北野幸伯 「プーチン 最後の聖戦」 集英社インターナショナル

2019年2月6日



あなたの平和ボケ世界観を一変させる本
「世界はきれい事じゃ動いていない!」
北野幸伯さんの最新刊。
今回のテーマは、世界覇権を狙うロシアの青写真。
そして青写真の作り手「プーチン」。
彼を通して、冷戦後ロシアの現在・過去・未来を読み解きます。
今回も北野節炸裂!!
分かりやすくてなじみやすい国際情勢解読書です。
いまイチオシです
http://okigunnji.com/s/putin/
2010/6/30、RPEジャーナルの北野幸伯さん(ロシア在住)が暴漢に襲われました。
当日午前、第一報が届いたとき、全身の血が逆流するほどのかつてない怒りを覚え、各種措置を取りました。昨日のことのように思い起こします。
おこがましい言い方ですが、北野さんは、私の戦友です。
北野さんは、欧米・シナとの適切な距離感を保てるロシアにいます。
ロシアでも超エリートしか通えないムギモ(モスクワ国際関係大学)を卒業。
そこで培った独自の視点、人脈。行動から数々の提言・予測が生まれました。
それらは戦後日本に生きるわれわれに、ショックと勇気と元気を与えています。
処女作「ボロボロになった覇権国家」で米の没落・世界の流動化を予言した北野さんは、次の作品「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」で世界が多極化に向かう方向性を示しました。
そして前作「隷属日本の岐路」で、そんな時代にわが国が何をどうすればよいか?の青写真を提案しました。
今回は、二〇〇八年からはじまった「新たな世界」の重要なプレーヤー「ロシア」を率いる「プーチン」が主人公です。
あなたが最も知りたいことは
「これからロシアはどう動くのか? わが国はどうすればいいのか?」でしょう・・・
本書によれば最も重要なのは
「ロシアはプーチン外交に戻る」
ということです。
自ら主役になる気はないが、ロシアを世界多極化の一角とする
プーチンはそれを目指しています。
具体的な戦略方向性は
1.アメリカを没落させ
2.ドル体制をさらに崩壊させルーブルを基軸通貨化し、
3.中ロ同盟の再強化を目指すため
4.上海協力機構の再強化を目指し
5.ブリックス諸国(ブラジル、インド、支那そしてロシア)との連携を深め、
6.ユーラシア経済同盟を作る
というものです。
インフレとドル暴落がこれから米で発生してゆくと北野さんは見ています。
米の経済後退は他人事ではありません。
そうなると、真っ先に削減対象になるのが海外派遣米軍部隊です。
在日米軍、在韓米軍などはその典型ですね。
これから先わが国は、
国を失うか、在日米軍を維持させるかの苦しい選択を迫られそうです。
シナについては、2020年ごろまで成長すると見ています。
中でも重要なのは人口の推移(P228)という視点です。
二〇〇八年、世界は、文明史レベルの転換点を迎えました。
今、わたしとあなたは、二〇〇八年以前とは違う時代に生きています。
そのことを、改めて本著で知ってください。
「韓国の変質」もリーマン・ショックが契機になっています。
それでは、心してページをめくってゆきましょう。
□もくじ
はじめに・・・10
第一章 神への道  プーチンはいかにしてロシアの絶対権力者になったのか?・・19
 スパイを夢見た少年・・・20
 諜報員として冷戦の最前線へ・・・22
 ゴルバチョフ時代のソ連とは・・・24
 三〇台後半から驚異のスピード出世・・・25
 「バウチャー」という紙切れが生んだ、すさまじい格差社会・・・27
 ユダヤ系新興財閥(成金軍団)が台頭し、ロシア経済を支配・・・31
 「クレムリンのゴッドファーザー」、ベレゾフスキーとは・・・32
 FSB長官プーチン、ベレゾフスキーに接近・・・36
 いよいよ首相の座へ・・・41
 大統領プーチン、国内統治に向けて「革命的な大変革」・・・43
 新興財閥の大物、グシンスキーを排除・・・46
 プーチン支持だったベレゾフスキーも反プーチンへ・・・48
 プーチン、いっせいに新興財閥狩りを開始・・・50
 ベレゾフスキーの敗北・・・54
 プーチン、新興財閥軍団をついに支配下に・・・58
 新興財閥軍団は、最初からKGBにハメられていた・・・60
 ロシア下院支配へ・・・64
 天然ガス世界最大手、ガスプロムを支配・・・66
 プーチン以前、完全崩壊していたロシア経済・・・72
 デフォルトを行った一九九八年、ロシア経済は転換点に・・・76
 プーチンとロシア経済に吹いた原油高騰の「神風」・・・78
 プーチン、三つの経済革命を断行・・・82
 大幅減税で、巨大な「ロシア地下経済」が表に・・・83
 エリツィン時代とプーチン時代、これほどの違い・・・86
第二章 米ロ新冷戦  プーチンはいかにアメリカを没落させたのか?・・・91
 プーチンのアメリカ嫌い・・・92
 ソ連時代の徹底した反米教育・・・93
 冷戦の敗北・・・96
 アメリカが破産しない理由・・・98
 基軸通貨「ドル」のさまざまな特権・・・102
 米ソ冷戦後の欧州の反逆・・・108
 フセインの核爆弾・・・110
 外交における理想主義と現実主義・・・113
 アフガン戦争とプーチン外交・・・116
 米・ブッシュとロシア・プーチンの短い蜜月・・・118
 イラク戦争と石油・・・120
 プーチン、反米にシフト・・・122
 アメリカ没落の始まりとなった、ロシア「ユコス事件」・・・123
 ホドルコフスキーが犯した五つの大罪・・・127
 プーチン、ついに世界の支配者に宣戦布告・・・133
 石油はつねに戦争と結びついている・・・138
 アメリカの「石油枯渇」が近づいている?・・・139
 アメリカは、資源の大宝庫、カスピ海を狙う・・・141
 グルジアのバラ革命はなぜ起こったか・・・145
 バラ革命はアメリカの革命だった・・・147
 プーチン、二期目の大統領選で圧勝・・・152
 ウクライナでオレンジ革命が成功・・・154
 キルギスでもチューリップ革命が成功・・・157
 チューリップ革命もアメリカの革命だった・・・159
 アメリカの革命、ウズベキスタンでの失敗・・・161
 なぜアメリカ画策の「カラー革命」は止まったのか?・・・164
 プーチン、アメリカとの「血戦」を選択・・・169
 プーチン、仮想敵国・中国との同盟を決意・・・170
 ロシアと中国、「上海協力機構」を反米の砦化・・・177
 プーチンの逆襲にいらだつアメリカ・・・180
 二〇〇六年、プーチン、ドル崩壊への歴史的決断・・・185
 崩壊してゆくドル体制・・・188
 プーチンの引退とメドベージェフの登場・・・191
第三章 休戦  米ロはなぜ和解したのか?・・・195
 この章を読まれる前に・・・196
 ルーズベルトにハメられて、負けいくさに突入した日本・・・197
 二〇〇八年に起きたロシア・グルジア戦争の真相・・・201
 欧米のプロパガンダにだまされる「平和ボケ」の日本人・・・203
 ロシアとの戦争で得るものがなかったグルジア・・・207
 二〇〇八年九月、世界経済危機の始まり・・・210
 リーマン・ショック後、「アメリカ一極経済」はついに終焉した・・・211
 オバマ大統領誕生の意味・・・215
 一極世界から多極世界へ・・・216
 アメリカ、自身の没落を認める・・・218
 中国、「世界共通通貨」導入を提案・・・220
 浮上する中国・・・224
 プーチン、「想定内」の危機と「想定外」の危機・・・230
 オバマとメドベージェフによる、米ロ関係「再起動」・・・234
 米ロ「再起動」のさらなる進展・・・238
 メドベージェフ、アメリカ訪問で一定の外交成果・・・243
 悪化する米中関係・・・246
 暴走中国のレアアース・ショック、世界に走る・・・249
 プーチンとメドベージェフの危い確執・・・250
 欧米の本当の怖さを知らないメドベージェフ・・・255
 「神」、プーチンの帰還・・・259
第四章 最終決戦  プーチンはどうやってアメリカに「とどめを刺す」のか?・・263
 いまという時代・・・264
 世界の歴史は「覇権争奪戦」である・・・265
 「現実主義」から見る米中関係の今後・・・268
 ルーズベルトの影を追うオバマ・・・273
 リビアの次に、アメリカはシリアを狙う?・・・278
 イラン攻撃の真因は「核兵器開発」ではない・・・280
 対イラン戦争は、アメリカの国益に完璧に合致している・・・286
 プーチンは、メドベージェフの「米英追随外交」を転換する・・・291
 イラン戦争が起これば、ロシアにも利益がある・・・295
 反プーチン・デモの黒幕はアメリカか?・・・297
 いまのロシア国民の不満とは?・・・299
 アメリカ国務省とロシア国民の関係・・・303
 これから、プーチンは何をめざすのか?・・・306
 プーチンは、ついにアメリカにとどめを刺す・・・310
 近い将来、ドル暴落とインフレがアメリカを襲う・・・319
 エネルギー革命が起こればアメリカ復活も・・・323
おわりに・・・328
年表 プーチンとロシアと世界の動き・・・337
□著者
北野幸伯(きたの・よしのり)
1970年生まれ。ロシアの外交官とFSB(旧KGB)を専門に養成するロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学(MGIMO)」(モスクワ大学と並ぶ超エリート大学)を日本人としてはじめて卒業。政治学修士。
卒業と同時に、ロシア・カルムイキヤ自治共和国の大統領顧問に就任。
99年より無料メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」を創刊(2012年現在、購読者数約32000人)、MGIMOで培った独自の視点と経験を活かし、従来とはまったく違った手法で世界を分析する国際関係アナリストとして活躍中。
著書に「ボロボロになった覇権国家」(風雲舎)「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」(草思社)「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)がある。
ロシア・モスクワ在住。
ロシア政治経済ジャーナル
http://www.mag2.com/m/0000012950.html
北野さんを知らない人は、氏をオカルト的な「予想屋」扱いしがちです。
少しでも氏を知ると、そんな言葉は虚ろな陽炎になります。
「世界はきれい事でなんか動いてない」
北野さんは、このことを骨の髄から知る、数少ない日本人のひとりです。
<国際関係というのは、「ウソ八百」なんです。>(P197)
<そして、この本で書かれていることは、
「ウソの理由で戦争する」
「基軸通貨体制を守るために他国を攻める」
「石油利権を確保するために戦争する」
「他国で次々と革命を起こす」
「どちらが先に戦争したかを、情報戦でくつがえす」
「国際法を無視しても大国は罰せられない」
等々、われわれ日本人には、信じがたいことばかりです・・・>(あとがきより)
それなのに、いやそれだからこそ、
北野さんは心根の温かい愛国者です。
複雑怪奇な国際問題を、
ここまで分かりやすく読者に説明・解説できるのはそのためです。
その方の言葉だから、読む価値があります。
それにしても、ほんと面白かった。
心からオススメします。
今日ご紹介した本は
「プーチン 最後の聖戦」
著者:北野幸伯
発行:集英社インターナショナル
発行日:2012/4/10
http://okigunnji.com/s/putin/
でした。
(エンリケ)
<追伸>
すべての日本人が、平和ボケから覚醒するよう北野さんは求めています。
<私がこの本を書いた意図の一つは、「世界がいまだに戦国時代であること」を
皆さんに知ってもらいたかったからです。
・・・「アメリカが日本を守れなくなる日」が近づいている。・・・>
(あとがきより)
戦国時代をサバイバルするには、この本が欠かせません。
読むだけで、あなたの脳は確実に変わります。
http://okigunnji.com/s/putin/