【本の紹介】『バトル・オブ・ブリテン1940 ドイツ空軍の鷲攻撃と史上初の統合防空システム』 ダグラス・C・ディルディ 著 橋田和浩 監訳
『バトル・オブ・ブリテン1940
ドイツ空軍の鷲攻撃と史上初の統合防空システム』
ダグラス C ディルディ 著
橋田和浩 監訳
出版年月日:2021/03/25
判型・ページ数 :A5・180ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3mBCx9w
おはようございます、エンリケです。
1940年8月~9月、イギリス本土上空とドーバー海峡
で展開されたドイツとイギリスの戦い「バトル・オ
ブ・ブリテン」はWW2の結果に大きな影響を与えまし
た。
この有名な航空作戦は如何に計画され、実行された
のでしょうか?
そして、いったい何が勝敗を分けたのでしょうか?
この本は、ドイツの公文書館所蔵史料も使い、英独
双方の視点からドイツ空軍の「鷲攻撃作戦」を徹底
分析したものです。
著者、監訳者、訳者すべてが空軍軍人です。
■著者
ダグラス・C・ディルディ 米空軍退役空軍大佐
現役時代はF-15のパイロットのほか、NATO
の防空任務などの豊富な経験を有した指揮官
■監訳者
橋田和浩 航空自衛隊中部航空警戒管制団副司令
(前防衛大学校防衛学教育学群教授)
写真80点のほか、航空作戦ならではの三次元的経
過が一目で理解できる図を多数掲載している点も
忘れてはならないおススメポイントです。
オスプレイ社が刊行する人気シリーズ「Air Campaign」
第一巻の完訳で、空自の研究者の方が一部を解説し
ています。
BOB(バトル・オブ・ブリテン)はいかに計画され、
実行されたか?
が描かれており、注目すべきは英独双方の資料を基
にした客観性、戦闘機パイロットと指揮官経験を有
し、航空戦史を専門とする著者の分析を通じ、BOBの
包括的様相が記されています。
監訳者の橋田一佐のあとがきが実に素晴らしいです!
一部紹介しますと、、、
<・・戦闘を中心として、作戦の準備段階から実行
段階までを多角的な視点から捉えている本書は、空
軍種に所属する者だけでなく、リーダーシップやマ
ネジメントを総合的に学ぼうとする人たちにとって
も有益な参考書となり得るだろう。>
<戦いの様相を知ることができるだけでなく、部隊
運用のコンセプトや指揮官の判断の影響等も含めて
総合的に学ぶことができる内容>
<・・(BOBは)空軍種の軍人や隊員が学ぶべき戦
史の1つとして位置づけられる。(中略)統合防空
システム(以下「IADS」と略記)が初めて運用され
た戦いであり、数多くの学ぶべき教訓がある>
<BOBは守勢側のイギリスが勝利した戦いであるこ
とが特筆される>
<このIADSは如何にして生み出されて守勢側の不利
を克服したのだろうか。本書では、このIADSが構築
されるまでの変遷とドイツ空軍の鷲攻撃への対処に
際して如何に運用されたのかが述べられている。>
<IADSはCHレーダーという新兵器が開発されたから
だけではなく、この新兵器と既存の兵器を新たな作
戦構想で「組み合わせ」ることによって生み出され、
その目的に沿って運用されたからこそ不利を克服で
きたと言える。(中略)新兵器と既存兵器、従来の
作戦構想のもとでの試行錯誤を経て新しい構想で運
用するように進化してゆくという流れは、今も昔も
変わらない。>
<新たな課題を克服するためには新しい「組み合わ
せ」が鍵となる。>
<全体として新しいシステムであっても構成要素の
全てが新しいわけではない>
<領域横断作戦の先にある「全領域統合作戦(Jo
int All-Domain Operation:JADO)」に臨む際に
も、BOBは学ぶべき戦史であり続けることを意味し
ていると言える。>
<今の環境の先にある将来を切り拓くために求めら
れるのは、知識そのものの量ではなく、過去から学
び取って今後に活かせる思考力と行動力である。>
という感じです。
この本を読むと何が得られるか?
この本で何を身につけるか?
この本が我が国の何に活かせるのか?
といった疑問すべてに応えてくれていると感じませ
ん?
ではこの本の内容を見ていきましょう。
◆目次
序論
軍事行動の起源
年表
攻撃側の能力 ドイツ空軍
ドクトリン:戦略攻撃と戦術支援/航空機開発/能
力、役割及び任務/指揮官/1940年8月のドイツ空
軍戦力組成(AOB)
防御側の能力 戦闘機集団
ドクトリン:早期迎撃、激しい消耗/早期警戒レー
ダーシステム/イギリス空軍戦闘機:能力、役割、
任務/指揮官たち/イギリス戦闘機集団戦力組成
作戦目的
戦 役
レーダー(Chain Home)への第一撃:8月12日/鷲
の日:8月13日/「鷲攻撃」フェーズI:8月15-18
日/鷲攻撃フェーズII:8月24日-9月6日/鷲攻撃
フェーズIII:9月7日-30日/鷲攻撃の終わり
余波と分析
参考文献と読書ガイド
【解説】
第二次世界大戦をめぐるイギリスとドイツ(篠崎正郎)
チェーン・ホーム・レーダーの概要(福島大吾)
航空自衛隊戦闘機(F-4EJ)パイロットの経験から
(村上強一)
技術革新が1930年代後半以降の軍用機に与えた影
響(由良富士雄)
バトル・オブ・ブリテンにおける電子戦(天貝崇
樹)
———————————–
この種の研究書で忘れちゃならない重要なことは、
次のステップに間違いなく引き上げてくれる充実し
た「参考文献」と「ブックガイド」があるか否かで
す。
あるとないとでは、価値が随分変わってきます。
本著には、充実した「参考文献」と「ブックガイド」
が用意されています。つぎどこに行けばいいかの道
しるべがキチンと用意されてます。
楽しみながら次のステップに進めるワクワク感と喜
びをこの本を通じてぜひ味わってください!
今回ご紹介したのは、
『バトル・オブ・ブリテン1940
ドイツ空軍の鷲攻撃と史上初の統合防空システム』
ダグラス C ディルディ 著
橋田和浩 監訳
出版年月日 2021/03/25
判型・ページ数 A5・180ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3mBCx9w
でした。
エンリケ
追伸
よき戦史研究はよき民間活動に活かせます。
本著のような、本格的なのに専門外の人もワクワク
させてくれる中身を持つ戦史。
何度も何度も読みたいと思わせてくれる戦史。
これからもっともっと世に出てほしいです。
ほんとうに楽しかった(interesting!)です!
薄くなく厚くなく、いい感じの厚みの本です。
あなたとこの喜びを分かち合いたいですね!
ご紹介したのは、
『バトル・オブ・ブリテン1940
ドイツ空軍の鷲攻撃と史上初の統合防空システム』
ダグラス C ディルディ 著
橋田和浩 監訳
出版年月日 2021/03/25
判型・ページ数 A5・180ページ
発行:芙蓉書房出版
https://amzn.to/3mBCx9w
でした。