思索し、把握しておくべき根本問題

「人間とはなんぞや」
人間の大切な要素をはっきり把握する。人間には本質的要素(本性)と付属的要素(属性)がある。それともうひとつ、習性がある。
人間の本性とは徳性である。知能や技能、知識、技術、才能は属性である。
徳性を持って初めて知能、技能は初めて好もしいもの、嘉すべきもの、尊いものになる。徳性から離れるに従って悪くなり、いつわりになる。これを「偽」という。
習性とは「習性となる」とか「人生は習慣の織物なり」とおわれるくらい人間にとって大事なもので、ある意味本性ともいえる。人間はなるべく早いうちに良い習慣を身につけさせる、これは徳性に準じて大切なこと。これを明治以降日本は忘れた。
徳性の涵養→良い習慣を身につける、それに基づいて知識技術を授ける。

(安岡正篤)