期待した通りです:「教室の感動を実況中継! 先生、日本ってすごいね」 服部剛 (著)

2019年2月6日


著者はこういっています。
<私はいまだに戦後特有の敗戦国史観の枠組みの中で道徳教材が作られていることに違和感を持ち続けてきました。我が国には千年以上の歴史に育まれてきた徳目や価値観があるのに、戦後数十年の思考に縛られています。そこで、私は「気概ある日本人」を育てる道徳授業を追求してきました。
気概ある日本人とは何でしょうか。それは歴史と先人から学び、正義と勇気を重んじる日本人です。謙虚で己の本分を全うする日本人。
そして祖国日本に誇りを持ち、よりよい国づくりに参画しようとする国際派日本人です。>
どう感じましたか?
この本は、
公立中学校の先生が,後世に伝えるべき偉大な日本人(一部外国人)のエピソードを道徳の授業で教えた手順等を学習ノート風に記載したものです。
各章には、授業を受けた中学生の感想が添えられています。
道徳授業を行う教師のための、授業設計の手引き書であり教本の提案ですが、単なる教科書にはとどまらない、現場の創意工夫と臨場感にあふれる内容です。
大人が読んでも心が震えます。
戦後日本は、「人権主義」と「命は至高の価値」という名の下で、私利私欲にまみれた我利我利亡者・エゴイストを肥え太らせることに汲々としてきました。
その結果、
「今の日本人は自国に誇りが持てない」
といいながら、
「昔悪いことをした日本」
と叫ぶアンビバレンツな日本人が生まれました。
これは、その後続く自縄自縛⇒自暴自棄となる日本を内側から崩壊させることが目的の情報戦に飲み込まれている証左です。
その渦の中、日本人は、自らへの自信を失う一方です。
朝野あげて我が国は、この危機的な現実に効果的に対処できていません。
私は今回本書を読んで、大人こそ学ぶべき内容だと思いました。
服部先生が実践されているような道徳教育の、地道な努力の積み重ねが日本を芯から再生復興させる唯一の策です。そう確信します。
ですから本著は、子供ではなく大人が読まなきゃいけない内容です。
著者はこう述べています。
<教材は作り話ではなく、実話でなければいけません。副読本などに見られる創作話では、中学生ともなると「でも現実はさぁ・・・」などと白けてしまいます。その点わが国には偉大な先人や事例が数多く存在し、その事実をありのままに伝えるだけで大きな感動に打たれます>
<文部科学省が進める「道徳の教科化」では、新しい試みとして体験学習の要素を取り入れるとか討論(ディベート)中心の授業にするなど、方法論が話題になっています。しかしながら、本当に大切なのは「教える内容」ではないでしょうか。>
本著の目次は次のとおりです。
目次
まえがき
1 「戦場の知事 島田叡~沖縄の島守」役割と責任 
2 「大和心とポーランド魂」恩を忘れない 
3 「エルトゥールル号事件」感謝の心 
4 「ペリリュー島の戦い」崇高な精神 
5 「焼き場の少年・一片のパン」人間の気高さ 
6 「海の武士道~敵兵を救助せよ」生命の尊重 
7 「日本マラソンの父 金栗四三」努力を続ける 
8 「佐久間艇長の遺書」役割と責任 
9 「柴五郎中佐」勇気ある行動 
10 「上杉鷹山 為せば成る」誠実・責任 
11 「ユダヤ人を救え 樋口少将と犬塚大佐」差別偏見の克服 
12 「特攻隊の遺書」先人への尊敬と感謝 
13 「昭和天皇とマッカーサー」強い意志 
14 「空の武士道」利他の精神・人間の気高さ 
15 「日本ミツバチの団結力と日本人の美徳」集団生活の向上 
16 「板東捕虜収容所 松江豊寿(とよひさ)中佐とドイツ人捕虜」寛容の心 
17 「台湾人に愛された八田與一」公正公平 
18 「絆の物語~アーレイ・バーク」日本人の伝統精神と集団生活 
19 三年間、服部道徳を受けて生徒の感想
あとがき
本著最大の価値は、
「知らなかったわが史実を知る」点にはありません。
わが国が伝承してこなかった
「日本人としての確固たる誇りを築くために必要な史実」を
「そのことを知らない人」に
「いかに伝えるか?」を教えてくれる
「教育のプロの手になるテンプレート」という点にあります。
中学校の教師である著者は、
「伝えられていない史実を子供たちに伝えるにはどうすればよいか?」
という課題に実際に取り組み、他の教師が使えるように講義の内容をテンプレート化しました。
ここで見落としてはいけないのが、このテンプレートは、何も教師だけが使えるのではなく、わが史実を伝えたい人すべてが使える問という点です。
幼稚園や保育園から大学までの、すべての教員の教本として
企業や軍隊、公務員組織で人材を育成する担当をしている人の教本として
各種グループや各級リーダーの自己啓発用教材として
歴史好きな人のためのよみものとして
・・・
この本が提供する内容の応用範囲は無限に近いです。
この意味、極めて大きいのでは?
取り上げられている内容そのものは、
あなたなら「知ってるよ」レベルの話かもしれません。
でも、知らない人に伝えたいことをきちんと伝えられますか?
そのスキルをお持ちですか?
もし足りないという自覚があるのなら、
プロの教育者である著者がその成果を惜しみなく公開しているこの本で、価値あるスキルを吸収してください。
ひとことでいえば、期待を裏切らない本当に読み甲斐のある本でした。
日本人なら一度は読むべき傑作です。
心からおススメします。
教室の感動を実況中継! 先生、日本ってすごいね
服部剛 (著)
単行本: 296ページ
出版社: 高木書房
発行日:2015/9/28
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エンリケ
追伸1
著者の服部先生は、古くからの弊メルマガの読者です。
そのため発売当初すぐに申し込んだのですが、当時はあまりの売れ行きに品切れが続出。私は1ヶ月待ちで手に入れました。いまでもよく売れています。
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追伸2
マスメディアのなかにもし祖国を思う人間が一人でもいるのなら、この教本を通じて脚本を作り、番組を制作してはいかがでしょうか?
この本があれば、
テレビでもラジオでもネットでも何でも対応できます。
やる勇気を持つメディア人は今の我が国にはいないと思いますが、どこかにいるとしたら、ぜひ検討してほしいですね。
スポンサー企業は間違いなくいますよ。
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