『米国とイランはなぜ戦うのか?─繰り返される40年の対立』 菅原 出(著)

こんにちは、エンリケです。

今年はじめのソレイマニ暗殺が、
米とイランの対立の原因と感じている人

さすがにそれはなくても、
昨年のサウジ石油タンク空爆あたりまでしか
把握できていない人は想像以上に多いものです。

両国の対立がそんな根の浅いものではないことを
知るだけでも、この本を読む価値があると思います。

『米国とイランはなぜ戦うのか?─繰り返される40年の対立』
菅原 出(著)
並木書房
四六判276ページ
定価1500円+税
https://amzn.to/2UJZE2S

米イラン関係がわかる基礎資料になる。
時系列で情報資料が整理評価されており、
米イラン関係卓上事典としても使える本です。

欧米的なものの見方に慣れ切ってしまっている日本
人ですが、わが国の立場に立ったものの見方を取り
戻すためにも
「イデオロギーに基盤を置かない多面的な視座から」
情報・知識を自分の中に取り込むクセをつけたほう
がいいと思います。

この本では、
現在の国内では、あまり見られない視座から
米イラン関係を描き出しています。

著者・菅原さんのご経歴は次のとおり

菅原 出(すがわら・いずる)
国際政治アナリスト・危機管理コンサルタント
1969年生まれ、東京都出身。中央大学法学部政治学
科卒業後、オランダ・アムステルダム大学に留学、
国際関係学修士課程卒。東京財団リサーチフェロー、
英危機管理会社役員などを経て現職。合同会社グロ
ーバルリスク・アドバイザリー代表、NPO法人「海外
安全・危機管理の会(OSCMA)」代表理事も務める。
著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺
師』(講談社)、『秘密戦争の司令官オバマ』(並
木書房)、『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』
(講談社現代新書)などがある。

令和二年2~3月には、
「短期連載 米国とイランはなぜ戦うのか?」を
連載されました。

本著から得られる最も大きな利点は、
米イランの対立関係の構図が把握できることです。

それにより、目先の状況変化に惑わされぬ目が養え
るんです。情勢のどの要素を重視すべきかの軽重些
末の眼力を養えるんです。

こういう本はありそうでなかなかありません。

目 次

プロローグ 1

第1章 米・イラン相互不信の歴史 13

イラン対米不信の根─CIAのクーデター事件/反
政府派の急先鋒ホメイニ師の台頭/イラン革命と
「米国大使館占拠人質事件」/イランによる「革命
の輸出」と対米テロ/イラン・イラク戦争が決定づ
けたイランの軍事戦略/負の経験を積み重ねた米・イ
ラン関係/ブッシュのイラク戦争で影響力強めたイ
ラン/スンニ派の国からシーア派の国へ/深刻化す
るイラン核開発問題

第2章 オバマ「核合意」の失敗 43

イランとの対話を進め、イスラエルに圧力/頓挫し
た「オバマ提案」/対イラン経済制裁を強化したオ
バマ政権/二〇一一年七月までにイスラエルがイラ
ンを空爆?/米・イスラエルが仕掛けた「サイバー
攻撃」/イラン核開発進展と欧米による制裁の強化/
ロウハニ新大統領の登場で再開された核交渉/相互
不信を乗り越えて辿り着いた核合意/動揺するサウ
ジと激化する中東パワーゲーム/シリア内戦を通じ
て勢力を拡大させるイラン/トランプ政権が目論む
イラン包囲網の構築

第3章 トランプ政権の対イラン戦略 80

トランプの『国家安全保障戦略』/優先課題は「現
状変更勢力」への対応/強硬姿勢一辺倒の対イラン
戦略/トランプの「最後通告」/トランプを支える
反イラン最強硬派/トランプ大統領の核合意破棄宣
言/イランを徹底的に締め上げる/国家主権を無視
した「一二カ条要求」/高まるイランとイスラエル
の軍事衝突リスク/ポンペオ国務長官が発表した
「トランプ・ドクトリン」

第4章 限界近づくイランの「戦略的忍耐」116

ロウハニ政権は米国抜きの核合意維持を目指した/
不満を募らせるイランの指導部/核合意維持で結束
固めるEUとイラン/トランプ政権支えるネオコン・
ネットワーク /動き出したイラン「革命防衛隊」/
イランの対外戦略と軍事能力/「外国勢力によるテ
ロ」に激怒するイラン/伝統的なイランの「前線防
衛」構想

第5章 イランを締め上げるトランプ 151

米軍「シリア撤退」を表明したトランプ大統領/ト
ランプ大統領の突然の決断の背景/「条件付き撤退」
へ方向転換/「中東戦略同盟」構築に奔走するポン
ペオ国務長官/ペンス副大統領の反イラン演説/深
まる大西洋同盟の亀裂/イランを締めつける米主導
の経済制裁/隣国との関係強化で生き残りを図るイ
ラン/イラン革命防衛隊を「テロ組織」に指定

第6章 イランの「最大限の抵抗」戦略 191

「戦略的忍耐」政策をやめたイラン/二〇一九年五
月のペルシャ湾危機/安倍首相の訪問後、再び高ま
った米・イラン間の緊張/イランの「最大限の抵抗」
に苦しめられるトランプ/核合意の枠内で「抵抗」
を続けるイラン/タンカー護衛有志連合の発足/オ
バマ政権時代の国防長官が語るイランの脅威/戦争
に巻き込まれたくない─中東諸国の新たな動き/エ
スカレートする革命防衛隊の挑発/より大胆な行動
をとるイラン強硬派/ペンタゴン元イラン分析官の
戦争シナリオ/軍事衝突は瞬く間に地域紛争に拡大/
少しずつ増える有志連合の参加国/激化する米・イ
ラン「代理勢力」間の衝突/再び高まる米・イラン
間の緊張

第7章 軍事衝突に向かう米国とイラン 233

フランスが仕掛けた米・イラン首脳会談/制裁を強
化し続けたトランプ政権/サウジの石油施設を無人
機攻撃/幻の米・イラン首脳電話会談/軟化姿勢を
見せ始めたムハンマド皇太子/デモ・暴動拡大で対
外強硬姿勢強めたイラン/イラン「核合意履行停止」
第四弾を発表/バグダッドの米国大使館襲撃事件/
革命防衛隊ソレイマニ司令官の殺害/報復攻撃に踏
み切ったイラン

エピローグ 267

抑制されたイラン・ミサイル攻撃/「全面戦争」は
回避されたが緊張は続く/最終フェーズに突入する
米・イラン危機

主要参考文献 274

いかがでしょうか?

連載記事でもご案内は続けてましたが、
あらためてご紹介しました。

中東情勢をきちんと理解しておくことが、
一般人にも不可欠となる時代は、
まもなく訪れる気がしてなりません。

『米国とイランはなぜ戦うのか?─繰り返される40年の対立』
菅原 出(著)
並木書房
四六判276ページ
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エンリケ

追伸
イランが米といかに対立しようとしているか?
の解説からは、未来の紛争が向かうベクトルも見えてきます。
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