高田純 :「誇りある日本文明 中韓が絶対に超えられない、先進と継続の理由!」
こんにちは、エンリケです。
高田純先生といえば「核、放射能」。
科学的知見に基づく真摯で正鵠を射た誠実な意見を、
専門学者として一般向けに発表されてきました。
わが国では例外的といえる
勇気と気骨ある学者さんといえましょう。
私自身、先生のご発言やご著書を通じ、核や放射能について
多大な学びを受けています。
さて本著は、そんな高田先生が世に問われた、
国史・わが文明史の教養書です。
最大のよみどころは
北海道における日本史、日本文明史の記述
でしょう。
こういう視座を教養書で提供した作品はまず見当たりません。
この箇所を拾い読みするだけでもこの本を買う価値があります。
超おススメです。
なんでもそうですが、
著者の専門ではない分野の著作は面白いものです。
本著も例外ではありません。
高田先生最大の特徴
「現場主義」
を通じ、わが国史、わが文明史を科学的に捉えた
斬新な視座を提供してくれます。
自然科学者らしく
発想⇒仮説⇒調査・実証⇒結論
というサイクルで記述は進みます。
とくに面白いのは
・北海道、北東北地方の知られざる国史、わが文明史ばなし、
・海運ばなし
について、知られざる視座や発想、実証結果を
惜しみなく提供しているところです。
蒙古襲来(元寇)の戦いの様子を一次襲来、二次襲来に分けて
詳細に記述している点も見落とせません!
北海道を外から見ている日本人にとって
北海道の歴史=アイヌ
という単純イメージがありますが、
実は古来から本土と密接なかかわりを持っており、
オホーツク人など海外からの侵略を受けわが方が
追い出して・・という歴史を持つ地域だったそうです。
北海道の歴史については、
こういった細部の事実を積み上げることが必要と
感じました。
知るところ少ない北海道の大名「松前藩」の由来も、
非常に興味深いです。
北といえば忘れてはならない
「義経伝説」
の考察もあります。
青森には縄文時代の遺跡「三内丸山」がありますが、
海運とのかかわりを6000年前の地球温暖化と絡めて行った
考察も面白かったです。
ではさっそくこのわが文明教養書の中身を見ていきましょう。
■目次
詩 和の国日本(高田純)
序 大森貝塚のとなりで生まれた物理学者が見た世界
第一章 世界一に輝く日本文明
科学
健康
美しい列島に和の心
第二章 日本がトップランナーになる理由
世界一清潔好きな民族が生み出す発明
海洋に日本列島が誕生し国が造られた 神話と科学
緑の列島に定住する海洋民族
海洋国家日本の動力学
伝承する世界最古の国家
輝く世界最古の縄文文明
和のこころが豊かな文明を生む
日本語の豊かさが賢い思考を生む
人口推移から見る日本文明の進化
第三章 国民が知らなかった文明の過去
北海道に見る文明の曙・最古の墓
3万年前 世界最大級の旧石器製作地・白滝村
5千年前 縄文時代 白滝村から三内丸山へ輸送された黒曜石
黒曜石輸送の海路に見る縄文期の物流
日本列島における旧石器以来の海運力
9千年前 世界最古の繊維に始まる日本の漆工芸
7世紀 斉明天皇は阿部臣の海軍力でオホーツク異民を撃退
征夷大将軍坂上田村万呂の東北平定と馬
12世紀 敗北した義経の行方
15世紀 蝦夷ケ島と12館
文永の役 日本モンゴル第一合戦
弘安の役 日本モンゴル第二合戦
17世紀から19世紀 鎖国という名の国防
19世紀 幕府の対ロシア防衛と間宮林蔵の樺太・東韃靼調査の偉業
アイヌとは何か 縄文期から続く同じ日本人である
19世紀後半 明治維新以後の急速な産業革命
20世紀前半 日露戦争から始まる世界大戦の影
1945年8月 アメリカの核攻撃と昭和天皇の平和思想
第四章 現代日本の独創
和食の世界
和の技術
和の暮らし
戦後と和解
最終章 21世紀の文明と大和こころ
人口爆発と現象の狭間
エネルギー問題と紛争
教育の再生と大和ごころ
あとがき
書いたのはこの人です。
■著者
高田純(たかだ・じゅん)
理学博士(広島大学)。昭和29年、東京都生まれ。現職は
札幌医科大学教授。専門は医学物理、核放射線防護。
中国・北朝鮮の核武装問題、核テロ対策に、自衛隊衛生隊、
国民保護室と連携し、取り組んでいる。
現場主義で、シベリア、シルクロード、カザフスタン、
マーシャル諸島、福島を含む世界の核放射線災害地を調査
してきた。休日は、遺跡や博物館、地域の郷土資料館、
山や湖、温泉をめぐる。日本シルクロード科学倶楽部会長、
放射線防護情報センター代表、放射線防護医療研究会代表
世話人、放射線の正しい知識を普及する会理事など。
未踏科学技術協会高木賞、アパグループ真の近現代史観
懸賞論文藤誠志賞など受賞
主著
『世界の放射線被爆地調査』『核爆発災害』『核と刀』
『医療人のための放射線防護学』『中国の核実験』
『福島 嘘と真実』『人は放射線なしに生きられない』など多数。
全体の記述はいかにも理系の著者らしい簡潔なメモ書きを集めた感。
読む人によっては「そっけない」との印象を受けるでしょう。
その分記述に無駄はなく、学術書とものがたりのちょうど中間に位置する
国史・わが文明史の教養書といえる内容です。
ものがたりではなく、発想や仮説を現場でさまざま確認する
スタイルなので、ストーリー性はありません。
パラグラフが簡潔なので、どこから読んでも楽しめます。
坂上田村麻呂の事績を知りたい人は101ページから、「蒙古襲来(元寇)」
に対処した御家人の姿や戦いっぷりを知りたい方なら、まずP116から。
間宮林蔵の生涯や事績をまず読みたい方は、P137から。アイヌのこと
から読みたいなら159ページから、ウォシュレット開発秘話を知りた
い方は22ページからそれぞれどうぞ。
高田純
誇りある日本文明 中韓が絶対に超えられない、先進と継続の理由!
http://okigunnji.com/url/257/
エンリケ
追伸
縄文時代(約1万5,000年前(紀元前131世紀頃)~約2,300年
前(紀元前4世紀頃))、弥生時代(紀元前10世紀頃~紀元後3世紀
中頃)は江戸時代、明治時代と同じわが国史の一部なんですね。
本著によると、北海道は縄文時代が長く続いた地域のようです。
本著を読みつつ思いました。
わが縄文時代を代表する青森の三内丸山遺跡に見られる高度な
技術等を見ると、エジプト(紀元前3000年頃)、メソポタミア
(紀元前3500年ごろ)、インダス(紀元前2600年から
紀元前1800年)、黄河(紀元前7000年?~)の四大文明と比べても
わが文明は、同レベル、いやそれ以上であった気がします。
本著でも一部触れられている
「誰も知らぬが、日本発祥で世界に広まったもの」は想像以上に
多いのかもしれませんね。
いろいろ楽しい想像もできるこの本。おススメです。
http://okigunnji.com/url/257/