玉となりつつ砕けよや

2019年2月6日

Buenos dias. 米田です!
来る7月18日より衛星放送のWOWOWで米国HBO制作の『The Pacific』が放映され
ます。現在、沖縄にある基地の移転問題で何かと話題の多い米国海兵隊の第二次
大戦での戦いを扱った作品であり、海兵隊史に残る激闘で有名なペリリュー島で
の戦いを描いたものです。

対抗する日本軍は、帝国陸軍第14師団(「カチンの森」よりも、その殺し方から
何から何までが残虐な虐殺事件である”尼港事件”(*)では、この師団の歩兵
第二連隊第三大隊が多数の民間人と共に全滅しています。)でした。敵の上陸部
隊を水際で撃滅するというのではなく、地の利を活かして強固な陣地を構築し、
艦砲射撃、空爆に耐え、一旦、上陸させた海兵隊に血戦を続け、「かなりの打
撃」を与えました。が、ついに「サクラサクラ」の電文を日本に送り玉砕しまし
た。(*)http://okigunnji.com/chie/n/nikoujiken.htm
このペリリュー島の戦いが後の硫黄島の戦いに継続発展されたと言われていま
す。詳しくは、かの月刊『丸』(*1)で有名な光人社NF文庫(*2)で『ペリリュ
ー島戦記-珊瑚礁の小島で海兵隊員が見た真実の恐怖』や『ペリリュー島玉砕
戦-南海の小島七十日の血戦』が書店で並んでいますので是非お読みください。
(合わせて、兵頭二十八著の『地獄のX島で米軍と戦い、あくまで持久する方
法』も併読すると、よりよい戦略、兵法の学習となりましょう!)
(*1)http://www.kojinsha.co.jp/maru/index.html
(*2)http://www.kojinsha.co.jp/nf006.html
また、5月8日(月)には21時から地上波で『300』(スリーハンドレッド)と
いう欧米の戦史では珍しいとされる玉砕戦の一つ、ペルシア戦争でのスパルタ王
レオニダス一世指揮下の300名のスパルタ軍兵士が百万のペルシア軍を迎撃し
た「テルモピュライの戦い」における死闘と玉砕を扱った映画が放映されます。
スパルタと言えば・・・その「市民(所謂、キウイトゥス civitus)」(奴隷
とは異なる概念。サムライと町人を比較するととても興味深いものがあります)
の条件を満たすように実践されていた教育システムが有名です。
「獅子は、わが子を千仭の谷底へと突き落とし、這い上がって来た子だけを育て
る」という逸話(『連獅子』(*)という歌舞伎もあります)が日本では知られ
ていますが、何となく内容が似ていますね。
(*)http://www.eonet.ne.jp/~jawa/kabuki/enmoku/renjisi.html
かの楠木正成が「湊川の合戦」(これも玉砕戦でした)に向かう際、息子の正行
と桜井の駅(阪急京都線「水無瀬駅」かJR東海道線「島本駅」下車、徒歩数分)
で別れる際にこの”一騎当千のつはもの”たる「戦士は如何に鍛えられて強く成
るのか」・・・を教え諭す場面は有名です。
この「テルモピュライの戦い」(ついでに呉茂一訳のシモーニデースの墓碑銘が
有名です。岩波文庫『花冠-ギリシア・ラテン訳詩集』をご覧ください)では戦
いの後、レオニダス王の死体から心臓をえぐり出すと毛が生えていた(*)と
言われています。(*)http://gattovolante.jugem.jp/?eid=307
トム・クルーズ主演の『ラストサムライ』では、渡辺謙と共に戦闘プロフェッシ
ョナルの武士団がヘタレでアマチュアの”町人”編成の新生”日本政府軍”に最
後の突撃を敢行する直前、主人公が”テルモピュライの戦い”のことを解説し、
「今から目にもの見せてやる」というサムライの心意気を表現していました。
映画では武士団が近代兵器の前に「軍事革命」(*)ではありませんが、相手に
ならず玉砕してしまいました。
(*)http://espania.okigunnji.com/2008/08/mrrma.html
玉砕を観察するならば・・・降伏しない、最後まで戦い抜く、そして、その条件
とは自らの討ち死に、同時に敵を道連れにすること(あるいは物的精神的にわた
り過大なるダメージやトラウマを強制し植付けすること)で、決してタダでは
死なない死に方です。
「日本の軍事史」では歴史上、いろいろな戦いにおいて見られますし、第二次大
戦では、日本軍は、大きな玉砕戦だけでも15事例は見つけることが可能です。
ここが「欧米の軍事史」とは根本的に異なっている点なのです。
スペイン&ラテンアメリカ関係では、「ヌマンシアの戦い」(ケルトイベリア人
の対ローマ戦)と「アラモの戦い」(アメリカ人の対メキシコ戦)が知られてい
ます。が、その他では、「マサダの戦い」(ユダヤ人の対ローマ戦)などが有名
なぐらいです。このどれもが時代の流れこそあれども、戦争をする際、その玉砕
戦を戦った集団の末裔を自認する当該国国民の戦闘意欲や兵士たちの士気を高揚
する揺るぎなきイメージになっている点を日本人は認識しなければなりません。
ひとつの国家にあるかないか・・・やったかやらなかったかを論ずることが多い
「玉砕戦」というものを日本人は、一体、何回やって「世界に目にもの見せた」
という事実を残しているのか?それは、戦後の日本人が知らない客観的な「日本
史」なのです。
これを読んでいるあなた!己を知ること(兵法的に言うと自分の虚と実を理解し
て応用すること)は、大切です。日本の歴史を共有している・・・これが日本人
です。日本人のもっている歴史から学ぶべきところは、「内憂外患」丸出しの
“今”、とても多くあります。
実際に日本人であることを学び始めたら・・・実生活でも・・・世の中で活きる
というゲームに使える”カード”が分かります。「もしも、持っていなかった
ら・・・」、それは、あなたが持っていないと思っているだけです。
あなたが気のつかないところに、カードは何枚もあります。
見つけ方をご存知ないだけです。
切り札も含めてカードを持ってみること、その使い方を学ぶこと、あるいは
カードを発見すること・・・そしてゲームに参加して勝つこと・・・そうして
いると自分も含めて日本の外交や社会も、そして政治もわかってきます。
そのためには、孫子塾通信講座(*)をクリックして学んでください!
玉砕戦をするかしないか、その時その場で「的に当たる」ことが自分で分かるよ
うになってきます!萎えて暗くなった心や消沈している意欲もワクワクとして
「勇んで来る」ようになりますよ! (*)http://sonshi.jp/sub10.html