【本の紹介】『空から提言する新しい日本の防衛』 織田邦男(著)

2023年11月4日

表紙にある
「日本の安全をアメリカに丸投げするな」
との一文が、読み手の魂を射抜きます。

イラク派遣航空作戦でも指揮を執った元空将が、現場での経験を踏まえ、
絵空事ではない「有事」をリアルにシミュレーションしつつ
わが国が、そして日本人が、今なすべき「わが国防」を徹底的に考える本。

それが

『空から提言する新しい日本の防衛 – 日本の安全をアメリカに丸投げするな -』
織田邦男(著)
定価:1,700 円+税
発売日:2023-07-26
発行:ワニ・プラス  
発売:ワニブックス
https://amzn.to/3Q6Fs9e

です。

こんばんは、エンリケです。

織田邦男空将。
弊メルマガの読者ならおなじみでしょう。
航空支援集団司令官の時、イラク派遣航空部隊指揮官としてイラク復興支援航空作戦の指揮を執った方です。退官後は活発な言論活動を通じ、平和ボケに浸りきった国家国民の覚醒を図っておられます。

【略歴】
織田邦男(おりたくにお)
1952年生まれ。74年防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊。F4戦闘機パイロットなどを経て、83年米国の空軍大学へ留学。90年第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令。2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部隊指揮官)を務め2009年に航空自衛隊退官。2015年東洋学園大学客員教授、2022年麗澤大学特別教授。同年第38回正論大賞受賞。

個人的には佐藤守閣下と印象がダブる魅力的な空将です。
言論活動に長けておられる感を持ちます。

メルマガ創刊当初(2000年頃)に読者さんから「織田は「おだ」じゃなくて「おりた」。将来の空自を担う人物。偉いのに気さく」という話を聞いたことを、なぜかいまでも
妙にはっきり覚えています。

「現代の安全保障論」:今、知っておかなければならない脅威と対策

本著で織田さんはこういうことをおっしゃってます。

■防衛は「まさか」ではなく、「もしや」を前提に構築しなければ意味がない
■台湾有事は「あるか、ないか」ではなく「いつなのか」の段階
■急務! 海上保安庁を中国海警局に対抗できる組織に
■核戦力でもアメリカに並ぼうとしている中国
■米中間の深刻なミサイル・ギャップを解消する手段とは
■戦争の引き金は「軍備の不均衡」である
■核抑止に「当事者意識」が低すぎる日本
■現代戦は平時と有事の「グレーゾーン」から始まる
■「平時法制」こそ、まっさきに整備を
■反撃は「全力」が当然、「必要最低限の反撃」などあり得ない
■「2025年在日米軍撤退」の現実味
■「自国が侵略されたら戦う」と答えた日本人はの割合は79カ国中最下位
■米軍基地の「経費負担」よりも大事なのは自主防衛努力
■アメリカに対して「主張すること」こそが同盟を緊密にする
■敵基地への反撃は、自衛隊が主体的に行うべき任務
■朝鮮・台湾有事に日本は自国民をどうやって救出するつもりなのか
■今のままでは、自衛官は捕虜の待遇さえ受けられない
■庭も同盟も「手入れ」をしなければ荒れ果てる
■「反撃能力保有」に反対する左翼メディアの信じられない言い分
■専守防衛というあいまいな「政治造語」が生む誤解
■「自助」を喪失した日本人
■Jアラートに文句を言う日本人の「危機意識」

ほか

日米同盟は我が国を米が守る同盟ではなく、我が国にある米の権益を米が守るための同盟です。我が国の権益は我が国が守るのです。そのための軍備であり安保であり国防です。

我が国の権益までも米に守ってもらうというのは「我が国は米の植民地である」と宣言したのと同じです。少なくとも日本国民多数は、そんなことを許容したことはこれまでも今もこれから先もありません。

自国の防衛は自らが中核となって行うのです。
自国の安全率をより高めるために他国との同盟関係を構築するのです。

このあたりの感覚に麻痺しているのが戦後日本という時代であり、
すべての他国に付け込まれるスキを生み出している要因では?

ではどうすればよいのか?
その参考になる貴重な書として本書をゼヒ読んでいただきたいのです。

この「我が防衛を空から提言する書」の中身を見ていきましょう。

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【もくじ】

1章  日本を取り巻く戦後最悪の安全保障環境
 世界で最も軍拡の激しい日本周辺
 安保3文書が明確にした「国防」の本意
 安保戦略「最大の欠陥」とは
 増える核保有国、NPT体制崩壊の危機
 「核の傘」が「破れ傘」になる日
 「ウクライナ危機はウォーミング・アップに過ぎない」
 米中間の深刻な「ミサイル・ギャップ」
 核抑止への当事者意識を持て
 一顧だにされなかった「防衛費増」の要望
 急がれる「平時法制」の整備
 「必要最低限の反撃」などあり得ない
 戦う気概がない国を誰も助けない
 「危険な窓」が開く・・・残された時間は少ない
 力なき外交は無力である

2章  中国が目指す「パックス・アメリカーナからパックス・シニカへ」の野望
 中国が愛する「2人のルール」
 なぜ今、台湾なのか
 「侵攻」「統一」に向けて着々と進む法整備
 「2027年」が台湾進行のめどになるのか
 「台湾有事は日本有事」、立ちはだかる憲法の壁
 台湾有事、7つのシナリオ
 「あっという間に情報孤立」、台湾版ハイブリッド戦争の趨勢
 「ロシアとの共倒れは避けたい」・・・習近平の野望
 日本が早急になすべき4つのこと
 対中国機にスクランブル激増の理由
 中国のサラミ・スライス戦略
 中国海警を使う「ホワイト・シップ・ストラテジー」
 海保の強化、海自との連携を急げ
 連携の障害は海保法25条にあり
 戦争を繰り返してきた「力の信奉者・中国」
 冊封体制の復活を阻止せよ
 「力の空白」を作ってはならない
 「オストリッチ・ファッションからの脱却

3章  新たなな抑止力としての日米同盟とNATO
 2025年、「在日米軍撤退」の現実味
 米国市民が抱く日米安保条約の「不公平感」の危険性
 アメリカが日本に提供する「5つの傘」
 アメリカを「パックス・アメリカーナ」維持に専念させよ
 基地の「経費負担増」よりも大切なのは自主防衛力
 F15撤退によるプレゼンス低下と絆の弱体化
 「主張すること」が同盟を緊密にする
 「矛と盾」のお題目に逃げ込むな
 「敵基地への反撃」も自衛隊が主体的に行うべき任務
 重要な成果だった邦人救出の「スーダン・ミッション」
 世界的に大恥をかいたアフガンからの邦人輸送
 朝鮮・台湾有事時に日本は自国民を救出できるのか
 自衛官は捕虜の待遇さえ受けられない
 NATOと歩む「NAIPTO」設立の提案
 NAIPTOで抑止できる台湾侵攻
 「永遠の同盟も永遠の敵もない」
 庭も同盟も手入れをしなければ荒れ果てる

4章  改憲で実現すべき「軍事力による安全」
 防大進学時の教師たちの暴言
 今なおはびこる自衛隊違憲論
 自衛官の募集難は「違憲論」も要因
 軍法が整備できない憲法上の実害
 「反撃能力保有」に反対する左翼メディアの矛盾
 「専守防衛」という曖昧な政治造語が生む誤解と弊害
 自衛官の声を聞け!
 自衛隊員に誇りと名誉と社会的地位を
 「軍からの安全」から「軍事による安全」へ

5章  国民の意志こそが国防の「最後の砦」
 安全保障は「一人ひとり」の思考から
 「自助」を喪失した日本人
 弾道ミサイル防衛という危機管理
 サイバー戦まで「専守防衛」!
 「自衛隊が世論工作」の嘘
 最後は「国民の意志」
 「平和の維持のために、戦争について考えよ」
 

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いかがでしょうか?

この本は、わが国が直面している安全保障の課題について、読み手に新たな視点と洞察を提供します。重要な情報を包括的かつ分かりやすく提供します。

防衛は「まさか」ではなく、「もしや」を前提に構築しなければ意味がありません。たとえば台湾有事。こちらについては今や「あるか、ないか」ではなく「いつなのか」の段階に迫っていることがよくわかります。
急務として海上保安庁を中国海警局に対抗できる組織へと進化させる必要性、中国が核戦力においてアメリカに並んでいる現実、米中間の深刻なミサイル・ギャップを埋める方法なども記されています。

戦争の引き金は「軍備の不均衡」によるものであり、核抑止における「当事者意識」の低さについても議論されています。
現代の戦争は平時と有事の「グレーゾーン」から始まることが多いことから、「平時法制」の整備が不可欠であることも指摘します。

また、反撃においては「全力」が当然であり、「必要最低限の反撃」などという発想は許されない現実感覚を提示し、同時に、「2025年在日米軍撤退」の現実味を読者に突き付け、日本人の安全意識がいかに低いかについても言及しています。左翼メディアによる「反撃能力保有」への反対論を批判的に検証します。
アメリカとの同盟については、米軍基地の「経費負担」よりも自主防衛努力や「主張すること」の重要性が強調されています。敵基地への反撃はわが自衛隊が主体的に行うべき任務であり、朝鮮・台湾有事においては、我が国が自国民をどのように救出するかが問題、現在のままでは、自衛官ですら捕虜の待遇を受けられない危険性が示唆されています。
そして次のような重要な指摘がなされています。

・自衛隊や同盟関係を「手入れ」しなければ荒れ果てることヘの警告。
・専守防衛というあいまいな「政治造語」が生む誤解。
・私たち日本人が「自助」を喪失している現実。

本書は、日本が直面する現実的な安全保障の課題に対処し、国民一人ひとりがその役割を果たすための洞察と知識を提供します。私たちの未来と安全を守るために必読の一冊です。お読みいただき、そして主権者として行動するにあたってのインスピレーションを得ていただければ幸いです。
心からオススメしたい一冊です。

『空から提言する新しい日本の防衛 – 日本の安全をアメリカに丸投げするな -』
織田邦男(著)
定価:1,700 円+税
発売日:2023-07-26
発行:ワニ・プラス  
発売:ワニブックス
https://amzn.to/3Q6Fs9e

エンリケ

追伸

Jアラートに対して文句を言う日本人の「危機意識」についても考えられています。

『空から提言する新しい日本の防衛 – 日本の安全をアメリカに丸投げするな -』
織田邦男(著)
定価:1,700 円+税
発売日:2023-07-26
発行:ワニ・プラス  
発売:ワニブックス
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