【本の紹介】『AK-47ライフル─最強のアサルト・ライフル』G・ロットマン著 床井雅美監訳 加藤 喬訳

こんにちは、エンリケです。

世界で最も普及している銃。

それがAKライフルです。

ソ連時代のロシアで開発され、最悪の環境で十分な
性能を発揮する理想的な小火器として世界中で使わ
れています。

世界の戦場で実証されているこの銃の実力を徹底詳
解したのがこの本です。

『AK-47ライフル─最強のアサルト・ライフル』
G・ロットマン著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
四六判204ページ(オールカラー)
定価1800円+税込
発行日 :2018.2
定価 ¥1800+税
https://amzn.to/33EeXCr

おなじみのシリーズのひとつで、個人的には
『M-16ライフル』とあわせて読むと面白かった
です。

ミハエル・カラシニコフが作ったAK-47アサルト・ラ
イフルは近代史上もっとも画期的な武器のひとつと
いって差し支えありません。

第二次大戦時の東部戦線でソ連赤軍が苦戦を強いら
れた体験をふまえ、極めて高い信頼性と強大な火力
をもつ全将兵向けフルオート火器として設計されま
した。

取り扱いが容易で故障知らず。
そういうイメージが非常に強いAK-47ライフルは使
い手を選びません。女性でも取り扱いが簡単だそう
です。
世界中の軍隊や反乱軍、ドラッグディーラー、少年
兵、自由の戦士、テロリストらが高い殺傷力を誇る
AK-47とその派生型を使っています。

著者のロッドマンは、AKライフルを撃つだけでな
くAKに撃たれる戦闘も体験しているそうです。
カラシニコフのライバルだったM16ライフルとの比
較を交えながら、全世界の戦場でAKライフルが見せ
た有効性、第2次世界大戦後からの開発史、最新の派
生型を徹底検証しています。

監訳者の床井雅美さんは、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アメリカ側から見たAK-47ライフルの評価が明確に
書かれてあり、その評価は、私が想像した以上に高
いことに驚いた。何よりM16ライフルを整備してい
た当事者が、M16ライフルはAK-47ライフルにまさる
点がほとんどなかったと正直に書いていることは強
く印象に残った。たとえ手入れが悪く錆だらけにな
っていても射撃でき、ハンマー代わりにテントの杭
を地面に打ち込んでも壊れない頑丈なAK-47は優れた
軍用ライフルと評価している。一方のM16ライフル
の優位点は、その軽量さと命中精度にあるが、現代
戦では命中精度が必ずしも軍用ライフルの最重要性
能でないことも本書で明らかにされている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と指摘されています。

武器の評価にあたってはカタログスペックでなく、
最悪の環境でどれだけの力を発揮するかが大切、と
聞いたことがありますが、改めてその事実を思い起
こしました。

では内容を見ていきましょう。

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◆はじめに

 多くの銃器が歴史に重要な影響を与えた。ウィン
チェスター・ライフルとコルト・リボルバー・ピス
トルはアメリカ西部を征服した。エンフィールド・
ライフルは大英帝国を維持・防衛し、クラッグ・ヨ
ルゲンセン・ライフルは文明をもたらした。モーゼ
ル・ライフルは第2次世界大戦で世界制覇を狙った
が、アメリカのM1ガーランド・ライフルによって
阻止された。
  M16ライフル(アーマライトAR-15)は、戦後世
代の代表的なライフルとなり、そのライバルはいさ
さか不格好なロシア製アサルト・ライフルだった。
  それは、オートマチック・カラシニコフ・モデ
ル1947、通称「AK-47」である。「カラシニコフ」
または「カラッシ」とも呼ばれ、AK-47の名は最初
の生産モデルに与えられたものだ。
  同型のライフルは、ロシアだけでなく世界中で
さまざまなコピー製品が製造され、それぞれが異な
るモデル名で呼ばれている。しかし名称に関わりな
く、AKライフル・シリーズが、主要な通常戦争から
ギャング抗争にいたるまで、現代の紛争に必ずと言
ってよいほど登場する銃器のイメージとして確立さ
れたことは確かだ。

 AK-47ライフル(カラシニコフ)とその派生型は、
それなりの欠陥と性能的限界を抱えており、兵器と
して完璧ではない。だが、AK-47ライフルは、アサ
ルト・ライフルと分類される軍用ライフルの最も典
型的な製品である。事実、AK-47ライフルは、「ア
サルト・ライフル」と呼ばれる武器分類の基準を打
ち立てた製品の1つでもある。
  AK-47ライフルとその派生型は、ほかのどんな小
火器よりも数多く製造されている。ロシア製のオリ
ジナルに加え、海外でコピーされたり、ライセンス
生産されたりした製品を総計すると7500万挺と推定
される。
  このほか改良型のAKアサルト・ライフルや派生
型軽機関銃タイプのRPK、狙撃銃、さらに発展型の
サブマシンガンが2500万挺ほど存在する。
世界でこれに次ぐ生産量のアサルト・ライフルはア
メリカのM16ライフルとその派生型だが、製造総数
は800万挺あまりにとどまる。
  基本設計が1947年に採用されて以来、AK-47ライ
フルは少なくとも20カ国で作られ、多くの国でいま
も製造が続けられている。第2次世界大戦直後に制
式となってすでに70年以上が経過している。この現
役期間も戦後の軍用小銃が達成した
最長記録である。今後も長く使い続けられ、その期
間をさらに更新するだろう。AK-47ライフルのライ
バル製品の多くは、1960年代初頭以降に登場した比
較的新しいライフルだ。
  当初ロシアに侵攻したナチスドイツを駆逐し、
ソビエト連邦を防衛する武器として開発が始められ
たカラシニコフ・ライフルは、抵抗と反西欧イデオ
ロギーのシンボルともなった。AK-47ライフルは、
現在までに世界中の少なくとも80の軍隊と何百とい
うゲリラ、反政府グループ、民兵組織、テロリスト
集団、そして犯罪組織によって使用されている。
  AK-47ライフルを讃える意見は批判する意見と同
様に多い。性能上の限界にもかかわらず、AK-47ラ
イフルは大小さまざまな武力衝突で多大な影響を与
えてきた。戦闘で発揮したインパクトとは別に、カ
ラシニコフは国や文化のシンボルともなった。人々
を解放し現指導者を権力の座に押し上げたAK-47ラ
イフルを、その社会が重要視しているというメッセ
ージである。

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◆目次

はじめに 1

第1章 アサルト・ライフルの誕生 10

黎明期のアサルト・ライフル/ドイツの新型武器
「マシン・カービン」/「マシン・カービン」から
「マシン・ピストル」へ/短小弾薬のメリット/ド
イツの短小弾薬と同一の7.62mm×39弾薬/ソビエト
の7.62mm弾薬と7.62mmNATO弾薬の違い/7.62mm×39
弾薬の威力

第2章 AKアサルト・ライフル 36

姿を消す競合ライバル/意図的に「公差」を大きく
とった設計/部隊全体の火力を増大させた/AK-47
ライフルの技術的特徴/3タイプのAK-47ライフル/
AKMアサルト・ライフルの開発/AKMライフルの特徴/
RPK分隊支援機関銃の開発/AKライフル榴弾発射器

第3章 AK-74アサルト・ライフル 76

新型小口径弾薬の開発/進化する5.45mm×39弾薬/
AK-74アサルト・ライフルを採用/AK-74ライフルの
派生型/AK-74アサルト・ライフルの特徴/AKS-74
ライフルの派生型

第4章 AK100シリーズ・ライフル 94

輸出専用の改良型AKライフル/増えるAK-100のライ
センス生産/AK派生型ライフル/汎用性の高いカラ
シニコフ・システム

第5章 AKライフルの使い方 104

全自動火力を重視するソビエト軍/AKライフルの
照準方法/AKライフルの射撃と分解法

第6章 世界の戦場へ 116

AK-47ライフルの配備/「反帝国主義者」のライフ
ル/中東全域に浸透したAKライフル/AKライフルで
武装した少年兵/南米のAKライフル

第7章 AKライフルの対空射撃 138

AK-47ライフルの標準的な射撃法/AKライフルの
対空射撃法/7.62mm口径か、5.45mm口径か?/頑丈
なAKライフル/7.62mm弾薬の威力

第8章 AK-47 vs M16 156

実戦で証明されたAKライフルの威力/AK-47ライフ
ル対M16ライフル/5.56mm弾薬よりはるかに大きな
破壊力/ベトナム戦で実証されたAKライフルの性能/
M16ライフルをしのぐAKライフルの実力

第9章 人民のアサルト・ライフル 176

「カラシニコフ・カルチャー」/「世界を変えた製
品」に選ばれる/AKライフルの輸入は止まらない/
AKライフルはニワトリ1羽の値段?/後継銃AN-94
ライフルは生産中止/「カウンター・リコイルAK」
の開発

[コラム]
カラシニコフ・アサルト・ライフル使用国リスト 
9
ミハエル・カラシニコフ 22
7.62mm×39 M1943弾薬 34
AK-47ライフルとAK-47SライフルIII型の諸元 51
AKMとAKMSアサルト・ライフルの諸元 62
RPKとRPKS分隊支援機関銃の諸元 70
5.45mm×39弾薬 79
AK-74、AKS-74ライフルとAKS-74
uサブマシンガンの諸元 87
RPK-74とRPKS-74分隊支援機関銃の諸元 92
AKMライフル、M16A1ライフル、M14ライフルの諸
元 173
AK-74Mライフル、M4カービン、M14A4ライフル
の諸元 174

参考文献 195
監訳者のことば 196
訳者あとがき 200

—————————————–

監訳者のことば(一部)

 本書の監訳を引き受けた最大の理由は、著者が実
際にベトナム戦争に従軍し、AKライフルで射撃され
る側にいた点にある。ベトナム戦争の前線にいたア
メリカ側の兵士がM16ライフルを酷評し、AK-47ラ
イフルを高く評価していたことは、ベトナム戦争の
最中からしばしば伝えられていた。しかし
、その話が単なる噂なのか、真実なのかは、部外者
にはなかなか判断が難しかった。
  著者のゴードン・ロットマン氏は、ベトナム戦
争にアメリカ陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の兵
器担当要員として従軍した小火器の専門家である。
ここには、アメリカ軍側から見たAK47ライフルの評
価が記されているに違いないと思いながら興味をも
って読んだ。
  想像どおり、本書には、アメリカ側から見たA
K-47ライフルの評価が明確に書かれてあり、その評
価は、私が想像した以上に高いことに驚いた。何よ
りM16ライフルを整備していた当事者が、M16ライ
フルはAK-47ライフルにまさる点がほとんどなかっ
たと正直に書いていることは強く印象に残った。
  私の持論として、軍用ライフルが備えるべき最
重要な性能は、「耐久性」と「頑丈さ」である。ど
んな過酷な状況でも射撃を続けられるライフルこそ、
最良な軍用ライフルと考える。その上に優れた
「命中精度」が備わっていれば言うことはない。
  特殊部隊の兵器係である前に前線の兵士だった
著者もまったく同じ意見で、たとえ手入れが悪く錆
だらけになっていても射撃でき、ハンマー代わりに
テントの杭を地面に打ち込んでも壊れない頑丈なA
K-47は優れた軍用ライフルと評価している。一方の
M16ライフルの優位点は、その軽量さと命中精度に
あるが、現代戦では命中精度が必ずしも軍用ライフ
ルの最重要性能でないことも本書で明らかにされて
いる。詳しくは本文を読んでいただこう。
  本書の中には、小口径高速弾薬と中口径弾薬の
長所と短所についてもわかりやすく記述されている

床井雅美

◇著者略歴

ゴードン・ロットマン(Gordon L. Rottman)
1967年に米陸軍入隊後、特殊部隊「グリーンベレー」
を志願し、各国の重・軽火器に精通する兵器担当と
なる。1969年から1970年まで第5特殊部隊の一員と
してベトナム戦争に従軍。その後も空挺歩兵、長距
離偵察パトロール、情報関連任務などにつき、退役
時の軍歴は26年に及ぶ。統合即応訓練センターでは、
特殊作戦部隊向けシナリオ製作を12年間担当。

著書にオスプレイ・ウエポンシリーズの『M16』
『AK-47』『ブローニング.50口径重機関銃』など多
数。

◇監訳者

床井雅美(とこい・まさみ)
東京生まれ。デュッセルドルフ(ドイツ)と東京に
事務所を持ち、軍用兵器の取材を長年つづける。と
くに陸戦兵器の研究には定評があり、世界的権威と
して知られる。

主な著書に『世界の小火器』(ゴマ書房)、ピクト
リアルIDシリーズ『最新ピストル図鑑』『ベレッタ・
ストーリー』『最新マシンガン図鑑』(徳間文庫)、
『メカブックス・現代ピストル』『メカブックス・
ピストル弾薬事典』『最新軍用銃事典』(並木書房)
など多数。

◇訳者

加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校ほかで学ぶ。
88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作
戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授
(2014年7月退官)。

著訳書に『LT』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』
『アメリカンポリス400の真実!』『ガントリビア9
9』『AK-47ライフル』『MP5サブマシンガン』
『ミニミ軽機関銃』『MP38/40機関銃(近刊)』
(並木書房)がある。

いかがでしょうか?

訳者の加藤さんは、毎週金曜日の「加藤大尉の軍隊
式英会話」の加藤大尉です。

信頼できる著者
信頼できる監訳者
信頼できる訳者

三つの信頼を通じてあなたにAKライフルを
伝えてくれるこの本を心からおススメします。

『AK-47ライフル─最強のアサルト・ライフル』
G・ロットマン著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
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定価1800円+税込
発行日 :2018.2
定価 ¥1800+税
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エンリケ

追伸

単純に兵器のメカニズムが好きです。
その期待に応えてくれるコンパクトで中身が詰まっ
たこのシリーズをこれからも読み続けてゆきます。

『AK-47ライフル─最強のアサルト・ライフル』
G・ロットマン著
床井雅美監訳
加藤 喬訳
四六判204ページ(オールカラー)
定価1800円+税込
発行日 :2018.2
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