米 優先順位は“北”よりアノ国? 日曜安全保障

日本を取り巻く安全保障問題を、わかりやすく深堀りしていく、「日曜安全保障」。  17日のテーマは、「米国がいま“北”より警戒する国」です。  生野陽子キャスター「2回目の米朝首脳会談が、2月27日に迫ってきました。トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長、どう対峙(たいじ)するのか注目されていますね」  能勢伸之解説委員「ところが、その北朝鮮はともかく、アメリカは当面の安全保障上の優先順位は、こっちじゃないかと思われる映像が入ってきたんです」  生野キャスター「ちょっと暗いですけど、ヘリコプターですか?」  能勢解説委員「そうですよね、そこで映像を明るくしてみると、なんとロサンゼルス市街地のど真ん中で、ヘリコプターがライトもつけずに飛行しているのがわかるわけですね。どうやらこのヘリ、アメリカ陸軍の特殊部隊が使用するMH-60M型とみられているんですが、ビルの陰から兵士らしき集団が乗り込んで、急上昇して飛び去るという訓練の映像が一般人によって撮影されていたんです」  生野キャスター「映画の撮影のようですけど、こうした訓練を街中で行うって、よくあるんですか?」  能勢解説委員「わたしもあまり見たことがないんで驚いたんですけども、あえて一般人に撮らせてSNSで拡散させるということだったのかもしれないですね。いずれにしても、この映像が撮られたあと、ベネズエラ軍はヘリコプターを撃墜するのに、ちょうど適したミサイルを使った訓練を実施していたんですね」  生野キャスター「アメリカが今、警戒しているのは、北朝鮮よりもベネズエラということになると思うんですが、ベネズエラといえば、南米大陸で最も北米寄りにあって、反米をかかげる独裁的なマドゥロ大統領のもと、混乱も続いてますよね」  能勢解説委員「そのベネズエラ、以前はアメリカから戦闘機などを導入していたんですね。米・英・仏・独の装備を備えていたんですが、1月に公開されたベネズエラ軍の演習では、兵士が飛び込む水面上に105mm砲を備えた中国製のVN-18水陸両用戦車。それに、30mm機関砲を備えたVN-16水陸両用歩兵戦闘車の姿があったんですね。ロシアや中国の影響が強くなっているのがわかるわけです。さらに、2018年の12月には、ロシアの戦略爆撃機・Tu-160ブラックジャックが、ベネズエラに展開していたんです。ブラックジャックは、射程4,000km以上といわれる巡航ミサイルを12発も搭載できるのが特徴なんですが、ベネズエラのシモン・ボリバル飛行場からワシントンDCまでは3,700kmとされていますので、これはアメリカにとって、大変な脅威となりうる。さらに、INF(中距離核戦力)条約が無効になって、万が一、ロシアがINF射程のミサイルをベネズエラに配備したら、ということになる」  生野キャスター「アメリカは、当面、ベネズエラから目が離せないということになりますね」  能勢解説委員「かつて、ケネディ政権の時に起きたキューバ危機。アメリカの裏庭であるキューバにソ連の核ミサイル配備計画ということが起きてですね。同じような状況が起きるのか、今、トランプ大統領にとっては気が気じゃないかもしれません」  生野キャスター「とはいえ、北朝鮮の拉致や核問題、軽視してほしくないですね」