【本の紹介】『心を道具化する技術』小川清史(元陸将)

『心を道具化する技術』
小川清史 著
- 定価:1,400円+税
- ページ数:224ページ
- 判型:四六判
- 発売日:2024年7月26日
- 発行:ワニブックス
こんにちは、エンリケです。
「もっと落ち着いて判断したい」「緊張する場面でも自分の力を発揮したい」。仕事や日常生活で、そう感じたことはないでしょうか。
心を強くしたいと思うと、つい自分に気合を入れたり、感情を抑え込もうとしたりします。今回紹介する『心を道具化する技術』は、心を大切な道具として捉え、その使い方を学ぶという発想の本です。
著者は、元陸将・元西部方面総監の小川清史さん。2016年の熊本地震でJTF-鎮西の指揮官を務め、部下のメンタル面にも向き合ってきた経験をもとに、心のトレーニングを紹介しています。
「心を道具化する」とは、どういうことか
「道具化」という言葉から、感情をなくし、何事にも反応しない人間になることを想像するかもしれません。しかし、提供されたまえがきで、著者はそのような受け取り方を否定しています。
本書が目指すのは、心を人生のために使いこなすことです。自分の心の傾向を理解し、成長の土台となる「自分自身の取扱説明書」を手に入れる、という考え方が示されています。
どのようなときに緊張し、何に振り回され、どうすれば落ち着けるのか。そうした自分との付き合い方を、日々のトレーニングを通じて考える本といえるでしょう。
著者・小川清史さんの経験
小川さんは防衛大学校第26期生で、米陸軍歩兵学校および指揮幕僚大学への留学経験を持ちます。レンジャー教官、第8普通科連隊長、第6師団長、陸上自衛隊幹部学校長などを経て、西部方面総監を務めました。
提供されたまえがきによると、40代で連隊長になって以降、メンタル面で悩む部下をケアする機会が増えたといいます。そうした経験を通じて整理してきた、心の傾向や悩みへの向き合い方が本書の背景にあります。
部下を率いる立場と、個々の部下の状態に向き合う立場。その両方を経験した著者の視点が、心のトレーニングとリーダーシップをつないでいます。
本書の読みどころ
1.「頑張る」前に「落ち着く」を考える
第1章では、心と体の関係、自主積極的に取り組む姿勢、自分の心を理解することなどが扱われます。目次にある「『頑張る』のではなく『落ち着く』」という項目は、本書の考え方を知る手がかりになります。
強くなろうと力を入れることと、落ち着いて自分の力を使うこと。この違いを意識しながら読むと、心のトレーニングという言葉の受け止め方も変わるのではないでしょうか。
2.瞑想法・呼吸法など、実践につなげる構成
第2章では、瞑想法、呼吸法、不動剣などのトレーニングが紹介されています。心を使って体を動かすことや、力みとパフォーマンスの関係、結果より成長過程に目を向けることも論点になっています。
また、自衛隊のメンタルトレーニングに関するコラムには、形や服装と心の関係が取り上げられています。内面への関心を、体の使い方や日々の身だしなみへとつなげて考えられる構成です。
3.苦しいときの「心の切り替え」を考える
第3章のテーマは、苦しみから抜け出すための心の切り替えです。心の準備、今ある状況を出発点にすること、できたところに目を向けること、自分基準で生きることなどが並びます。
人を育てることや、自主積極性を引き出す質問術も扱われています。自分の心を整えるというテーマが、周囲の人との関わり方にも広がっている点に注目したいと思います。
4.継続して「自分自身の取扱説明書」を作る
第4章では、トレーニングの継続と、自分自身の取扱説明書を作ることがテーマになります。目次には、心のトレーニングと筋トレの類似、自分基準、自主積極的な姿勢などの項目があります。
目指すのは、自分に合う心の扱い方を知ることです。読むだけで終えず、日常の実践と結びつけて読み進めたい一冊です。
私が取り入れている「呼吸法」と「身だしなみ」
私自身、本書にあった「呼吸法」と「身だしなみ」を取り入れています。日々の生活の質が高まり、幸福感に満たされる日が多くなったと感じています。
これは私個人の実感です。そのうえで、元陸将の経験から生まれた知見が、日常の小さな実践につながる点に、この本の魅力を感じます。
心のトレーニングを特別な場だけのものにせず、普段の暮らしや仕事に持ち込む。私にとって、本書はその入口になっています。
リーダーシップと心のコントロール
私がとくに心に留めているのが、リーダーシップと心のコントロールの関係です。いろいろな組織で、勘違いしたリーダーシップを見てきた経験と重なりました。
人を率いる力を考える際に、自分の心をどう扱うかにも目を向ける。リーダーシップと不可分のフォロワーシップを考えるうえでも、掘り下げたい論点です。
こんな方に読んでいただきたい一冊
- 緊張する場面で、落ち着いて自分の力を発揮したい方
- 感情に振り回されがちな自分との付き合い方を考えたい方
- 部下やチームを率いる立場で、心の整え方に関心がある方
- 自己管理や心のトレーニングを日常に取り入れたい方
- 自衛隊の現場経験から生まれた考え方を学びたい方
自分を高めたいと思う方にも、周囲との関わり方を見直したい方にも、考える材料のある本です。「自分の心をどう使うか」という問いを持って、目次を眺めてみてください。
書籍情報
『心を道具化する技術』
小川清史 著
- 定価:1,400円+税
- ページ数:224ページ
- 判型:四六判
- 発売日:2024年7月26日
- 発行:ワニブックス
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(エンリケ)
追伸
読み終えた後も、自分の心との付き合いは続きます。だからこそ、「自分自身の取扱説明書」という考え方が心に残ります。
私にとっての呼吸法や身だしなみのように、日々の暮らしにつながる入口を見つけながら、本書を読み進めていただければと思います。





