日露戦争を世界はどう報じたか 平間 洋一、コンスタンチン・サルキソフ、熊 達雲、飯倉 章、坪内隆彦 芙蓉書房出版
こんにちは、エンリケです。
「情報は武器になる」
そう聞いて、少し大げさだと思いますか?
しかし今、私たちは毎日その戦場の真ん中にいます。
SNSのタイムライン。
おすすめ動画。
ニュース。
AIが選ぶ情報。
そして「みんなが言っている」という空気。
誰かが発信し、誰かが編集し、誰かが拡散し、気づかぬうちに私たちの認識は形づくられていきます。
厄介なのは、情報戦は「嘘を信じさせる」ことにあることだけではありません。
「何を見せないか」
「何を強調するか」
「何を常識だと思わせるか」
それだけで人間の判断は驚くほど変わるわけです。
それを100年以上前に世界規模で実験した巨大事例がありました。
それが日露戦争です。
本書『日露戦争を世界はどう報じたか』は、単なる戦史ではありません。
世界各国の新聞、論調、世論、そして教科書まで横並びで比較し、
「同じ戦争なのに、国が違うとここまで見え方が変わるのか」
を徹底的に見せてくれる一冊です。
読み始めると、不思議な感覚になります。
学校で習った歴史。
テレビで見た歴史。
ネットで知った歴史。
それらが「一つの見方に過ぎなかった」ことに気付かされるからです。
そして恐ろしいのは、これは日露戦争だけの話ではないということ。
ウクライナ。
中東。
台湾。
米中対立。
現代の国際情勢でもまったく同じことが起きています。
各国は何を報じ、何を隠し、何を国民に見せているのか。
100年前と道具が変わっただけで、本質は驚くほど変わっていません。
■特に印象的だったポイント
●旅順攻防戦は日本では「無謀な作戦」として語られることがあります。
ところが世界の評価は必ずしも同じではありません。
「なぜ海外では評価が違ったのか?」
ここだけでも読む価値があります。
●日露戦争で日本が勝利した理由。
多くの人は軍事力や精神力を想像するかもしれません。
しかし当時の海外メディアが挙げた理由は、意外なものでした。
これを知ると、国家の強さとは何かを見る視点が変わります。
●英国、米国、フランス、ドイツ、中国、ロシア、イスラム圏…。
同じ出来事を全員が別々に見ていました。
今のSNS空間も同じです。
見ている世界が違えば、同じニュースでも別の現実になる。
そんな恐ろしさを体感できます。
●そして本書最大の価値は「教科書比較」です。
海外は何を歴史として教えているのか。
国家は何を子供に伝えようとしているのか。
歴史教育とは単なる知識ではなく、国家の自己紹介なのだと実感します。
この本は、歴史好きだけの本ではありません。
むしろおすすめしたいのは、
・ニュースを見ると不安になる人
・SNSの情報に振り回される人
・国際情勢を深く理解したい人
・インテリジェンスや情報戦に興味がある人
・「なぜ人は同じものを見ても違う結論になるのか」を知りたい人
です。
読み終えた後、きっとニュースの見方が変わります。
「誰が言っているか」ではなく、
「誰が、誰に、何を見せたいのか」
そう考える癖がつくからです。
情報が溢れる時代だからこそ必要なのは、情報量ではなく「情報を見る視点」。
その視点を鍛えるには、かなり濃い一冊です。
(エンリケ)
追伸:
戦争の本に見えて、実は「情報との付き合い方」を教えてくれる本でした。
100年前の新聞を読むことが、2026年のSNSを理解する近道になる。
歴史とは、案外そういうものかもしれません。
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