仙台鎮台管轄区域である第二軍管区として発足した。
鎮台が師団に改編されて後は、仙台第2師団が管轄する区域、即ち第二師管区であり、師管区が法制化されて初めての陸軍管区表では、青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県・新潟県が第二師管区に属していた。
明治31年(1898年)に弘前第8師団が、1905年(明治38年)には高田第13師団が設置され、明治40年(1907年)の陸軍管区表では、青森県・岩手県・秋田県は第八師管区に、宮城県・福島県・山形県は第二師管区となり、新潟県は長野県と共に第十三師管区に移った。
大正14年(1925年)の宇垣軍縮に伴い宇都宮第13師団が廃止され、同年の管区表改正で山形県は第八師管区に移り、第八師管区は青森・岩手・秋田・山形の四県、第二師管区は宮城・福島・新潟の三県となった。
師管区の名称に地名を冠したのは昭和16年(1941年)8月5日の陸軍管区表(昭和16年軍令陸第20号)からで、第八師管区は弘前師管区、第二師管区は仙台師管区と名を変えた。
大東亜戦末期、絶対国防圏の要石とされたサイパンを失い、レイテ戦に失敗し、大本営は昭和20年(1945年)1月20日、本土(北海道、本州、四国、沖縄を除く九州)の維持を作戦目的とした「帝国陸海軍作戦計画大綱」を決定。本土に於ける軍の編制を根本的に改めた。
同年2月6日、東北地方を作戦地域として第11方面軍は編成された。
当初は防衛総司令部の指揮下に、その後4月8日には新設の第1総軍の指揮下に入り、連合国軍との本土決戦に備えたが、交戦することなくわが軍の無条件降伏となった。
なお、司令部は方面軍の創設から編成完結までの時間が短かったため、北海道東部の防衛を担任していた第27軍(2月1日付で廃止)の司令部要員を移駐させて編成された。
なお、第11方面軍司令官は東北軍管区司令官を兼ね、軍管区司令官としては天皇に直隷した。また、参謀長、参謀副長も、東北軍管区のそれを兼ねた。