軍事情報記事(080421) 自衛隊:領空侵犯対処行動は極めて特殊な例外

自衛隊が「自衛隊法という国内法の枠内でのみ」行動が許された「おかしな
軍隊」であるよう強いられている事実は、すでに皆さんご承知おきのことです。
このことが自衛隊の行動から軍事合理性を奪い、時節に合わない出動を強いら
れ、自衛隊が最善を尽くしても「当てにならない」という悪印象を国民に与え
るハメになっていることも、十分にご理解頂いているはずです。(ですよね?)
この話を出すと常に引き合いに出されることは「領空侵犯への空自の対処」です。
以下に説明しますね。(ヨイショっと)
「領空侵犯対処行動」は例外的に、部隊最高位指揮官である航空総隊司令官、
および各航空方面隊司令官に権限が委任されているものです。
そのため軍事合理性に基く用兵が可能です。
おそらくBMD統合任務部隊に対しても同様の委任が行われるでしょう。
理由は、「対処に当たって時間的に余裕がない問題」だからです。
そのため、「例外的に」認められているというだけの話に過ぎません。
「特殊を見て全体を判断してはならない」(城野宏)という言葉にもあるとおり、
領空侵犯対処作戦への権限委任が「極めて特殊な例」であるにもかかわらず、
これが全自衛隊で普通に行なわれていると考える傾向はいささか困ったこと
といえます。
なぜ、北鮮工作船対処に海保が出ざるを得なかったのでしょうか?
(そういえばこの件では、海保の人から「何で俺達が出るんだ?殺す気か!」
という、竜ちゃんも真っ青の本音吐露メールをいただいたことがありましたね)
これは、「海上警備行動」(海上警備作戦)に関する委任が海自に出され
ていなかったためです。同様のことは陸自にも当てはまることでしょう。
思うのですが、
なんでもかんでも法律の枠内で解決できると信仰するのは結構です。
わが国には「信教の自由」(?)がありますから。
でも、その付けを結局、
自衛隊中枢・部隊(海保の現場や警察の現場もそうかな?)、ひいては国民に
回す悪い癖だけは、今すぐにでも直していただきたい。