【本の紹介】『MP38&MP40サブマシンガン──ドイツが生んだ傑作小火器』 アルハンドロ・デ・ケサダ著/ 床井雅美監訳/  加藤 喬訳

『MP38&MP40サブマシンガン──ドイツが
生んだ傑作小火器』

アルハンドロ・デ・ケサダ著/床井雅美監訳/
加藤 喬訳
四六判180ページ(オールカラー)
定価1800円+税
https://amzn.to/3P2G1P1

おはようございます、エンリケです。

単なる「戦史モノ」とは一線を画した
「武器ストーリー」を強く感じさせる一冊。

WW2戦争映画ではおなじみのサブマシンガン
「MP38、40」。

このマシンガンをドイツ陸軍軍人が装備している姿
は、映画やドラマ等々を通じて、誰もが目にしたこ
とがあるはずです。

この本は、その誕生からいまに至るものがたりを描
き出しています。

●MP38、40とはいかなる意味を持つ武器だった
のか?

●MP38、40は、如何にして生まれ、どういう最
盛期を迎え、その後どうなったのか?

●このマシンガンと、思いもかけないところで巡り
合うチャンスが多かった理由はどこにあるのか?

などなど、興味惹かれる記述にあふれており、鮮明
なクローズアップ写真やフルカラーイラスト、大戦
当時の多数の貴重な写真とともに、MP38とMP40の起
源、戦歴、そして今も続く影響を説き明かす内容は、
小火器ファン、マニアのあなたの期待に必ず沿う内
容となってます。

MP38とMP40サブマシンガンは、WW2で使われた小火
器の中で最も知名度が高い武器の代表といえます。

折りたたみ式ストックを備えた携帯性のよさから、
多くの落下傘兵や戦車兵に支給され、たちまちドイ
ツ軍歩兵分隊長と小隊長の定番武器となり、大戦中
には100万挺以上生産され、その後も派生型が広範
に世界各地の紛争で使われたのです。

『MP38&MP40サブマシンガン──ドイツが
生んだ傑作小火器』
アルハンドロ・デ・ケサダ著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
四六判180ページ(オールカラー)
定価1800円+税込
発行日 :2022.5
定価 ¥1800+税
https://amzn.to/3P2G1P1

ここで、本著の訳者で、メルマガ軍事情報・金曜日
連載「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」著者の加
藤喬さんのお言葉をご紹介しましょう。

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訳者あとがき

 初めてMP40サブマシンガンと出会ったのは1970
 年代。MGC製のモデルガンだったが、トイガン
とはいえ、流麗なフォルムに「気品ある凄み」を感
じた記憶がある。
  後年、商社の通訳として赴いたタンザニアで汽
車に乗っていると一団の民兵が乗り込んできた。先
頭の隊長が肩に提げていたのがMP40。部下らが持
つソ連製シモノフ自動小銃と比べ、いかにも垢ぬけ
て見えた。
  当時は第2次世界大戦のドイツ製サブマシンガ
ンとアフリカの民兵がどうしても結びつかなかった
のだが、このあたりの経緯も本書が簡潔に説明して
おり、読者も納得がいくにちがいない。
  MP38とその生産性向上型MP40は戦争映画・
ドラマの定番。日本でも知名度が高い武器だ。
しかし、「シュマイザー」という通称が誤りである
ことや、小銃より射程が短いこれらフルオートマチ
ック小火器の存在理由、実戦で明らかになった長所
と短所、アサルトライフルとの競合と敗北、そして
銃器デザインのみならず大衆文化に与えた影響など
はあまり知られていない。
  本書は検証された記述とエピソード、大戦当時
の写真などを組み合わせて、このようなトピックを
分かりやすく解説している。
  その意味で、本書は単なる武器の解説書や史実
をたどっただけの〝戦史もの〟とは一線を画してい
る。
  著者のアルハンドロ・デ・ケサダ氏は、欧米の
銃器ライターとしては珍しく、トイガンにも詳しく、
愛情のこもった視線を向けている。MGCや中田
商店、ハドソンといった日本のモデルガンメカーに
も言及し、MP40を含む往年のヒット商品も詳し
く紹介している。日本のトイガン愛好家には意外か
つ嬉しい発見だろうと思う。
  著者は銃関連の著述や戦史研究のほか、特注ラ
イフルなどを製造する銃器会社をフロリダ州で経営
している。したがって、複雑なアメリカの連邦およ
び州の銃砲取締の法律にも精通しており、MP38、
MP40のようにフルオートマチック射撃が可能な武
器を輸入・販売する際のノウハウ、そして、一般市
民が所有する場合の手続きについても正確に解説し
ている。
  本書はサブマシンガンの実銃に惹かれる日本の
マニアにとって、多くの情報と新しい知見を与えて
くれる格好の一冊となるであろう。
  本書の翻訳を通じ「気品ある凄み」を帯びたド
イツ軍サブマシンガンへの憧れが息を吹き返した。
読者各位の反応が待たれる。
  最後に、監訳者の床井雅美氏には原書に含まれ
ていない貴重な情報と多くの写真を提供していただ
いた。この場を借りてお礼を申し上げます。

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いかがでしょうか?

わたしも加藤さんのおっしゃる

<本書は単なる武器の解説書や史実をたどっただけ
の〝戦史もの〟とは一線を画している。>

とのお言葉に同意します。

類書とは違う豊かな読後感を与えてくれます。

では伝説のサブマシンガン紹介書の中身を見ていき
ましょう。

——————————

●目次

第1章 新たなタイプのサブマシンガン 14

MP38とMP40の起源/MP18.I/MP28.II/フォ
ルマーのサブマシンガン/エルマ・マシンーネンピ
ストーレ/MK36.IIIとMP36

第2章 MP38の開発とMP40への発展 30

MP38の誕生/MP38の新機軸/MP38の派生型/
重大な欠陥とその対策/MP40への改良/制式化さ
れた3種類のサブマシンガン/改良型MP40/MP
41

第3章 MP38とMP40の弾薬 54

9mm×19(パラベラム)弾/弾薬の種類

第4章MP38とMP40の付属品 61

マガジンのタイプと派生型/マガジンローダー/マ
ガジンポーチ/スリング/銃口カバー/空包射撃装
置/冬期用トリガー/減音装置(サウンド・サプレ
ッサー)

第5章 MP40の取り扱い方法 78

MP40の操作手順/装?/射撃/作動不良時の対応/
安全装置の操作/簡易分解手順/クリーニングの手

第6章 戦場のサブマシンガン 92

サブマシンガンの有用性/ドイツ軍歩兵の火力構成/
戦場で明らかになったサブマシンガンの長所/MP
38とMP40の戦歴/先進的なMP40のポテンシャル/
PPSh-41との性能比較/戦後の性能比較試験と結果/
MP40の生産性

第7章 MP40が与えたインパクト 134

多大な影響力をもったサブマシンガン/大戦中にも
たらした影響/戦後の各国のサブマシンガン/戦後
も使用されたMP40/ベトナム戦争のMP40/戦場
以外で使われたMP40/再生産されたMP38とMP
40

第8章 不朽の傑作サブマシンガン 160

ポップカルチャーでも人気のMP40/MP40の意義
と評価/〝サブマシンガン時代〟の終焉

[コラム]
   <MP38、MP40の製造会社と刻印>50
   <ドイツ人銃器設計者たちのその後>74
   <1941年クレタ島「マーキュリー作戦」>104
   <1944年8月「ワルシャワ蜂起」>118
   <1980年代「ユーゴ内戦」>140
   <MP40のモデルガンとレプリカ>164
   <無可動実銃>167

参考文献 173
監訳者のことば 175
訳者あとがき 177

—————————————

いかがでしょうか?

『MP38&MP40サブマシンガン──ドイツが
生んだ傑作小火器』

アルハンドロ・デ・ケサダ著/床井雅美監訳/
加藤 喬訳
四六判180ページ(オールカラー)
定価1800円+税
https://amzn.to/3P2G1P1

サブマシンガン(短機関銃/機関短銃/機関拳銃)と
は何か?という大きな問いに的確、適切、簡潔に答
えてくれるとともに、ドイツのみならず諸国の当時
のサブマシンガン開発史、戦術、そして忘れてはな
らない生産面への言及もあるところがうれしいです。

アサルトライフル全盛の時代になった90年代まで
使われていたMP38。40が醸し出す独特で独自の存在
感の淵源をつかみたい人にはたまらない内容です。

ちなみに帝国海軍は昭和3年(1928年)にMP38/40
の前身と言えるSIG社の「MP28II」を購入。「ベ式
機関短銃」の名称で海軍陸戦隊に配備しており、帝
国陸軍も同銃を研究開発用に調達していました。我
が国と無関係でなかったことも本著を通じて知るこ
とができました。

WW2当時、対ソ戦でドイツと協力した北欧のフィン
ランド軍やノルウェー軍はドイツから武器供給を受
けていました。とくにフィンランドに対してドイツ
はスオミM31サブマシンガンで使えるようMP38u40マ
ガジンを改修していました。

本著でこういう話を知ったりすると、北欧諸国がNAT
Oに参加する話が世界を激震させている現状を見て
も、必ずしも新たな何かが起きたとは感じませんね。

この本を読むと、こんなことがわかるようになります。

●独軍はMP38をいつ制式化したのか?
●独陸軍がMP38を機甲部隊と空挺部隊用に採用した
のはいつだったのか?
●MP38を世界で初めて採用したのはどこの国?(ド
イツではありません)

●MP38は◆▽を初めて採用したサブマシンガンでし
た。何かおわかりですか?
●MP38が抱えていた重大な欠陥とは?
●MP38とMP40の違いとは何か?

●プレジション・リエージュSA社、ビグネロンM1/M2
サブマシンガン、マガジンローダー、ベルギー。こ
のキーワードで見えるものはありますか?見えた方
も見えなかった方も、ぜひ本著で答えを探してみて
ください。
●「MP38/40はフルオートマティック射撃のみ可能」
YESかNOか?
あなたはどうですか? 答え合わせは本著でどうぞw

●市街戦ではボルトアクション式小銃よりもサブマ
シンガンのほうが優れている、との戦訓が得られた
戦争は●●●戦争(1932-35)でした。ご存じでし
たか?
●MP40が制式化されたのは19●●年でした。詳細
は本著100pでご確認ください。
●先日、紹介で案内した「ブランデンブルク」部隊
への言及もありました(p112)

●「WW2中に開発されたサブマシンガンに与えた影
響」「戦後、諸国のサブマシンガン開発、機構に与
えた影響」「MP38/40が使われた戦後の紛争」
著者はこの3つをMP40が残した影響として取り上げ
ています。実に妥当な分類という気がします。

ではここで著者、監訳者、訳者のご紹介です。

執筆者が優れているのはもちろんですが、その内容
を適切的確に日本語化した担当者がまた素晴らしい
です。黄金コンビです。

——————————–

◆著者

アルハンドロ・デ・ケサダ(Alejandro de Quesada)
アメリカ・フロリダ州を拠点に活躍する戦史研究家
で、軍用品、軍関連の写真および資料の収集家でも
ある。カスタム・ライフルなどを製造する銃器会社
の経営者でもあり、博物館や映画会社向けの歴史資
料提供や時代考証なども行なっている。各種の媒体
へ多数の寄稿のほか、オスプレイ社のシリーズをは
じめ、25冊以上の著作がある。中南米およびメキ
シコに関連する事項の第一人者でもある。

◆監訳者

床井雅美(とこい・まさみ)
東京生まれ。デュッセルドルフ(ドイツ)と東京に
事務所を持ち、軍用兵器の取材を長年つづける。と
くに小型火器の研究には定評があり、世界的権威と
して知られる。主な著書に『世界の小火器』(ゴマ
書房)、ピクトリアルIDシリーズ『最新ピストル
図鑑』『ベレッタ・ストーリー』『最新マシンガン
図鑑』(徳間文庫)、『メカブックス・現代ピスト
ル』『メカブックス・ピストル弾薬事典』『最新軍
用銃事典』(並木書房)など多数。

◆訳者

加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に
渡米。アラスカ州立大学フェアバンクス校ほかで学
ぶ。88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠
の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学
部准教授(2014年7月退官)。著訳書に『LT』(T
BSブリタニカ)、『名誉除隊』『アメリカンポリス
400の真実!』『ガントリビア99』『M16ライフル』
『MP5サブマシンガン』『ミニミ軽機関銃』(並木
書房)など多数。

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どうですか?

鹵獲した敵兵器を国産兵器の弾薬が使えるよう改
修する話も出てきます。

平時から武器輸出等でわが方と共通規格の弾薬を世
界諸国に供給していると、もしその国と戦争になっ
た場合、鹵獲した敵武器をわが弾薬で使えます。
こういう発想も大事でしたね。

小火器ファン、マニアの方は必読必携です。
心からおススメします。

きょうご紹介したのは、

『MP38&&MP40サブマシンガン──ドイツが
生んだ傑作小火器』
アルハンドロ・デ・ケサダ著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
四六判180ページ(オールカラー)
定価1800円+税込
発行日 :2022.5
定価 ¥1800+税

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でした。

エンリケ

追伸

この小火器最大の特徴の一つに「ポップカルチャ
ー」との接点が大きい、という点があります。

戦争映画の小道具の定番でもあり、こんな印象に残
る小火器はおそらく今後もう見られることはないで
しょう。21世紀も忘れ去られることのない傑作小
火器といって差し支えない名銃と思います。

今日ご紹介したのは

『MP38&MP40サブマシンガン──ドイツが
生んだ傑作小火器』
アルハンドロ・デ・ケサダ著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
四六判180ページ(オールカラー)
定価1800円+税込
発行日 :2022.5
定価 ¥1800+税

https://amzn.to/3P2G1P1

でした