幕改編を提案する

■生きた経験が不十分な政治家
石破大臣の会見でシビリアンコントロールの話が出ていましたが、最大の問題点
は日本の政治家に軍事に関する生きた知識経験が不十分なことです。
防衛官僚の側用人的な弊害は今回の事件で認識が深まりましたが、政治家も防衛
官僚も視察や国会議論だけで軍事や安全保障問題が分かった気分になっていると
いう意味では大同小異です。外国の政治家達の多くに軍務の経験があるのと大き
な差です。
役人ではなく、若い政治家の皆さんに直接に各自衛隊の現場を担当して頂くこと
が、将来のために非常に大切ではないかと感じます。
■新統幕の誕生に伴う各幕の変質
一方、新統幕が実行動の計画、実行を一元的に担当するようになった結果、陸海
空の幕僚監部(各幕)は『「いざ鎌倉」のときに必要な兵力を差し出すべく部隊
の能力と態勢を維持管理する「各自衛隊の管理官庁」』に変質しました。
各幕を廃止して内局と合体させる案も大臣から出されているようですが、それで
は各軍種の特質が失われて「角を矯めて牛を殺す」ことになる懸念があります。
この際思い切って、次のように各幕を改編したらどうでしょうか。
■幕改編を提案する
「陸上(海上、航空)長官部」(仮称)を新設し、各自衛隊担当の政務官を増員
して「陸上(海上、航空)長官」(仮称)を兼任させるのです。各幕僚長はトッ
プではなく副長官的な立場になります。
しかし、責任ある政治家が直接に組織のトップになり、且つ官僚が介在しない体
制ならば、シビリアンコントロールの実も上がり、幕僚長以下も今以上に建設的
な仕事に邁進できるのではないか、と感じます。
以上、ヨーソロの管見でした。
(ヨーソロ)
【080408配信 メールマガジン「軍事情報」より】