【第71講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その49)

今回は、名詞節、形容詞節に引き続き副詞節、独立用法を学んで行きましょう。
これで接続法の用法(初級レベル)は終わりです。

3)副詞節
接続法が副詞・副詞句と共に使用されるものです。多くの場合ですが、熟語形式に
なっています。
日本人の場合の注意をしつこくしておきますが、「自分は実現の可能性が高いと思う
から・・・」とか、「自分は相手を信じてあげているから・・・」とかで”接続法”を
使うべきところで”直説法”を用いて表現したがる場合があります。
しかし・・・もし、これをしてしまうと・・・これが外国人の話す”おもろい”スペ
イン語になってしまうのです。
直説法、接続法と言ってみても・・・それはスペイン語にはスペイン語の論理がある
から・・・なので、それに従って展開すればよいのです。
次に幾つかの分類を提示します。初級レベルで一応習得するべきものばかりです
:(que 以下が接続法の活用になります)
ア)目 的: a fin de que~, para que~, a que~, porque~・・・ガ~スルタメニ
イ)条 件: a condicion de que~, con tal de que~, en caso de que~
・・・ガ~トイウ条件デ
ウ)否 定: a menos que~, a no ser que~, excepto que~・・・ガ~デナケレバ
salvo que~・・・ガ~ノ場合ヲ除イテ ,
sin que~・・・ガ~スルコト無シデ
エ)譲 歩: a pesar de que~・・・ガ~デアルニモカカワラズ
aunque ~タトエ・・・ガ~デアッタトシテモ
por + 形容詞/副詞 + que+接続法
por mucho・poco/mas + 名詞 + que +接続法
・・・ガドンナニ(多ク・少ナク 名詞)デアッテモ
オ)時 : a la vez que~・・・ガ~スルト同時ニ
apenas que ~・・・ガ~スルトスグ
cada vez que~・・・ガ~スルタビニ
hasta que~・・・ガ~スルマデ
siempre que~・・・ガ~スル時ハ何時モ
desde que~・・・ガ~シテカラ
tan pronto como~・・・ガ~スルトスグ
カ)その他(全て単品の熟語です)
o sea ツマリ
que yo sepa 私ノ知ル限リデハ
sea lo que sea トニカク
pase lo que pase 何ガ起キヨウト
digan lo que digan 人ガドウ言オウト
quieras o no 好ムト好ムマイト
では・・・主要な表現例を観察しておきましょう。
・para que ~ ・・・ガ~スルタメニ)
ex. Abro la ventana para que puedas entrar.
(君が入ることが出来るように私は、窓を開けます。)
・con tal de que ~・・・ガ~スルトイウ条件デ
ex. Te doy dinero con tal de que estudies mucho.
(君が大いに勉強するという条件でお金をあげよう。)
・cuando~・・・ガ~スル時ニ(それが何時なのかは知らないけれど)
ex. Cuando vayas a Espana, iras al Museo del Prado.
(君がスペインへ行く時に、プラド美術館を訪れなさいよ。)
・aunque~   タトエ・・・ガ~デアロウト(非現実で譲歩の内容です)
ex. Aunque yo tenga pistola, no la usaria.
(たとえ僕がピストルを持っていようと、使わないでしょうね。)
→最初から”ウソ”を言っているので、最後の決めが直説法過去未来(~でしょう
ね)にして断言をせず、仮定を重ねています。
※しかし・・・直説法で表現すると、現実の内容を持ちます。日本語に注意してく
ださい。
ex. Aunque yo tengo pistola, no la usare.
(僕はピストルを持っているけれども、使わないだろう。)→最初からホントのこと
を言っているので、最後の”決め台詞”が直説法未来で以て・・・推量よりは現実
化を前提とした意志を伝えたりします。
こちらは、本当にピストルを持っているにも関わらず、実際には使わないで他の
武器なり手段を用いることを伝えています。
4)独立用法
上の1)~3)とは違って、接続法の動詞が単独で使われるものです。パターンが
決まっています。
そもそも、独立用法で接続法が使われるのは、結局のところ願望、命令、疑惑といっ
た内容を表現するものなので・・・即ち、「話者の想い」を表すからなのです。
よって、何も不思議がることはありません。
ア)願望文 (願望の想いを表現する) ~ガ…シマスヨウニ!
公式 !Ojala que + 接続法 !
ex. !Ojala que puedas ir al hospital! (君が病院へ行けますように!)
※Oj- おお ala アラーの神・・・というアラビア語からスペイン語に定着したもの
です。中世、「キリスト教スペイン」は、「イスラム教スペイン」と拮抗状態が
続いていましたが、文化交流も”思っている以上に”あったのでした。その名残で
す。
(祈りを捧げるイスラム教徒をキリスト教徒が見ていて、それが導入されたと言われ
ています。)
イ)命令文 (相手に自分の願望を伝える)
(第二人称tu, vosotrosや再帰動詞の命令文は後で習います!)
・~シテクダサイ→usted, ustedes (第三人称で活用)
ex. Hable usted mas despacio.
(もっとゆっくり話してください。→あなた様に)
Hablen ustedes mas despacio.
(もっとゆっくり話してください。→あなた様方に)
※”Por favor”を一緒に使うと丁寧さが増します。
→Hable usted mas despacio, por favor.
(もっとゆっくりお話しになってくださいませ。)
・~シマショウ →nosotros の人称で活用
ex. Cantemos juntos. (いっしょに歌いましょう。)
この表現は、Vamos a + 不定形 で置き換えることが可能です。
→Vamos a cantar juntos.
ウ)疑惑文 (現実の裏側の気持ちを伝えます) ヒョットシタラ~カモ
・Quizas + 接続法 Tal vez + 接続法 (両方とも同じ意味です)
ex. Quizas el jefe no sepa el engano de los enemigos.
(ひょっとしたらお頭は、敵方のだまし討ちをご存じないかもなあ。)
→お頭は知っているかも知れないと期待もある。
※もし、直説法を用いたら・・・それだけ現実化を前提とするので、タブン~ダロウ
という意味になります。
ex. Quizas el jefe no sabe el engano de los enemigos.
(たぶんお頭は敵方のだまし討ちをご存じないだろう。)
→このような場合には現実的な確立が高いのですから危険ですね。
やっとスペイン語文法の最後の山場であった接続法の基礎が終わりました。
次回は、法、時制、相など動詞のカテゴリーについて整理して行きましょう。
接続法を終わると・・・スペイン語の難しいところは終わったも同じです!
次回をお楽しみに!